映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』と本『ワイルドサイドをほっつき歩け』

映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』を観て

そして『ワイルドサイドをほっつき歩け』を読んだ。

偶然の一致、にしては・・・どちらも、イギリスの労働者たちの、60代前後の男性のいま、の話。

イギリスというとどうしても学生時代にロンドンへ友人たちが行っていて(自分は東南アジアばかり行き)、天気と食事は良くないけれどあとは最高、私にとってはそんな話で彩られている、そんな国。でもこの10年、20年でどう変わったか。

特に医療、NHS(国民保健サービス)。英国の医療は、NHSと私立の医療施設に分かれていて、前者は無料、後者は高額、という認識だった。今回、コロナのこともあって、NHSがどうなっているのかということは、情報として知りたいと思って、個人的にもよく読んでいたことだったけれど。

手術は数か月待ち、それすら過去の話。誰でもかかれる、は夢のまた夢。(詳しくはワイルドサイドを〜にあり)
お金持ちの人は公共サービスを使っていないので、緊縮財政が大規模に行われようと痛くも痒くもない。(ワイルドサイドを〜より)

というのは、コロナ禍にあって、私立の小中高で、オンライン授業がガンガン進んでいて、夏休みもしっかりとれて、公立は全く授業は進まず夏休みも2週間ない、そんな日本の話とも近いものがある。

日本の医療制度、行政の仕組み、様々な問題点はたくさん出てくるけれど、良い面もまた見えてくる。他国を知ることで、自国の良い面もまずい面も浮き彫りになる。

『わたしはダニエル・ブレイク』が公開された2016年の時点ではまだ日本でそこまで一般的ではなかったフードバンク。(映画の中で多くの人々の心に刻まれる部分でもある)
「ワイルドサイド」でも触れていて、無料託児所が潰れてフードバンクになったとあった。図書館も閉館になった、とあった。
4年後の2020年のいま、かなり日本全国あちこちで広まっていて、フードバンクが頼みの綱の人がたくさんいる状況というのも、映画や本に描かれた英国の様子は、明日の日本の姿なのだと思うところもある。

もちろん、ある意味では日本のほうが大変な面もあるし、英国のほうが良い面だってあるだろうけれど。

行政に頼れない部分は、ますます増えていく。行政をあてにできないことは大きくなっていく一方だろう。

等しく、公共の、と思うと、国が、自治体が、と思う時期もあったけれど、民間がどこまでできるか、隣の人とどう手を取り合えるか、そんな挑戦が私の中でも続いているいま(地域活動)、見て&読んでよかったものである。

バードバスさんにて

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