ジブリ映画「かぐや姫の物語」考察 2

自称作家 あまおう まあお がDVD見て原作読んで全力で考えてみた!!

かぐや姫は異端児

 これは初見で気づけることだと思いますが、このストーリーの中でかぐや姫は徹底して異端の子として描かれます。

一、竹から生まれた異形
二、成長のはやい子ども、変な子ども
三、「高貴の姫君は、人ではないのね!」と叫んで化粧を拒否する姫
四、月の天人であるはずなのに「この地に憧れ」罪人として流された女
五、そして最後まで地球にいたいと泣いた姫

 ざっと見ただけでもこれだけあります。姫はどの立場にいても、誰とも「同じ属性をもてない」女なのです。地球人としては「変な子」であり、月の天人としては「穢き地に憧れる罪人」。高貴の姫君としても生きられず、山の連中とも違って美しく才能がある(琴や美声、その他手習い)。

 この姫は異端の子なので、山にも都にもそして月にも、どこにも、居場所はありません。

 繰り返される「にせもの」という言葉が端的に姫の感じる「疎外感」をあらわしていると思いますね。にせものの宝。にせものの山里。わたしも、にせもの。姫は最初から最後までずっと孤独で、異端児です。

 でも本当はたった一人だけ、姫と同じ属性の人物がいたんですけど……そう、あのひとですね。それはあとで語りましょう。結論だけ知りたい方はココに飛んでください。

 ついでなので詳細も軽く論じておきましょう。

 一、竹から生まれた異形 

 原作準拠ですが、竹筒の根元から生まれたのでなく、たけのこの台座の中におられましたね。光背の仏様みたいに見えましたが、どうでしょうか。翁も初対面のときに、反射的に拝んでいましたよ。そういえば月のお迎えの天人たち、やたら福耳パンチパーマの方がいましたっけね? 

 二、姫様はやたら成長が早い

 これも原作準拠ですが、作中ではたけのこのように育つと言われていましたね。

 この理由は二つあると思っていまして、ひとつは「時間」のことなんですが、それは後でゆっくりと述べます。

 ここではもうひとつの法則について述べます。姫が急成長するのには「捨丸にいちゃんとのふれあい」も関係しているようなのですが、それだけでなく花が咲いたり鳥が鳴いてもガンガン成長します。捨丸にいちゃんが好きだからとか、セックスを示唆、とかでなく、それもすべて含めた「自然の摂理」と連動して成長しているように見えるのですが、どうでしょうね。

 姫は月の天人ですが、地球人を含んだ地球の自然に触れると心が動かされて心身ともに経験値がたまる、という仕様にみえましたが。

 三、化粧は拒否「高貴の姫君は人ではないのね!」

 翁は姫の幸せのために姫を高貴の姫君にしようとしますが、姫は「鳥や獣のように」生きたいのだと言ってごねていますね。眉やお歯黒を拒否するあたり、虫愛づる姫君(堤中納言物語)のようです。高貴の姫君は心を決して動かさない月の天人たちと同じ種類の生き方です。姫は月の天人より、地球人の泥臭い生き方に憧れがあるんですね。

 四、姫は罪人

 しかしこの姫はどうしてそんなに地球に憧れるのでしょうね……? このことはココで詳しく論じておきます。

 五、月に帰りたくないかぐや姫

 姫は地球人としても月の天人としても、どっちつかずです。それってつまり……!

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