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フィンランドWWOOF体験記。森の中で見つけたもの


「この国の人は、どうしてこんなにゆったりのんびりして見えるのかしら。」

「森があります。」


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これは、フィンランドを舞台にした映画『かもめ食堂』(監督・萩上直子)の、とあるシーン。


ゆったりのんびりしたこの映画では、「森」が重要な役割を担っています。
人々はそこで一人の時間を過ごしたり、大切な何かを見つけたり…


フィンランド出身であるトーベ・ヤンソンの描く『ムーミン』も、多くの物語の舞台が森の中。
「森と湖の国」と言われるだけあって、フィンランド人にとって、森はなにか特別な存在なのだろう。



森。


実は、私は大学で「森林科学科」という学科に所属していて、4年間、森のことを学んでいました。
だから、「フィンランドは森の国」と聞いた時から、フィンランド人と森の関係性にはとても興味がありました。
この記事では、フィンランドでのWWOOF生活を通して私が見た「森」のことを書きます。
そこから垣間見える、「日本の森」についても。


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フィンランド・Tampere(タンペレ)にて


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フィンランドの森林率(国土に占める森林の割合)は、約73%と先進国の中では1位!

そしてちなみに、日本は第3位。


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2019年4月から始まった、3ヶ月間にわたるヨーロッパ旅!
5月に滞在したフィンランドでは、2軒の農家で滞在させていただきました。


1軒目は、首都ヘルシンキからバスで約1時間の場所に位置するPorvoo(ポルボー)というところ。

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ホストのエミリアさんがバス停まで迎えに来てくれました。


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田舎町をぐんぐん抜けて、農場へ。


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フィンランドの南西に位置するポルボー。
農場のすぐ近くには入り江があり、海が見渡せました。


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変わりゆく景色を眺めているうちに、私たちの宿泊場所に到着!

(ホストの家とは別棟、宿舎のような大きな一軒家でした。)


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木造の家に、薪の暖炉。さすが森の国フィンランド。
いかにフィンランド人が木と共に暮らしてきた民族かということが、すぐに感じられました。


「この村は、かつて林業と造船業で栄えた村だったの。」

とエミリアさん。


「この家のすぐ裏に、かつての造船工場があるわ。周りの森は、その木材を生産するために管理されていた森よ。でも80年代の産業革命をきっかけに、人が都市部に流れ込んでこの村の造船業も廃れてしまったの。散歩して、家の周りを見てみるといいわ。」


というわけで、さっそく家の周りを散策。


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澄んだ森と海に出会えた、とっても嬉しい1日目でした。


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翌日。
私たちの一日は、牛の餌やりから始まりました。


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牛さんたち、ずっと小屋に入れられててかわいそう…外に出て遊びたいだろうに…
と思いきや、午後には農場裏の草原に放牧されていました。


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(ヤンネさんは、たまに現れてはボソッと、農場について色々なことを教えてくれた。)


「牛が草を食べて、草が育って、また食べて…。
牛が草を食べることが草の成長の循環を助けて、草原のCO2の取り込み量が多くなるんだ。
このフィンランドの伝統的な放牧の仕方は、環境にも寄与する、重要なことなんだよ。」


へえー、そうなんだ!
森だけじゃなくて、草原での牧畜も環境に良い影響を与えるとは知らなかった。


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こういうことらしい。



エミリアさん、ヤンネさんの農場の周りには、大きな自然林もありました。


エミリアさん家族の所有の、多種多様な混交林


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「一番大きな理由はランドスケープ(景観)のため。それと同時に、生物の多様性を守るため。
これは元々は人工林だったのだけど、自然林に戻したの。
私たちが手入れすることによって森が綺麗になって、いろんな虫や動物が住めるようになるから。」

とエミリアさん。



ここで一つ。
「森」にもいろんな種類があるということを説明します!

森の違いで、一目で分けられるものには、

単層林と複層林

とがあります。


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単層林は、主に木材生産を目的として人工的に植栽された森であり、一方、複層林は、本来の森の姿に近く、生えている樹種も多くなり、生物多様性を高めると言われています。
(人工林も、複層にして色んな種類の木が生えるように手入れすれば、自然林に近いものにすることができます。日本でも現在、各地で人工林から複層林への転換が勧められています。)


「フィンランドでは、季節になると森へ行ってきのこやベリーを採るの。そのためにも、

森の中にいろんな種類の植物や木があることはとても重要。


なるほど。
日本にいると森に入る機会があまり無いから、森の状態を気にすることはあまりないけれど、ここにいる人たちにとってはもっと生活に密着したことなのかもしれないなあ。


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わ、

ワイルドベジタブル

ってなんだ…?



よく分からないまま、次の日、農場のインターンシップ生であるアイノさんに連れられて、私たちは森へ向かいました。


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ああ、ワイルドベジタブルって、野草のことね!



その後も森を巡って、この日は計3種類の野草を収穫しました。

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こうして手に入れた野草を使ったこの日のランチがこれ!

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そこらへんの森から採ってきたものがすぐに調理されて食べれるって、すごい!


それにしても、フィンランド人もこごみを食べるとは知らなかった…

「日本でも、わらびはよく食べます。茹でて、マヨネーズを付けて食べたりします。」


するとアイノさんは、驚いた顔をして

「えっ!マヨネーズ!?新しいアイディアね。」

と言いました。


(あ、新しいかなあ。笑)


「フィンランドの人は昔から、

森からの収穫物と深い関係を持って暮らしてきた

の。


けれど現代の人は、野草をどう食べるかの知識がない…
どの草がたべれて、どの草に毒があって、どの草にどんな効能があるのか。
こういう知恵を受け継いで行くことはとても大切だと思う。」


と話すアイノさん。

なるほど。私も森の中に入ったって、どの草が食べられるかなんてあまり知らないなあ。
でもよく考えてみると、日本人だって山菜やキノコなど、山からの収穫物をよく食べる習慣がある民族だ。。
うーん。


あまり気にしたことはなかったけれど、日本人とフィンランド人の、森との関わり方って、本来は似てるのかもしれない。



ここでの滞在中、何度も森や庭に野草を摘みに行きました。
これらの野草は、この時期にたくさん摘んで乾燥させ、冬のために蓄えます。
野菜の採れない冬の時期の、大切なビタミン源になるといいます。


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野草摘みの時間は、とっても楽しかった!
太陽を浴びながら、手に触る草たちが少し冷たくて、たまに音楽を聞いたり、考え事をしたり…

この仕事だったら、タダ働きでも毎日2時間くらいやりたい!


と思えような楽しい作業でした。


これがお金を産むとかどうとかじゃなくて、必ずしも仕事としてじゃくっても、こんな時間が一日の中にあること自体が素敵。。。
そう思いました。



以上、1軒目のWWOOF滞在では、フィンランド人の生活に密着した森の姿を見ることができました。

そして牛が可愛かった❤︎


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ここフィンランド1軒目のWWOOFでは、自然の多様性の大切さ、そしてそれと共存する方法を学びました。

これから続く、フィンランドの2軒目での滞在でも多くの学びがありました!

そのことも記事にしていきますので、ぜひ見ていってくださいね^ ^


それでは!

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