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12球団ドラフト展望④~福岡ソフトバンク編~

「3年連続日本一」、「6年で5度の日本一」

これだけだと、黄金時代を謳歌しているようにみえるが、2018年・2019年と連続して西武にリーグ王者の座を明け渡している。結果的に日本一を掴んではいるものの、ペナントレースでは苦しんでいる。

今シーズンは、かつての守護神を務めたサファテの引退騒動や、ベテランの内川聖一が一軍出場を果たせていないなど、現在はチームの過渡期にある。このことを踏まえて、今年のドラフト会議における指名ポイントを挙げていきたい。

① 主力野手の高齢化

長年主力を務めた選手の後継者が育ち切っていない点は気がかりだ。特に内川と松田宣浩の後継者問題は、ここ何年も続く課題となっている。野村大樹や増田珠がファームで経験を積んでいるものの、一軍定着に至ってはいない。現に昨年のドラフト会議では、右打ちのスラッガーである石川昂弥(現中日)をいの一番に指名した。

チーム状況を踏まえると牧秀悟(中央大・内野手・右打)、もしくは佐藤輝明(近畿大・内野手・左打)を1位指名できるとよい。牧はセカンドが主だが、場合によってはサードの起用も考えられる。チャンスに強い中距離打者として、ポスト・内川ないし松田に据えることが可能だ。一方の佐藤は、柳田悠岐みたく規格外のスケールがある。内外野こなすことができるため、他の選手の状況に合わせて守備位置を決めることができる点も魅力だ。

上記二人以外だと、高校生スラッガーの指名に切り替えることも十分にある。井上朋也(花咲徳栄・内野手・右打)元謙太(中京・内野手・右打)といった面々が候補になるが、資金力のある球団なだけにFAや外国人選手の動向如何では全く異なる結果になってくることも留意する必要がある。

② ポスト・今宮健太

ショートの定位置を確保してからほぼ全試合に出場していた今宮だが、2018年以降は相次ぐ故障に悩まされている。抜けた際の穴は、周東佑京らでカバーしているものの、次世代を考えると心許ない。長期的視野に基づき、高校生のショートを指名できると理想的だ。

なかでも、有力候補として土田龍空(近江・内野手・左打)を挙げたい。今宮同様ファームで数年間経験を積み、一軍で長く活躍できる選手にしたいところだ。守備面での評価が高い選手なだけに、打撃面の力強さを身に着けたい。

土田以外だと、捕手としての評価も高い内山壮真(星稜・捕手兼内野手・右打)をショートとして起用したり、打撃面で優れる中山礼都(中京大中京・内野手・左打)を指名するのも面白い。

選手層の厚いソフトバンクなだけに、何らかの特徴がある選手でないと、埋没してしまう恐れがある。走攻守いずれかに強烈な個性がある選手が加わると心強い。

③ 先発型右腕

質・量ともに充実の陣容だが、強いて言えば千賀滉大っがMLBに挑戦した場合、先発に割って入る投手が欲しいところだ。緊急性は低いので、未完成の高校生でも問題ない。

地元の山下舜平大(福岡大大濠・投手・右投)はドラフト上位候補としての呼び声が高く、将来性を評価する声は多い。150キロ台を連発できるストレートとカーブの2球種のみで勝負する本格派で、何種類もの変化球を駆使する今どきの高校生とは一線を画す。

左投手が欲しいのであれば、松本隆之介(横浜)髙田琢登(静岡商)が高校生では有力候補になってくる。特に松本は自粛明けの対外試合でストレートの最速が150キロを突破し、スライダーやカーブといった変化球も器用に操る。手足も長く、190センチ近くある大型左腕として大成することができれば,日本球界において今までにないタイプの投手になる可能性がある。

まとめ

ソフトバンクが指名する選手の傾向としては、高校生が中心となることが多い。甲子園などの実績に乏しかったり、完成度が決して高くない選手も支配下登録選手として指名してきた。一方で、このようなドラフト戦略の成果が反映されない年も少なくなく、育成選手として入団した選手たちの方が活躍しているケースも少なくない。

結果として、高齢化する主力選手のカバーができず、更なる高齢化を進行させてしまっている。ここ数年の指名の反省から、近年では大学生・社会人の選手を積極的に中位以下する方向にシフトチェンジしている。

今回は主に高校生の紹介が主となったが、ドラフト会議当日においては大学生・社会人の選手の名前が呼ばれることも念頭に入れておきたい。


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