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読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」 進捗 7 純情娘と好色男

 



やっぱり、新しい読者は開拓したいなと思う。

まだ読んだことのない人、あまり手を出しそうもない人に興味をもってもらいたい。

格式高くお行儀よくもいいけれど、ちょっと違ったアプローチから古典をわかりやすく、下品に攻めてみたいと思います。



グーテンベルクのリンクです。(英語版フランス語版
フランス語は読めないので英語の翻訳で挑戦。
訳したのはIsabel F. Hapgoodさん



冒頭のおさらい追加。

進捗レポは途中からはじめてしまったから、省いている部分がかなりある。
順不同かもしれない。

・カジモドは冒頭あたりで、一度エスメラルダを襲ってさらし刑の罰を受けている。その時彼女を助けたのがフィーバス。この誘拐事件は、フロロが命じたのではないか?と推測しているけど、そこについての記述はまだなし。

・さらし刑を受けているカジモドをかわいそうに思って水をあげるエスメラルダと、おそらく母っぽい尼とのすれちがい。(これはかなり筆を割いている)

・フロロの紹介とともに、尼のエピソードも語られる、どうやらカジモドとエスメラルダは取替えっ子らしい。

・ジプシーの巣に迷い込んだグリンゴワール君は、地下世界で縛り首になりかけるが、ジプシー娘の誰かがお前を夫にするなら仲間だから命を助ける、などと言われる。そこでエスメラルダが彼を助けるために自分の夫としている。(このパートめっちゃ長い)

・形だけの妻と夫として一室でグリンゴワールとエスメラルダは話をする。ここでエスメラルダの生い立ちとか、持っている護符(母のアミュレット)とか、貞操観念だとか、男性のタイプとかをお話する。(このパートもめっちゃ長い)

・フィーバス君と婚約者との退屈なお話(割と長い)最後の方で踊っているエスメラルダと邂逅、このあたりで多分デートの約束をしたと思われるがその記述はなし。

・エスメラルダによりそってるグリンゴワールを見て詰め寄るフロロ、夫婦になったことを聞いて真っ青、でも形だけでいっさい彼女は指を触れさせてくれない、というのを聞いて一安心(割と長い)

これまでこういうことがありました。
あとは進捗1~6に続く。


まとめ 読みかけ「ノートルダム・ド・パリ」進捗 1~6まで

前回の記事



ではつづき。
注意!ネタバレです!!!


フィーバスくん、ついてきたフロロをとつぜんぼろ屋のぼろ部屋の中に押し込んで鍵をかけちゃった。
要はいきなり閉じ込めた?
体よく厄介払い?金だけもらって?

やるじゃん…とんちき。

古典を読んでいるとたまに思うのだが、ぼんくらだと思っていたら案外にも予想外のことをやる。

ユーゴーで特に印象的だったのは「ああ無常」のマリユスだ。

漫画で表現される時には間違いなく
「線が細くて貴公子系のたおやかなイケメン」
になるのだが、読んだ感じ、ぜんぜん違ってた。

これがまた、なかなかどうして!
予想外に骨のある男っぽい感じの青年だった。

成長してからは一筋縄ではいかない風格のある男に成長するし。
(いつか紹介できる時があれば…)

これだから、読んでみないとわからない!
あらすじだけでは絶対にわからない!



さて、フィーバスは鼻の下を伸ばしてエスメラルダとデート開始。

エスメラルダが到着して、とりあえずフィーバスはまあ、嘘は言っていなかったことがわかる。
邪魔されないためにフロロを閉じ込めたけど、覗き見は出来る状態になっている。

今更なのか、読み飛ばしていたのかわからないが、エスメラルダのひとみは黒だということがわかった。

さて「あなたわたしのことすき?」と言われてお返事するフィーバスがいかにゲスかごらんください

"Do I love thee, angel of my life!" exclaimed the captain, half kneeling. "My body, my blood, my soul, all are thine; all are for thee. I love thee, and I have never loved any one but thee."
The captain had repeated this phrase so many times, in many similar conjunctures, that he delivered it all in one breath, without committing a single mistake.

経験豊富で、やりたいだけのために口先うまく「愛してる」を使える男。
なんのかんのうまいこといいながら脱がせようとする。

古典はわりとえっちな所を思わせぶりに書くだけで描写しないので、ここまで私は当惑しながらも「そうは言っても古典だし、やっぱりただお茶してラブのお話をするだけなのではないか」という一抹の希望を持っていた。

フィーバスくんはとんでもなくめっちゃやる気満々です。

これをフロロに見せながらって、フィーバスはゲスなあんぽんたんのみならず、相当の変態やね。

自分のH(たぶん)をカネをもらって見せる。
ありえんわ。
こんなキャラいままでおらんかったわ。

記憶を探っても、(さぐるな!!)
フィールディングの「トム・ジョーンズ」が女子を妊娠させたり「茂みから這い出した」りした奴…。
リチャードソンの「パミラ」で旦那様が下着姿で襲い掛かってきたりとか…。
そのくらいか…。

もっと古い時代のものは、かなり直接的に描いているが(インドやアラビア)、古典とはいってもこの時代の小説でここまで際どいのはあまりないような気がするぞ。

ここまで来るとフィーバスは嫌いとかそういうレベルではなくなって、もうそういう特殊な性癖のキャラと見るしかなくなった。

純情娘のエスメラルダは天真爛漫に「結婚のためにあなたの宗派を教えて」とフィーバスに言う。
かわいいね!純情だね!

以下が言われた時の隊長のリアクションです。

The captain's face assumed an expression of mingled surprise and disdain, of carelessness and libertine passion.

最低!最低!

川谷くんなんてただのおちゃめなキノコ!(歌うまいし)
これがほんとうのゲスやで!!!



エスメラルダはうっとりしちゃって、半分脱がされたところで我に返る。
胸を隠したとあるから多分おっぱいは出ちゃってる。
あけすけで相当責めてる感じある。

「お母さんどこなの?助けて!」

かわいい。

エッチを拒否されて冷たい調子で
「そういうこと言うのって。そっか。好きじゃないんだ」
とか言いやがるフィーバス。

くそ。



つづく。




フロロがとじこめられたあたりから俄然、話が面白い。

七章から動き出す。

しかし、あの冗長な冒頭も意味はあった。
ここに来て初めて、全てが生きてくるのがわかる。
登場人物たちが皆、その場にいるように動き出す!
作者の手の内で、ではない。
読んでいるこちらの胸の中で、だ。

これだからやめられない!!
頑張って読み続けて良かった!
前半の不満がマイナスなら今逆転。
これを感じてほしいから、読め読めって言う。言い続ける。


図書館に戻して欲しい。




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