出版裏話2

【日本人とドイツ人】出版裏話2:この原稿おもしろくないですよね?

8月9日発売『日本人とドイツ人 比べてみたらどっちもどっち』(新潮新書)の裏話、第2話目です٩꒰。•◡•。꒱۶

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新潮新書風の文章ってなんや……?

あれやこれやあって、原稿執筆に取り掛かったわたし。編集G氏に「とりあえず書いてみて」と言われて選んだのは、『働き方』というテーマでした。ドイツの働き方は日本での注目度が高いので、日本とドイツについての本を書くのであれば外せないテーマだなぁと。

だがしかし! ここで問題が発生

わたしはふだんWebで活動しているので、軽い文体で書くことが多いんですね。ブログなんてほとんど話し言葉みたいな文体だし。でも新潮新書で「草生える」とか書いたら、さすがに頭悪すぎるじゃないですか……。

Yahoo!ニュースや東洋経済オンラインの寄稿のときはさすがにちゃんと書いていたので、「それのもうちょっとオカタイバージョンがいいのかな?」とあたりをつけます。

わたしのなかの『新潮新書』のイメージは、「エリートサラリーマン(ぶっちゃけおじさん)が読むもの」でした。だから「そういった人がふだん読んでいるであろう頭がいい雰囲気の文」という、なんとも頭の悪そうなイメージをもとに執筆を開始します。


おもしろくねーよな!!(直球)

せっかくなので晒します。これが、一番最初に書いた書籍のための原稿の一部です。

『 メンバーシップ型の特徴が、人事異動だ。入社時点で将来を決める必要はなく、いろいろな部署や支店を異動しながら、おのずと最適なポジションに収まっていくシステムである。
 日本の主な給与体系は職能給で、職務の遂行能力を評価される。職能給とは、端的に言えば「どれだけ仕事ができるか」「前回の査定よりどれだけ仕事ができるようになったか」を評価してランクに分け給料を決める方式で、「人によって給料が決まる」ともいえる。
 職能給、つまりどれだけ仕事ができるかは、ある程度勤続年数に比例すると考えられているので、自然と年功序列になる。また、営業から経理へ異動したとしても、本人の能力に対する評価なので給料の連続性が保たれ、人事異動が可能になる。ほかにも、社内でのテストや会社が指定される資格に合格すれば等級が上がり給料アップすることもある。つまり、日本では地道に努力してできることを増やしていけば、それなりにみんな給料アップを狙える。もっと端的にいえば、みんな出世街道に進むことができる社会だ。』

こんな感じで1万字弱かな? 『働き方』をテーマに、めちゃくちゃ苦労してひとつの『章』を書きました。いっぱい調べたし、いっぱい書き直した。

でもさぁ……

この原稿、おもしろくないよね? 全然続き読みたくならないよね? ぶっちゃけつまんねーよなァ!?

こんなに目がすべる原稿をよくもまぁ編集G氏に送ったものだと、1年前の自分を頭を撫でながら回し蹴りを入れたいです。

おもしろくない自覚はあるものの、どう変えるべきなのかがよくわからないわたし。というわけで、素直に編集G氏に相談しました。

「ちゃんとしてるけどなんかちがう気がする……」というわたしに、編集G氏は的確な指示をくださいました。

※本編はずいぶん変わってますのでご安心を!!


「わたし」が本を書く意味

そこですごく心に残ってるのが、編集G氏の「よそ行きの文章のように思える」という言葉です。

新潮新書ってそもそも、わたしの土俵じゃないんですよ。だから勝手がまったくわからなくて、わたしのなかの「それっぽいもの」を作ってみた。でもよく考えれば、編集G氏はわたしが書いた軽い文体のWeb記事を読んだうえで出版を持ちかけてくださったわけで。そんなに構えなくてよかったんですね。

人間、いきなり頭よくはならねーしな!!

あと、編集G氏からもらった「いい意味での門外漢」という言葉も覚えてます。

『本』はWebのように公開後手を加えられないので、どうしても「ちゃんとしなきゃ!」って意識が強くなります。だからオカタイ文を書きました。

でもそもそも、わたしは専門家じゃないんですよ。極・一般人です。それなのに背伸びして、「わたし知ってますよ」風に書くのって小ざかしいし、単純に読んでるほうはつまんないよね。

わたしはあくまで「自分らしい文章」で、「格好つけずに」書いていけばいい。それに気づいてから、↑みたいな小ざかしい文章は削って、素直に書いていくことにしました。このへんの思いは、本書の『はじめに』で書いています。


編集の力を借りつつ1章完成(仮)

とはいいつつも、卒論以外で1万字近い文章を書いたのははじめてだったので、『章』を通して読むと、どうにもまとまりが悪い。バランスが悪い。というか読みづらい。

どういう順序で書くとわかりやすいのか、どこを膨らませるとより面白くなるのかとか、そういうがいまいちわかりません。

四苦八苦しながら『働き方』の章を書き終え、編集G氏に送信。そしたら「思い切って手を加えました」と言って、がっつり構成を組み替えたものが届きました。(長々とした解説も大幅カット)

大きく手を加えられるのがイヤな作家の方もいるかもしれませんが、わたしはよくなるのであれば歓迎派です。

それに、編集G氏は問答無用に変更したり「これがダメ」「あれもダメ」と却下したりするタイプではなく、いいところもちゃんと教えてくれる人でした。指示や意見も、すごく言葉を選んで伝えてくださっているのもわかりましたし。だから「コノヤロー」などとは思わず、「ありがとうございます!助かります!!」と受け入れて加筆・修正していきました。

最初はどう書けばいいかわからなくて探り探りだったし、企画書みたいな骨組みがないから着地点が分からなくて右往左往したりもしました。

でも編集G氏にいろいろなアドバイスをいただいたおかげで、少しずつかたちになっていくことに。まさに二人三脚!!

そうやって『章』を書き連ねたら、それらを組み合わせていよいよ『本』にします……!!

次回予告:『うわぁ本っぽい!』

こんな感じで執筆を進め、土台となる原稿が完成。お次は構成です。次回では、第1章『日本人が勘違いしているドイツ』用に書いたけど字数的にボツにした部分も公開します。

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