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兄ちゃんには勝てない

まだ薄暗い朝5時、長いロープを首につけた牛と山羊たちを連れて15分ほど歩き、丘の上まで登る。ロープを杭にしっかりと結ぶ。 「学校が終わったら迎えに来るから、たくさん草食べて待ってろな。」 朝飯は、じゃがいもと玉ねぎを、ニンニクとターメリックで炒めてロティで包んだものや、茹でたキャッサバ、それとチャイを母さんが用意してくれる。 学校までは、6才の俺の足で1時間半。山をふたつ越えて、ひたすら歩く。10歳を過ぎてからは、馬に乗って通っていた。 弁当は…毎日食べる物があるとは

    • 頭上15mのヤシの木から

      4人兄妹の2番目に生まれた。幼い頃に身につけていたのは、綿の腰布一枚。靴は持っていない。裸足で生活している。 朝、目が覚めると、兄弟、従兄弟たちと庭へ駆け出る。草を食む母ヤギの一頭に目をつけ、ごろんと横向きに転がすと、そのまま吸いついて乳を飲む。横で子ヤギが、自分の乳だ!とばかりに蹴ってくる。 小高い丘の上に立つ、マホガニー材で建てた家。家畜のヤギ、ニワトリ、カモが歩き回り、犬も猫もたくさんいる。 家の裏手には、サトウキビ畑とヤシの木々。バナナ、マンゴー、パパイヤの木は

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