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北海道フーディストで見かけたカップル

ご飯をパクパク美味しそうに食べる女の子はモテます。
あの日、わたしが見かけた女の子は愛されているのでしょうか。

東京駅の周辺にはたくさんのアンテナショップがあります。
中でも、北海道のアンテナショップは大人気です。
どさんこプラザと北海道フーディスト。

北海道フーディストが八重洲地下街に移転する前。6~7年ぐらい前の事。
店内のいつも混んでいるイートインスペースで、たまたま待たずに端っこの席を確保できたある昼下がり。

移転前・地上時代(ヤンマービルの向かいにありました)のイートインスペースに行ったことがある人ならご存知だと思いますが、各席同士の感覚が広くないので、向きによっては「ほとんど一緒の席なんじゃないか」というぐらい近い。

わたしが座った席もそんな感じでした。斜め前がとても近い。
その斜め前の席に、わたしと分差ぐらいのタイミングで大学生ぐらいのカップルがやってきました。女の子は当時ブレイクしたばかりのAKBの衣装を意識したのか、赤系のチェックの服を着てかわいらしい感じ。

彼女だけがイスに座って、彼氏はカウンターに戻りました。
当時のイートインスペースはセルフサービス。先にお会計して、出来たとき取りに行く方式。
わたしが頼んだラーメンも出来たので、ほぼ同じタイミングでトレーを持って自席に。

彼氏のトレーにはカレーが一皿だけ載っていて、彼氏の前に置かれました。彼女が頼んだ品物はまだ出来上がっていないようです。

直後、彼女が彼氏のカレーのお皿を自分の前に引き寄せました。スプーンを右手に持ってルーがかかった部分に差します。

ああ、一口ちょうだいってやつか。仲いいね。

わたしもお腹が空いていたのでラーメンをすすります。おいしい。
どんぶりの中身に集中します。

夢中になって食べていると、割と近くからカッチャカッチャガチャーンと金属と陶器がぶつかる耳障りな音が。

なんだ?

顔をあげると、先ほどのカップルの彼女の方がカレーを一心不乱にかき込んでいます。
鼻先がカレーにつくぐらい顔をお皿に突っ込んで、柄をガッシリと握られたスプーンを、カレー皿と口の間をせわしなく往復させながら。
カッチャカッチャは、スプーンがカレーに突き刺さって勢い余りお皿に当たる音だったのです。

お皿の中身をよく見るとカレーは半分ぐらい消えていました。一口どころじゃありません。
ルーと具材の部分から食べられており、カレー色がついたご飯が無残に取り残されています。

彼氏が席を立ちました。ああ、このカレーは彼女のだったのか。
それにしても、すごい食べ方だな。

もどってきた彼氏が持ってきたのはイクラとルイベっぽいサーモンの親子重。ドンブリではなく、プラスチック製でしょうけど、お重のような上品な入れ物に入っていました。
ああ、これが彼のお昼ご飯か。

ぼーっとしてたらラーメンのびちゃう。再び自分の食事に集中しました。

ゴゴゴズズズーと耳障りな騒音が。

またなに???
顔をあげると、またくだんのカップルで、彼女が食べかけのカレーのお皿をテーブルに乗ったままぐいぐいと前に、彼氏の体の前に押していたのです。

彼女は素早く彼氏の前にあるイクラとサーモンのお重をつかんで、自分の前に置きました。置いたと同時に今度は、漆塗りのれんげに持ち替えた手がお重の上に伸びます。

もうこれ見てしまい、自分の食事がお留守になってしまいました。
目が離せません。

土砂につっこんだユンボのバケットのように、れんげはイクラの山をどんどん掘り進んでいきます。
こんもりとれんげに盛られたイクラは、容赦なく彼女の口に入っていきました。またしても顔がお重にくっつくぐらいワンコ状態。

一方彼は、カレー色の残飯をうつむきながらもそもそ食べています。

カレーごはんを食べ終えた彼氏が何か話しかけているのですが、彼女はまったく反応せずイクラとルイベをボンボン口に押し込みます。

やはり、具が9割方なくなって、つぶれたイクラとシャケの残骸をのせたうっすらイクラ色ごはんが残った段階で、お重は彼の方に押しやられました。
うっすらイクラ色の残飯を無言で片付ける彼。

彼女はスマホを取り出して画面をみつめ、手をせわしなく動かします。体はこころなしか、斜め外側を向いた状態で。

残飯だけで胃袋を満たせたかどうか不明の彼が一言発すると、ふたりは立ち上がって店を出ました。

なんなんだこのデートは。

そんなにお腹空いてるなら、家出る前に何か食べてくればいいのになあ。

まあ、彼氏に不満がなければいいんでしょう。
しかし、彼女の食べ方はすさまじかった。
清々しいほど食い意地張っていました。
あんな意地汚い食べ方を見るのは初めて、というか、後にも先にもあの一度だけ。

食べ方って生理的な部分にかかわってくるので、受け入れられないと一発退場みたいなイメージがあったのですが、このカップルに関しては全然関係ないみたい。

彼も、嫌じゃないのかな?
彼の愛情の方が彼女のそれよりも重くて、イニシアチブを取られてしまっているんでしょうね。

見えないところでうまくいっているのでしょうか。
実はもう末期な段階に入っていたのでしょうか。

変わりない日常という雰囲気・オーラが出ているふたりだったのですが。

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タロット占い師です タロット話やちょっと黒い日記が主です ヘッダーの画像がボケてます
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