旅の終わりに思うことと、noteを始めて書きたかったこと【三陸旅行記#5】
この記事を書くために、noteを始めました。
海女さんたちとの出会いはこちら↓↓
海女さんからの預かりもの
青春18きっぷを購入し、「復興って言われてるニュースの現場を見に行こう」と東北、三陸へ向かった私。
大好きな朝ドラ、「あまちゃん」のロケ地、小袖海岸の海女さんから、津波の話を聞いた。
海底がガレキで埋まっていたこと。
亡くなった人もいたこと。
しばらくは潜ることなんて、考えられなかったこと。
ぽつぽつと語ってくださるそれは、悲惨な話、というより、「7年経っても一切軽くならない出来事」という感覚だった。
旅の中で見た、荒涼とした「被災地」の風景を思い出した。
BRTの中から見た、たくさんの工事現場。
南三陸さんさん商店街で、いちご氷を食べながら見た風景。
奇跡の一本松の周りの、だだっぴろい真っ暗な土地。
街はきれいに作り変えられても、
記憶も傷も変わらずあるものなのだろうな、と感じた。
ニュースで、復興が進んだ、進んでいない、と言われていても、何も変わらない。
その話を聞いてから今年で3年が経つが、海女さんたちから話を聞いたときの空気や重々しさは、私の記憶にも残っている。
私が言えたことではないが、風化させない、ってそういうことなのかもしれない。
海女さんに、「大学では何勉強してるの」と聞かれ、
「メディアです」と答えると、「じゃあ三陸のこと書いてね」と言われた。
私が勉強しているのは「メディアアーツ」だし、就職先は広告代理店だったが、でも書くだけならできる。
そう思ってその翌朝、久慈からの夜行バスから降りてすぐ、noteのアカウントを作った。
……そのわりには、三陸旅行記の初投稿はその翌年。完結にいたっては、実に旅の3年後なのだが……
3年かけて積み重ねたことを、今書いています。
大将と初・回らないお寿司
海女さんたちにお礼を言って、久慈市街で車を降ろしてもらったら、あとは帰りの夜行バスを待つのみ。
その前に腹ごしらえ…と思ったが、曜日が悪かったのか、定休日のお店ばかり。開いていたお寿司屋さんに、勇気を出して入れてもらう。
人生初・ひとり・回らないお寿司である。
お任せのお寿司を、カウンターに1貫ずつ出してもらうタイプである。
わぁお高級。
平日の夜早い時間だったので、お客は例のごとく私一人。
「どこから来たの」から始まった大将との会話は、意外と弾んだ。
「『あまちゃん』の聖地巡りをしてきたんです」
「そうか。あまちゃんの撮影クルー、そこのホテルに泊まってたぞ」
などの裏話から、大将の身の上話や人生訓などなど、美味しいお寿司と一緒にたくさん聞かせてもらった。
さらに「旬じゃないから冷凍だけどな」と、ご厚意で、コースに入っていないウニを出していただく。久慈で食べるウニというだけでとてもありがたい食べ物なのだが、冷凍なんてわからないくらい、臭みがなくて甘いウニ。
どこかで張り詰めたような気持ちが、だいぶほぐれるような味だった。
「そろそろバスの時間なので」と帰り際、「俺はこれが大好きなんだ」と黒飴まで持たせてくださる。私も黒飴大好きです。
田舎は人があたたかい、という。
しかし1人旅で、しかも鉄道に乗ってばかりなのに、海女さんといい、大将といい、人の優しさに支えられるとは思わなかった。
久慈駅前のバス停から東京駅行きの夜行バスに乗って、元来た関東へ逆戻り。お土産を抱えて、無事に帰宅することになったのだった。
おまけ・旅の3年後に思うこと
三陸旅行記#3で書いた、闇夜の奇跡の一本松。
あそこでフェンスを張って工事をしていたエリアは、芝生の公園になったらしい。
そして、街灯がない理由を考えながらバスを待っていた、盛り土のエリア。
今は物流拠点だか、大きな施設ができているらしい。
そのことを去年、テレビで知って大いに驚いた。
これが復興というものか。今までのものを塗り替えるように、新しいものができていく。これが復興か……と高揚するような、実感するような。
今もテレビで一本松を見るたびに、あのときの恐怖と感動を思い出す。
三陸鉄道が映るたびに、ワクワクと、海女さんから聞いた出来事を思い出す。
盛り土が映るたびに、土埃の舞う工事現場を思い出す。
「被災者ではない」「被災した現場に行っていない」私が語ってよいものか、とも思うが、実際に三陸を旅したことで、心に残っているものは確かにある。
いつの間にかあの真っ暗な場所に建物ができていたように、被災地の工事はきっと日夜進んでいる。
そのことも、その工事の前に起きたことも、何年が経とうと忘れてはいけないなと思う、今日この頃です。
……え?青春18きっぷの旅がどうだったかって?
以降鉄道旅には大ハマりですよ。その3ヶ月に北海道を一周しに行ったり、翌年には開通したリアス線を乗り通しに行ったりしています。
そのお話は、またいずれ。
~三陸旅行記 終わり~
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