食事のLCA.001

食事のメニューと二酸化炭素排出量の関係

CO2を減らしたい、多くの人が考えていると思います。CO2削減のために何か新たな対策、特に出費を伴うものはハードルが高い、そう感じる人もまた多そうですね。
でも排出の原因を知れば、その要因となったことをやめる、他のやり方に変えるなど、すぐにできることがあります。
排出を知り分析するための優れた手法であるLCA(ライフサイクルアセスメント)を使って、身近なところのCO2排出を分析してみましょう。

生活に必要なこと、日常的なことに着目します、それは食事。
和食、洋食、中華、それぞれについて食事に伴うCO2排出がどのように違うのか?この切り口でLCAをやってみます。
前提としては食材を買ってきて、家庭で手作りした場合を想定しています。

【ご注意ください】このようなメニューだったらこうなる、という分析の際のそのメニューの名前として「和食」「洋食」「中華」を用いているだけなので、これ以降に書くことが、例えば洋食全てに当てはまるということではありません。

LCAではまず機能と機能単位の設定から始めます。ここでは食事の機能を生きるための「栄養摂取」とし、機能単位として「女性30〜40才身体レベルふつうに必要な栄養充足率」、つまり栄養学的にみて同等のメニューで比較するということです。

和洋中それぞれのメニューは表に示した通りです。
LCAを使ってメニューごとのCO2排出量を、食材を生産するまでの排出と、調理の排出、それぞれについて算出した結果をグラフに示します。
グラフを見ると次のことがわかります。
 1) 調理のCO2は和食が多い
 2) 食材は洋食が多い
 3) トータルでは洋食が多い

調理については意外に思う人が多いかもしれません。火力をいっぱいにして調理する中華が最もCO2を出してしまいそうな気がします。その一方で地和食は弱火や中火が中心。しかし、この結果です。今回の和食メニューの調理では「蒸す」、「煮る」が登場します。これらは火力は強くなくても時間が長いため、結果的にCO2排出が多くなります。
中華は火力が強くても短時間の調理なので、見た目ほどにはCO2が出ていないということですね。

食材を見ると洋食が格段に多いです。これは牛肉を使うことが原因となっています。牛肉の問題点はかなり知られてきたのでここでは繰り返しませんが、こうしてみるとCO2削減のためには牛肉を使った献立や食事は見直しが必要になりそうです。

トータルでも洋食が格段に多いという結果になりました。これはライフサイクルで見た場合、今回の事例では食材の生産というライフステージが支配的になっていたことに起因します。

こうしてみると、牛肉を使うことを減らす、調理も少なくとも必要以上の加熱は避けるといったことに気をつけるとよさそうです。保温調理はもっと活用したい調理法です。

最後に。
繰り返しになりますが、洋食がダメで、中華や和食がよいと言っているのではありません。
どのような食材を選ぶのか、それをどのように調理するのかが重要だということです。
食材選びの際には産地も重要です。近くのものか、海外から輸入しているのか。買い過ぎも要注意ですね。食品ロスをゼロに近づけることはそんなにむずかしいことではないと思います。

ちょっと面倒くさいかもしれませんが、一つひとつの行為がどのようにCO2排出と結びついているのか想像する、そんなことを習慣にすればだいぶ違ってくるだろうと考えています。

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