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12球団ドラフト展望~阪神編⑪~

チームの象徴的存在の藤川球児が、今シーズン限りでの引退を表明した。気がついてみると、阪神が最後に優勝したのはJFKが一世を風靡した2005年になってしまった。

2014年にはクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズに進出したものの、近年はセ・リーグの優勝争いに絡むことが少なくなっている。今シーズンも、首位を走る巨人に大きく水をあけられている。永遠のライバルの後塵を拝する歴史に終止符を打つためのドラフトとすべく、戦略を考えていきたい。

1 大山と並ぶスラッガー

ここ数年は貧打に悩まされていたものの、今シーズンは大山が覚醒、本塁打王争いを繰り広げている。しかしながら、チームの得点数はリーグ4位と攻撃力が武器になったわけではなく、打線の強化は最優先課題だ。

打線強化となると、今年は何と言おうと佐藤輝明(近畿大・内野手/外野手・左打)の獲得が至上命題だ。関西学生野球連盟の通算本塁打数で、二岡智宏(元巨人ほか)が持つリーグ記録に並んだ長打力は、今年の候補の中では抜けた存在だ。最終的に佐藤が中軸に座り、大御所の糸井嘉男と福留孝介に引導を渡すことができるかが鍵となる。

糸井や福留の後釜として、外野手での起用は勿論のこと、大山とのOSコンビとして一塁手として起用されるても夢がある。佐藤を中軸で起用できるようになると、外国人頼みの打線から脱却する第一歩になるはずだ。

一方で佐藤には複数球団の入札が予想される。抽選を外した場合は、今シーズンのポジション別OPS(8月終了時点)でセ・リーグ最低となっている二塁手の補強として、強打の牧秀悟(中央大・内野手・右打)を推したい。チャンスに強い中距離打者として、大山の前後を打つ打者として期待がかかる。課題としては、守備面での土のグランドへの適応がある。人工芝の神宮球場とは異なり、甲子園球場は全くの別物であることを頭に入れておく必要がある。

2 捕手

昨年のドラフトで藤田健斗を指名したものの、若手の捕手が少ないことから、指名をしたいところだ。

なかでも古川裕大(上武大・捕手・左打)の強肩強打は、今年の顔ぶれでは抜けた存在だ。セ・リーグでは投手が打席に入るため、打撃の弱い捕手をスタメンで起用することになると、攻撃力が大幅に低下しかねないだけに、「打てる捕手」の値打ちは高い。

お膝元の関西では、榮枝裕貴(立命館大・捕手・右打)が筆頭候補となる。長らく二番手捕手に甘んじていたこともあり、捕手としての実戦経験は少ないものの、鉄砲肩は屈指の存在だ。

チームの現状としては、一軍の捕手自体は弱いわけではないため、古川は打撃力を生かしながら、他のポジションでも出場機会を窺うことになる。一方の榮枝は、二軍で実戦経験を積みながら一軍入りを虎視眈々と狙っていきたい。

3 高校生の指名

従来の大学生と社会人を上位に指名することが多かったドラフト戦略から一転、昨年は支配下で指名した6選手中5選手が高校生と大胆な戦略転換を図った。特に、2位指名の井上広大がファームで英才教育を受け、8本塁打を放っている(10月10日終了時点)。

昨年のドラフトを機に、ファームで鍛えて一軍に上げる方針に切り替えるならば、昨年に引き続き、複数の高校生の指名が見込まれる。

先述したように、1位・佐藤を前提として考えると、佐藤の交渉権を獲得できなかった際は、来田涼斗(明石商・外野手・左打)を指名したい。昨年指名した井上と同じ外野手だが、強打と脚力を併せ持つ異なるタイプだ。しかしながら、守備面にはやや難があり、プロ入り後に改善可能か見極める必要がある。

投手だと、明石商の同僚の中森俊介(明石商・投手・右投)と、OBの中谷仁氏の教え子である小林樹斗(智辯和歌山・投手・右投)を推す。

先発タイプの中森は、総合力が高いセ・リーグ向きの投手だ。150キロ近いストレートは勿論のこと、球種も多いかつ制球も破綻がない。明石商では9番を打つことが多いが、打撃も悪くない。

一方の小林は、現時点ではリリーフ適性の高さが窺える投手だ。スピンの効いたストレートだけで相手を圧倒できるだけの武器となっている。今後は絶対的な変化球の取得がカギになる。

まとめ

昨年の高校生の指名ラッシュが現時点では功を奏していることもあり、今年も同様の戦略をとることが、優勝への近道と考える意見もある。しかしながら、高校生を指名することが重要ではなく、あくまでもチームにフィットする選手を指名することが、勝利をつかむための最善の手であることを頭に入れておきたい。結果が判るのは、あくまでも数年後だ。

参考






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