あげる。

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セックスできなくてごめんね。

7年間、付き合った人がいた。 でも、わたしはセックスをしたことがない。 優しい人だった。 ゆくゆくはしたいけれど、待つよ。と言ってくれる人だった。 無理強いせず、わたしの歩く速さで横を歩いてくれる人だった。 わたしは、その人が呼ぶわたしの名前が好きだった。 マンガを読んでいても、小説を読んでいても、映画を見ていても、性行為の描写は多かれ少なかれ出てくる。 昔から読書が好きだったけれど、作中に出てくる表現に特段の嫌悪感を抱いたことはなかった。 気づいたのは、「自分のこと

    • 結末は決まっている

      物語はすべて、結末に向かって進んでいく。 いや、なにを当然のことを、という感じなのだけれど。 映画だったら約2時間、 ドラマだったら最終話、 漫画であれば最終巻に向かって物語は進んでいき、すべての過程や経過は結末に向かって収束していく。 いいな、と思う。 主人公2人は悩んだり、すれ違ったりもするけれど、最終的には結ばれる。 私たち視聴者は分かっている。例え、当て馬に揺れようと、海外に赴任しようと、夢を追いかけようと、最終的に2人は幸せになるのだ。 だってわたしは分からな

      • 本と友達だった時

        かつて、私の趣味は読書だった。 学校の図書館、市立図書館、本屋さん。 たくさん本を買ったし、本を借りたし、本を眺めたし、本に触った。そして、読んだ。 私の周りの人達は、私のことを「よく本を読む子」として認識していたと思う。 読書が趣味だった頃、わたしには秘密があった。 それは、本棚に並ぶたくさんの本の背表紙を眺めていると、ある本だけ光って見えること。 もちろん物理的に光っているわけではない。 わたしの目にどこかぼんやりと目立って見えた様が、「光って」見えていた。

        • 彼の肩に重圧をのせることしかできないわたしの願い

          羽生くんを好きになったのは小学生の時。 祖母が高橋大輔を見ていたテレビに、 その人は映っていた。 それからしばらくして、私がテレビの前で夢中になっていたのを見ていた母が、彼が出演するアイスショーのチケットを取ってくれた。 まだ彼がソチ五輪でメダルを獲る前のこと。 初めて生で見た彼は、本当に本当に輝いていて、かっこよかった。 それから、私が好きになってから、 彼はずーっとずーっとかっこいい。 もちろん彼も人間なので、メディアに出ていないところではたくさん悩み、苦しみ、もが

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        セックスできなくてごめんね。

          ため息をついたら幸せが逃げる、とか言わないで

          「ため息をついたら幸せが逃げる」 みんな一度くらい聞いたことがあるのではないだろうか。 私は中高生の時によく聞いた。 私はこの言葉が苦手。 別に悪い言葉だとは思わない。 ため息をついたら幸せが逃げるからなるべく元気で明るくいよう、と思うのはすてきなことだ。 ただ、ため息しか出ないような、そんな時期に ふとこの言葉が頭をよぎるのだ。 そうすると、ため息なんかついたらだめだよ、と言われている気分になる。 責められている気分になるのだ。 悩みからでるため息なのに、そのため息

          ため息をついたら幸せが逃げる、とか言わないで

          誕生日によせて

          成人して数年。 世間ではまだまだ若いと言われる年齢。 けれど、やっぱり高校生なんかを見ていると、 ずいぶん遠くなったなぁと思う。 高校生の頃に思い描いていた自分とはずいぶん違う今だ。 大人っぽくもなれなかったし、 相変わらず甘ったれていると思う。 一番大切にしたかった人もいなくなってしまった。 ただ一つだけ。選んだ学部とはあまり関係のない職に就くことにはなったけれど、大学では、高校からうっすら興味のあった分野にはっきり光を当てて、勉強できたよ。 まぁ、まだまだ入門編みた

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          少女は卒業しない

          あまりセンチメンタルな気持ちになるのは好きじゃない。 だからか。絶妙に「リアル」を描く、朝井リョウが少し苦手だ。 そんな私が、唯一、朝井リョウさんの本で 手元に置き続けている本。 この本は、別の学校と合併する学校で、校舎が取り壊される前日に行われた卒業式の一日を軸に、7人の女の子の視点で七つの話が書いてある連作の短編小説だ。 その中の一つ、「寺田の足の甲はキャベツ」が特に私のお気に入り。 この話は、東京に行く「私」と地元の国立を目指して予備校に通うことになる恋人の「寺田

          少女は卒業しない