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withコロナ時代、ライブフォーマットとしてluteが地方都市に目を向けた理由

こんにちは。luteという音楽メディアでコンテンツディレクターをしておりますアメミヤと申します。
先日、J-WAVEのラジオに出演させていただいた際にJ-WAVEのキャンペーン「東京新視点」に因んで、ウィズコロナ時代に活動していく上での
luteの視点の持ち方は?…という問いをいただきました。
音楽をベースにした話でしたが、
この時に話したことがコロナ禍における2つの前提と、2つの視点でした。


2つの前提

前提1:音楽の聴き方(付き合い方)が大きく変化した年
聞き方が変わったという話。
自分自身、リモートワークとなり、音楽を聴くモーメントと、聴くジャンルが変化した。

前提2:東京の変化=「東京でなければならない」という明確な理由が減った
。
オンラインによって、国内外問わず世界中のファンの体験価値がみんな平等になった。
(視聴環境変化・オンラインライブの一般化)

意識していた2つの視点


視点1:視点を探すときに「人」で捉える
アーティスト、リスナー含め視点が複数あれば、問いも増える。
視点の多さがイノベーションの種になる。

視点2:視点を探すときに「場」で捉える

都市、街、特定のスポットなどの単位で「場」を考え、その場の象徴となるアイコン(記号)は何か?


このようにコロナ禍における前提とメディアとして意識している視点の話をしたのですが、その話の詳細はまたの機会に、ここでは視点2つ目の「場」という視点にフォーカスを当てることに至ったエピソードと、その後のコンテンツ企画の話をさせていただければと思います。


コロナ禍のオンラインライブ体験で感じたこと


音楽の聴き方自体が変わり、まだ3月くらいでは物珍しかったオンラインライブも次第に一般化され、オンラインライブならではの演出手法も爆速で進化していく中で、
例に漏れず自分自身も、こりゃすげ〜〜!と自宅で観ていたのですが、洗練された未来的な演出のオンラインライブを見る機会が増えれば増えるほど、なぜか次第に没入できない自分がそこにいました。

なぜだろう…?という思いつつ、ちょうどリモートワークに慣れてきたからこそ
逆に疲弊していた時期でもありましたので、リラックスできる曲が聞きたいと思いYoutubeで1年前くらいに公開されてたFKJのウユニ塩湖でのライブパッケージの映像を観ていました。

当時、この映像を見た時もその情景の美しさに感動しましたが、改めて見返すと音楽はもちろんのこと、その圧倒的な映像美に癒されつつ、あ〜。ウユニ塩湖行きたい〜〜。と独り言を呟いていたように記憶しています。

それと同時に、自分がコロナ禍でのオンラインライブに没入できない理由について気づきました。

(※厳密に言うとライブとは言ってもリアルタイムかそうでないかの違いはあるのですが、オンライン環境で視聴するライブパッケージとして)

そう、情報量こそ膨大だが、閉鎖的な自宅から出なかったので、癒しを求めまだ行ったことの無い奥行きのある場所へ出かけたかったのです。

ただし、当然、海外は当分行けないですし、その時期は国内ですら往来することが自粛要請されていた時期だったので、仕方なく馴染みの近くの公園で曲を聞きながらベンチに座ってぼーっと池を眺めてました。

その頃にちょうどluteの話をもらいつつ、その後クリエイティブクルーである福岡のBOATさんとMTGした時にモヤモヤしていた点が線として繋がりました。


福岡という都市−SCENICという企画−


福岡は都心部からたった30分離れれば、海にも山にも行けるスモールシティ。そういった環境要因もあり、音楽性も多様なアーティストが育っています。
そんな福岡という場においてアーティスト個人という単位だけではなく、このユニークな都市自体をコンテンツにすればいいのではないか?と考えました。

そんな自分のコロナ禍の体験が相まったオーダー(意見)に対してBOATさんからSCENIC(シニック)という企画を提案してくれました。

- SCENIC
空港から市街までわずか10分というコンパクトシティ、福岡。実は近いのは空港だけではない。電車で30分いけば美しい海岸に、車で30分走れば緑深い山々に。そんな福岡の美しい自然と音をミックスする特別なライブ、それが「scenic(シニック)」


因みに、打ち合わせの際にはFKJの話はしてはいなかったのですが、その後お送りいただいたBOATさんからの企画案(以下参照)にFKJのウユニ湖ライブがイメージ図として挙げられてたのが個人的にはニヤッとしたポイントですw

スクリーンショット 2020-11-23 18.28.45


そんなSCENICの第二弾が本日公開されました。

Starring:EXPCTR
Director:YangTa o
Camera:YELIKK
Aide:Osamu Fukuzawa
Pro:BOAT


その都市に住むインディペンデントアーティストが、福岡市民の心のオアシスであり県内の高校生のデートスポットでもあるという海の中道海浜公園(略してUMINAKA)で演奏するという、都市に根付いた組み合わせによって、木漏れ日が演出する柔らかい光と影のスポットライトに照らされ、柔らかな風に合わせて踊る草木がまるで観客のように見え、その場にいるかのような匂いまでも感じさせてくれます。映像を見終わった後、やや興奮気味にBOATさんにメールしたのを覚えています。

訪れたことのない自分でも、このようにちょっと感動したのだから、この場で過ごしたことのある福岡出身の皆さんは記憶に定着した思い出と共に観て聴いていただけるのではないかな?と思っています。

それが、それぞれの都市(場)にフォーカスしたい理由でもあります。

そして、映像を見た時に感じた「何か」について、詩人の谷川俊太郎さんの詩集にヒントがありました。


私たちはさまざまな自然音に、詩情といっていいような感情を呼び覚まされていると思います。そのような「聞こえてくる」自然音に対して、人間が創る音楽を私たちは耳を通して心で「聴く」のです。
でその二つの聞き方はもともと区別できるようなものではないでしょう。この本の題名を私ははじめ「聴く」と「聞こえる」というふうに、分けて考えていました。ところがそのうち集中して「聴く」と、深いところにひそむ「聞こえる」ものに気づくのではないかと思うようになりました。


谷川俊太郎 『聴くと聞こえる』(創元社、2018年刊)あとがき より


集中して聴くことで、なんだか聞こえないものも聞こえてくるような気がしませんか?

終わりに

まさにコロナ第3波と言われている中でGo to travelが一時停止という報道も流れていますが、オフラインでのフィジカルな移動を伴う一般的な旅行である「travel」とは異なり、短い旅行を指す「trip」をこの15分ほどのオンライン動画を通じて楽しんでもらえたらと思います。


また、ダブルミーニングとして、スラングとしての「trip(気持ちがハイになる)」をこのライブパッケージングを通じて、土地の持つ記憶や、情景も含め感じ取ってもらえれば幸いです。
Go to trip!!

そんなことで、luteでは今後も様々な「人」と「場」にフォーカスを当て、フォーマット自体も実験的にアップデートしていきながらアーティスト、クリエイティブクルーの皆様との共創のもとで成る「交差点」としてメディア運営・支援をして参ります。

2020.11.24
lute コンテンツディレクター アメミヤ


▼BOATと福岡のムーヴメントについて詳しく知りたい方はこちら↓


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