大自然に学ぶ
〈近親婚を避ける植物たち〉
『古事記』は、
日本のもっとも古い歴史物語として誰にでも知られている。
上巻に綴られる神話は興味のつきない内容の話ばかりである。
なかでも、
最初の主役、
ヒロイン、
ヒーロー、
天照大神と須佐之男命の二人の物語は面白い。
アマテラス大神とスサノオは、
大八島(日本群島)を生んだ伊邪那岐大神の子どもである。
つまり姉と弟である。
姉アマテラスの問いにスサノオは
「私は別に反逆心があって来たわけではありません。父君のイザナギから追放された事情を申し上げ、お別れにあがったのです」
と答える。
するとアマテラスは
「それではお前の心が清く明るいことを証拠だてなさい」
と反論する。
スサノオはためらいもなく次のように言った。
「お互いに〈うけい〉して子どもを生みましょう」
うけいは誓いである。
結婚して子どもを生み、
生まれた子どもによって身の潔白を証明しようとスサノオは申し出たのである。
そして、
アマテラスはスサノオの佩ていた十拳剣によって、
スサノオはアマテラスの句玉によって、
それぞれたくさんの子どもを生む。
といった言った記述があるが、
これは明らかに師弟による近親婚を綴ったものといってよい。
スサノオの剣とアマテラスの玉は性器象徴であり、
それを交換して口にして子を生むのであるから、
結婚と考えてよいだろう。
ずっと昔は、
兄妹、姉弟の間だけでなく、
父娘、
母息子の交婚が普通だった。
さまざまな国の神話にそれが語られている。
植物は、
花を咲かせ、
花の中にある雄蕊と雌蕊が成熟すると、
雄蕊の花粉が雌蕊について結婚を成立させる。
植物は受粉によって雌雄が結びつき子どもを生むのである。
雌蕊に雄蕊の花粉がつくといえば、
たいていの人は一つの花の中の雄蕊の花粉が同じ花の雌蕊につくのだと考えているのではあるまいか。
が、
ごく一部の植物を除いて、
同じ花の雌蕊と雄蕊は結合しないのである。
近親結婚を避けるものがほとんどといってよい。
同じ花の中の雌蕊と雄蕊は離れているし、
雌蕊より雄蕊は短く、
同じ花の雄蕊の花粉がこぼれ落ちても雌蕊につかないようになっている。
また、
同じ花の中の雌蕊と雄蕊は、
成熟して結婚できるようになる時期がずれている。
雄蕊が早く成熟して花粉を放出したあとで、
雌蕊が成熟すると、
雄蕊はもう枯れて役に立たなくなっているといったふうである。
植物は、
人間よりもずっと早い時代から、
近親結婚により子孫への悪影響を避けているのである。
が、
人間はどうだろう。
近親婚をタブー視するようになってから、
まだ二千年も経っていない。
➖「座右の銘」研究会➖
では、
本日も素敵な一日をお過ごしください。
今日もよろしくお願い申し上げます🥺
ありがとうございます😊
➿今日の一言➿
いかなる自然の中にも美を認め得ないものは、
その人の心に欠陥のあることを示す。
➖シラー➖