全裸でパスタを食べていたら股間が大変なことになった話
雨宮は昔から奇行の多い子供で、両手でも足りないほどの伝説がある。
せっかくnoteに登録したのだから、そのような奇行をここで供養しようと思う。
まずは雨宮が中学の頃にやらかした話を一つ。
ある夜、風呂上りに腹が減った私は、何を思ったか全裸のままでパスタを食べようとしていたのである。本当に何を思っていたのか、全くわからないが。
当時の私は厨二病真っ盛りで、辛いのが苦手な癖にトマトソースパスタにタバスコを大量にかけ、「タバスコの無いパスタなんて、マーキュリーのいないセーラームーンみたいなものだよね」などと、わけのわからないことをほざいていた。
だが、パスタを二口ほど食べたところで事件は起きた。
持っていたタバスコが、何故か砕け散ったのだ。
大事なことなのでもう一度言う、砕け散ったのである。
別に私は強力な握力の持ち主でも爆砕点穴の使い手でもない。
それなのに、何故か持っていたタバスコの瓶が砕け散ったのだ。
瓶が砕け散れば、当然タバスコは零れる。
そして私は一糸まとわぬ全裸なわけである。
飛び散ったタバスコはもちろん俺の素肌に降り注ぎ……主に股間にダイレクトアタックを決めてきたのだ。
私は「チェゲブァラァァァ!!」と、革命家のような悲鳴をあげ、次に入浴しようとしていた弟を張り倒して湯船に飛び込んだ。
しかし、それが失敗だったのだ。
大量のタバスコは無情にも湯船の中で広がり、痛みが全身に広がっただけだった。
私は半泣きになりながらトマトソースとタバスコで赤く染まった風呂を飛び出し、シャワーで身体を洗い流した。
そして冷凍庫から適当な肉の塊を取り出して股間を冷やしたのである。
その時、騒ぎを聞きつけてやってきた母親が、私を見て悲鳴をあげる。
おお、私の危機を心配してくれたのか……と思って感動したが、母が発した言葉は「これ、明日のハンバーグ用の肉だったのに!!!」という、どうでもよいものだった。
「それどころじゃねえよ。今、俺の股間はFire soul bird In love(歌・火野レイ)なんだよ。街はちぎれた首飾りなんだよ」と悪態を吐きたくもなったが、痛みでそれどころではない。
そして風呂場からは「なんか風呂が真っ赤なんだけど、クレオパトラでも入浴したの?」という弟の声が。無駄にうまいこと言ってくるのがむかついたが、痛みでそれどころではない。
そんな私の状況など関係ないというように。母親は「どうするの、この肉もう使えないじゃない!」などと怒り狂っている。
私は親には敬意を払うタイプだったので、痛みをこらえて「わかった、それじゃこの肉は責任もって俺が全て食う」と勇気ある提案をしたが、何故か一蹴され、強めに怒られることになってしまった。非常に納得がいかない。
結局その日は家族中から怒られ、散々な目に遭ったのである。
読者の皆さんにおかれましても、これからは全裸でタバスコを扱うのは辞めた方がいい。先人からの貴重なアドバイスである。
ちなみに、クレオパトラ風呂を洗ったのは弟だったという。これに関しては、この場を借りて謝罪したい。
「ごめんね。許してクレオパトラ」