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ランニングシャツを着てはいけない

当時の家族構成は、両親と妹、そして私でした。
4歳の時、隣町から今の場所に引っ越してきたのですが、引っ越す前のことは全然覚えていません。なので、幼少期の記憶の始まりは、引っ越しからあとのこととなります。

私が幼少期に、自分の性別について疑問を感じた経験は、はっきりと覚えている限りでは、1つだけです。ただ、この経験は、自分の性別が男ではないことについての違和感というわけではなくて、自分は女の子と同じようにしなくてはいけないと感じた経験でした。

それは、自分が来ている服についてです。

歳は5歳、夏の暑い時期のことです。私はいつものように、公園で遊んでいました。
そんなある日のことです。私はふと、こんなことを考えたのです。

「自分はなぜ、こんなに体の中まで透けて見えるほどの、薄い服を着ているのか?」

そのときの服装は、下は短いズボン、上はかなり薄いランニングシャツでした。この薄いランニングシャツ、特に、両肩が露出し、体の中まで見えてしまうのが、そのときとても恥ずかしく感じたのです。

男の子も女の子も、夏の暑い時期は、薄手の服をみんな着ます。でも女の子は、胸が見えてしまうほど薄い服は着ないと、そのときの私は考えたのです。

そう考えた私は、急いで公園から自宅に戻り、Tシャツに着替えたのです。

これ以来、私は薄いランニングシャツは着ないと、母に訴えるようになりました。私が拒むたびに、母は変な顔をして、どうして着ないのかと私に詰め寄りました。
しかし、毎回毎回、あまりにも私が拒むので、最後はあきらめたようでした。

幼少期の交友関係は、女の子と遊ぶことが多かったです。男の子と一緒に遊んだ記憶は、あまりありません。

自分の性別について、特に深く考えたことはありませんでしたが、女の子と一緒に遊ぶ方が、楽しかったです。時々、女の子の家に遊びに行ったりしていました。

その頃私は、保育園に通っていました。園外に散歩に行くときは、必ず二人一組で手をつないで歩く決まりになっていました。私は、いつも女の子と手をつないでいました。

私の性格は、おとなしいタイプです。誰かとけんかをした記憶もありません。いやなことを言われても反論することは少なく、逆に泣いてしまうことが多かったです。

性別の違いについては、髪の長さや服のデザインが違うという程度でとらえていました。はっきりと、何がどう違うという考えは、持っていませんでした。

(小学校・低学年の自分史へ続く)

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