見出し画像

あまくさの水産業を守っているひとに聞いてみた~みらいの天草~

自己紹介:熊本県の島である、天草(あまくさ)出身の赤木 京子です。私は高校を卒業後に進学のために上京して、そのまま東京で就職をしました。海外へは13ヵ国、2年半ほど、ひとりで旅していました。現在は東京で介護福祉士の仕事をしています。

東京にいながらも愛する天草を応援するために、天草市がつくった天草市ふるさと住民の広報部の一員としてPRのお手伝いをさせていただいています。天草ふるさと住民noteの記事を通して、天草に興味をもっていただきき、天草へ足を運んでくださるキッカケになったら嬉しいです。

天草のいまを伝えるために、実際に天草のかたの声を聞いて来ました!
今回は、熊本県上天草市大矢野町で飲食店の運営、水産加工業をされている株式会社むらたの代表取締役 村田浩士さんとお父様の安廣さん、加工部責任者 毛利敬太さんにインタビューしました。


現在の天草


・人口減少
どの地方でも過疎化の問題はあると思いますが、天草では若い方は島を出て働くようになり、それに伴い子供の数が減り、更に高齢化が進んでいる状況だそうです。「各市町村では、何とかしなければと議論するが抜本的な解決策が見当たらない」と話されます。

一番の要因は一次産業である漁業農業の景気が段々と下がっている事と漁師などの成り手不足も原因のようです。例えば、漁師の親は漁業だけでは生活が出来ないと、子供に苦労をさせたくないと考え、子供に漁業を継がせない傾向にあるそうです。この為、若い人は天草を離れて別の地で働くようです。

もし、昔のように漁業農業でもゆっくり生活が出来るだけの十分な収入があれば、一次産業の後継者は残るだろうと話されます。また「1つでも大きな会社があると人口減少を食い止められるのでは」と語られます。

現在の天草は「全ての業界で人手不足」だそうです。
天草には大学、短大が無い為、高校を卒業したら天草を出て進学し、そのまま天草以外の土地で就職するからでしょうか。

・道と橋の交通
熊本と言えば、阿蘇、天草が有名と思いますが、この有名な地域の交通は不便のようです。天草の「出入り口の道はひとつ」です。大渋滞になる事もあるそうです。

この状況を踏まえて、天草市牛深町から鹿児島県長島町に大型船が通れる開閉式の橋を作り、もう一つの天草の玄関口として牛深からもアクセスできる道(橋)を作ったら、もっと便利になるのではと村田社長は話されます。

もし、この「道」が実現出来たら、渋滞を回避できてアクセスが良くなり、観光客も増えるのではないでしょうか。

水道水
上天草市大矢野町は全国的に見ても水道料金が高いとの事です。熊本県八代市氷川町から海底送水管を使って水を引いているそうです。
日々使う水道代が高いという事は、家計にかなりの影響があると考えます。

むらた社がある維和島(イワジマ)へ渡る橋
私がバイクで橋を通った際は、対向車の方がすれ違い際に会釈され、人の温かさに驚きました。

・水産業の価格変動
養殖業界においては、価格低迷、資材の高騰により、昔みたいにそれなりの単価が取れなくなったと話されます。

例えば、ふぐを市場で取引きする価格が1キロ3000円から4000円代の時もあれば、暴落時は1キロ1000円代になる時もあるそうです。つまり原価割れです。
鯛については、1キロ1200円から1500円代の時もありますが、コロナの影響で飲食店への需要が減り、1キロ500円、400円代になった事もあるそうです。

私は「頑張って育てたのに、1キロ400円なの…」と悲しくなりました。
なぜなら、むらた社の陸上養殖は海水の汲み上げ、海水のろ過作業、大量に餌を食べるふぐの餌作り、ふぐの歯切り(ふぐは共食いする為)、水質・水流・酸素の管理など様々な工程があります。その養殖場、加工場の現場で働く人を見たから、原価割れの話を聞いてショックを受けました。

お話を伺ったむらた社とは?


沿革
2007年 居酒屋「天蔵のむら田」を熊本県上天草市にて創業
2011年 株式会社むらたを設立
2014年 天草水産加工場を設立

熊本県天草の玄関口にある水産加工場です。
熊本県の適正養殖業者認証を受けており、適正な養殖管理の下に育てられた証があるトラフグです。長年にわたる経験や蓄積された技術やデータを活かし、「安全・安心」で美味しく、美しいフグを育てています。
天然フグに近づける為の工夫や、フグが食べる弊社オリジナルの餌を製造して与えています。

生産・加工を一貫して行っていますので、お客様のご要望に対する最適なご提案、行き届いた品質管理、中間マージン等のコストを抑えられ、短納期の実現ができます。

むらた社HPより抜粋

続いて、以下はむらた社の動画です。
是非、ご覧ください。

〜生産者の想い〜


・天草の繋がり
こはだの加工には、以前のnoteでご紹介した「あまくさの魚の鮮度にこだわった社長に聞いてみた~天草のいま~」のアマレイ社の製法で作り上げたクマ笹(くまざさ)のエキスを配合した特許製品のささ塩を使用しているそうです。

加工部責任者の毛利さんは「ささ塩は殺菌、消臭効果に優れた塩で、この塩を使う事により、賞味期限も延びた。ささ塩がないと加工ができない。」と話されます。
アマレイ社も天草に在り、生産者さん同士の繋がりがあっていいなと思います。

天草の道の駅で購入
こはだの臭味がなく、歯ごたえの良い新鮮な食感です。骨がなく、細やかな骨抜き作業をされたのではと思います。右は生で左は焼きで頂き、添加物が入っていない昔ながらの味と思いました。


ふぐは冬の魚と思われていますが、養殖ではオールシーズン召し上がる事が出来るそうです。

画像1

自宅の東京へお取り寄せ
ふぐのアラからは、とても上品なだしが出て、身はぷりぷり、臭みは全くなく、甘み、優しい味がして、噛み応えのある弾力です。ひれ酒は磯の風味がして、お酒がまろやかになる感じでした。

これからの天草の産業


・熊本県産品について
熊本県は『フグの養殖量全国2位!』だそうです。しかしながら、赤牛や馬刺しの様な熊本県産品にはなっていません。

また熊本県民は召し上がる方が多いと思いますが、このしろ(こはだが大きくなった魚)も熊本県産品ではありません。

熊本・天草の美味しい魚を沢山の方に召し上がって頂く為にも、海の幸が県産品に増えて欲しいと思います。

・天草産物の輸出について
村田社長は国内だけでなく、海外にも目を向けられています。
加工品の輸出は、大変厳しい規定があるそうです。
この為、天草が一体となって第一次産業の輸出に取り組んではどうかと話されます。

物の選定は最低ラインのレベルは必要になりますが、レベルを底上げして熊本・天草ブランドを作ってはどうかと村田社長は熱く語られます。

また、輸出により国内だけでなく“海外から有名な天草”を作れるのではないかと考えを話されます。

・村田社長の思い
「自分たちに出来る事は目の前の産業を守る事であり、天草の産業が確りと安定した産業になって欲しい」と思いを述べられます。
そして一番の課題は「市場価格の安定」と話されます。

上天草市大矢野町湯島からの眺めです。
天草には綺麗な広い海があるのだと改めて思います。

今回はむらた社の方と初めてお会いしましたが、とても親切で丁寧に状況を教えて下さり、笑顔ありの楽しいインタビューでした!そして天草ならではの人の優しさがありました。
天草の美味しい海の幸を食べて、生産者さんを応援されてみては如何でしょうか。


<むらた社のホームページ>

<ふるさと住民について>


<天草ふるさと住民note>


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!