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甲子園交流試合で実現してほしい対決3選

明日8月10日、遂に夏の甲子園が始まる。ただし、今年は例年とは大きく異なる夏となる。試合に勝利したとしても、次の対戦相手はおらず、あるはずの深紅の大優勝旗もない。全国高等学校野球選手権大会に代わって実施される甲子園交流試合は、中止になったセンバツ高校野球のいわば代替大会となっている。とはいえ、ひと味違う夏の甲子園にも見どころは多い。なかでも特に実現を期待する対戦を3つ挙げたい。


①川瀬 堅斗(大分商・右投手・3年) 対 井上 朋也(花咲徳栄・右打・三塁手):大会1日目 第1試合

プロ注目の選手同士の対決は、川瀬のコンディションにかかっているといってもよい。下半身の故障で大分県の独自大会は本調子とはいえなかっただけに、わずかな時間はあるものの、どれほど調子が上向いたかがポイントとなる。本調子になればどの相手でも抑えるだけの力はある。

一方の井上は起用される打順に注目したい。これまでは4番を打っていたが、直前の練習試合では1番で起用される場面が目立つだけに、両者の対決がどのようなシチュエーションで実現するか興味深いところだ。高校通算50本塁打を誇る井上は1年夏から甲子園に出場しているものの、本塁打が出ていない。大会屈指の投手から有終の美を飾りたい。

②高橋 宏斗(中京大中京・右投手・3年) 対 前川 右京(智辯学園・左打・外野手・2年):大会3日目 第1試合

各世代を代表するタレントの対決が甲子園で実現する。高橋は常時150キロ前後のストレート加えて、複数の変化球を投げ分ける世代屈指の投手だ。昨秋の明治神宮大会でも優勝投手となり、対戦した明徳義塾の馬淵監督に「直球は(横浜高時代の)松坂よりいい。夏も含めて今年No・1。もう当たりたくない」と言わしめた。プロ志望を表明した場合はドラフト1位指名もあるが、大学進学が濃厚なだけに歯痒い思いをしているプロ野球関係者は多いはずだ。

高橋と対峙する前川は1年夏から名門の4番に君臨し、吉田正尚(オリックス)を彷彿とさせ、同校の先輩・岡本和真(巨人)とも比較される存在になっている。昨年秋も打率も5割以上で6本塁打記録しながら、29打数で2三振とミート力も高い。智辯学園は奈良県の独自大会に3年生のみで出場しており、前川自身2020年最初の公式戦となる。高橋の150キロ前後のストレートへの対応が前川の成長を図る目印になる。

③関戸 康介(大阪桐蔭・右投手・2年) 対 西川 僚佑(東海大相模・右打・外野手・3年) :大会5日目 第1試合

エースの藤江星河(左投手・3年)や長身左腕・松浦慶斗(2年)といった大阪桐蔭の強力投手陣の中で、この夏最もインパクトのある投球を見せているのが関戸だ。ストレートは常時145キロ以上を記録しており、一部報道では150キロの大台に到達したとの報道がある。とはいえ選手層が厚いチームのため、登板機会が訪れるかは未知数だ。もし登板するなら、森木大智(右投手・高知)を筆頭に好投手が揃う来年の主役は自分とばかりの投球を見せてほしい。

好投手が揃う大阪桐蔭の一方で、東海大相模には強打者が目白押しだ。山村崇嘉(遊撃手・左打・3年)や鵜沼魁斗(外野手・右打・3年)など錚々たる顔ぶれの中でも西川を推したい。西川の一番の魅力は打球の飛距離にある。ホームランになる打球は勿論のこと、少々体勢を崩されてもフェンス際まで打球を運ぶ。東海大相模は木製バットの使用して打撃の精度の向上を目指しているだけに、西川の打撃が昨年と比べてどう変化しているかは必見だ。

両者は高校入学前からメディアに度々取り上げられ、注目を浴びてきた。周囲から色々な声が聞こえてきただろうが、同じ境遇を味わった者同士で特別な空間を作り上げることを願っている。


例年の甲子園大会だと、負けたら終わりのトーナメント方式のため、投手が強打者への配球もリスクを回避するものになりやすい。しかし1試合限りの大会の場合だと、敗退のリスクやチームの勝敗を度外視した1対1の戦いを堪能できる場面が増えるはずだ。試合の結果だけではなく、打席ごとの結果に一喜一憂するのもまた乙なものになるだろう。

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