IBM、最新決算:ソフトウェア収益が引き続き好調!【7-9月/Q3,2024】
IBM ( IBM) は、10/23に第3四半期(7-9月期)の業績を発表。レッドハットをはじめとするソフトウェア部門の好調が全体を牽引、売上総利益率の拡大や強力なフリー・キャッシュ・フローに注目が集まりました。今回のnoteでは、最新の業績データを元に、IBMのビジネス戦略に迫ります。
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第3四半期業績【7-9月/Q3,2024】はどうだった?
売上高: 149億6,800万ドル(前年同期比比+2%増,為替変動を除く)
ソフトウェア:65.2億ドル(同+10%増)
コンサルティング:51.5億ドル(同横ばい)
インフラストラクチュア:30.4億ドル(同▼7%)税前利益:▼8億200万ドル(赤字へ)
当期利益:▼3億3,000万ドル
EPS:▼0.36ドル
調整後EPS:2.30ドル
インフラストラクチャー部門は前年を下回る結果となりましたが、全体的には利益率が改善。ソフトウェア部門のレッドハットの伸びが貢献しています。同社によると税前利益が赤字となったのは年金関連の一時費用が発生したためとしています。
売上総利益率はどれくらい拡大した?
GAAPベース: 56.3%(前年同期は54.4%)
非GAAPベース: 57.5%(前年同期は55.4%)
収益性の高いソフトウェア部門が全体の売上を押し上げたことが要因と同社。また、AIやクラウドソリューションの需要増加に対応する形で、IBMが効率的なビジネスモデルを維持していることも評価されてるとしています。
フリー・キャッシュ・フローはどのくらい強力?
営業活動による純キャッシュ: 91億ドル
フリー・キャッシュ・フロー: 66億ドル
堅調なキャッシュフローは、AIやクラウド事業への積極投資を支えるための重要な基盤。IBMは年間フリー・キャッシュ・フロー120億ドル以上を見込んでおり、長期的な財務安定性を示しています
第4四半期(10-12月期)の見通し(会社予想)
ソフトウェア部門は引き続き好調を維持
Q4売上高:為替影響除くとQ3と同程度の増収率。
為替の影響は0.5ポイント程度。2024年通期フリーキャッシュフロー計画:120億ドル超(前回計画を踏襲)。
IBMは低コストで高パフォーマンスのビジネスモデルが、顧客からの信頼を得ているとして、AIビジネスの成長が今後の業績を支える重要な要素であり、レッドハットの成長が、IBM全体の業績に大きな影響えを与えているとしています。
レッドハットとAIが牽引するIBMの戦略とは?
アーヴィンド・クリシュナCEOは、ジェネレーティブAIの分野での勢いを強調しました。IBMは、AI技術を基盤としたソリューションを提供することで、多様な顧客ニーズに応えています。
特にレッドハットの成長が再加速しており、クラウドやオープンソース技術を活用した戦略が成功。顧客はコスト効率を高めながら高性能なITインフラを実現できるため、IBMへの信頼がさらに高まっています。
レッドハット(Red Hat)
レッドハットは、オープンソースの技術を企業向けに最適化した製品を開発する会社で、2019年にIBMが買収。主な製品には、Linux OSの「Red Hat Enterprise Linux」や、クラウド基盤ソフトウェアの「OpenStack」、コンテナ管理プラットフォームの「OpenShift」などがあります。
IBMは、レッドハットの技術を自社のクラウドサービスに統合し、企業がより柔軟で効率的にITシステムを構築・運用できるようサポート。IBMのクラウドサービス上でレッドハットの製品を利用したり、オンプレミス(企業や組織が自ら管理する施設内にサーバやソフトウェアを設置し、運用する形態)環境とクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウド環境を簡単に構築することが可能となりました。
ワトソンとは?
ワトソンは2009年にIBMによって開発。2011年には、米国のクイズ番組「ジェパディ!」おいて、自然言語処理と大量の情報からの適切な回答選択におけるワトソンの能力が証明され、人間のチャンピオンに勝利し、注目を集めました。
IBMは2023年5月に、AIとデータを組み合わせた新基盤「watsonx(ワトソンエックス)」を発表。watsonxは、ワトソンの進化形として位置づけられ、企業がAIを事業に効果的に組み込むことを支援することを目的としています。
watsonxの主な特徴と機能は以下の通りです。
大規模言語モデルの訓練と展開
自然言語を使用したコードの自動生成
目的別の大規模言語モデルの利用(例:気候変動モデリング)
IBMのアービンド・クリシュナCEOは、「モデル作成の最初の壁は高いが、一度できれば、モデルを100や1000の異なるタスクに適応させることは非常に簡単で、専門家でなくてもできる」と述べています。
watsonxの投入は、IBMがAI市場での競争力を強化し、企業向けAIソリューションのリーダーシップを維持しようとする戦略の一環と見ることができ、従来のWatsonの機能を拡張し、より柔軟で強力なAIツールを企業に提供することを目指しています。
IBMは、2023年にデータとAIを組み合わせた基盤「watsonx」を投入以降、生成AIの受注額が累計30億ドルを超え、第2四半期からは10億ドル以上増加したと自信を示しています。
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About IBM
設立:1911年
上場:1915年11月(CTR)
セクター:情報技術( Information Technology)
ティッカー・シンボル:IBM
<正式名称:International Business Machines Corporation>年間の売上高:619億ドル(2023年)
株式時価総額:2,109億ドル(約31.6兆円12/4時点)
ライバル企業:マイクロソフト(MSFT),シスコシステムズ(CSCO)など
日本の同業種:富士通(6702),NTTデータ(9613)など
本社:米国ニューヨーク州
従業員数:282,000人
投資金額目安
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まとめ
今四半期の決算ではIBMが、いろいろな課題にも柔軟に対応し、全体の収益を確保していることがわかりました。ソフトウェア収益の成長と利益率の拡大を背景に、AI分野での取り組みが、IBMの成長エンジンとして機能し、さらにはフリー・キャッシュ・フローの強化により、戦略的投資に余裕が生まれています。
今後も、AIやクラウドに特化した事業戦略を続けることで、IBMはさらに多くの成長機会をつかみ、また、株主や投資家からは、連続増配の記録を伸ばすことが期待されています。
よくある質問 Q&A
Q: IBMのソフトウェア事業はなぜ好調ですか?
A: レッドハットを中心としたオープンソース技術の活用と、AI技術の需要拡大が主な要因です。これにより、収益性が高まり、2桁成長を達成しました。
Q: フリー・キャッシュ・フローの強さはどのように評価されますか?
A: 66億ドルのフリー・キャッシュ・フローは非常に堅調であり、年間目標の120億ドル以上を達成する見込みです。これは、将来的な成長投資を支える重要な指標です。
Q: 今後のIBMの成長分野はどこにありますか?
A: AI、クラウド、オープンソースソリューションが引き続き成長を牽引する見込みです。特にジェネレーティブAIは大きな注目を集めています。
Q: インフラストラクチャー部門の減収は問題ですか?
A: 短期的には課題ですが、ソフトウェア部門の成長が全体の収益を支えており、大きな問題にはなりません。
4-6月、第2四半期はこちら↓
*ご注意-このnoteは企業IRや直近のニュース等を参考に、一般的な情報提供を目的として書いています。投資家に対する投資アドバイスではありません。投資における最終意思決定は、ご自身の判断でお願いいたします。またデータ等の数字は、細心の注意を持って記載していますが当noteに載せている情報に基づく行動で損失が発生した場合においても、一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。