結婚せねば、という呪縛から離れてみて思うこと

27歳の誕生日を迎えたあたりから、”結婚”って言葉は常に私にまとわりついている。親も友達もSNSも、みんな悪気なくこう囁く。

「いつ結婚するの?」

私が生まれたのは関西の結構田舎の方で、まだまだヤンキー文化も根強く10代で子供を産んだ友達もいる。地元に残った友達は大体25歳くらいで結婚して、子宝に恵まれて幸せそうに暮らしてる。私の親も若くで私を産んでいたし、同年代の子にそれなりに大きい子供がいたって特別驚いたりしない。

そのせいもあって、なんとなーくだけど私も30までには結婚しなくちゃな、ってのが潜在的にあった。というか、するつもりだった。だから意外だった。

29歳の誕生日を目前に、自分から恋人に別れを告げるなんて。

私にはこの春まで、5年付き合った親友のような恋人がいた。こんな長く誰かと一緒にいたことは初めてだったし、振り返っても幸せだったなーと思う。こんな恋愛そうそうないし、自分をめっちゃ成長させてくれた相手には感謝しかない。1人だと乗り越えなれない夜もたくさんあった。

支えになっていたのは事実。でも、私が彼の望む”2人だけの世界”に疲れていたのも事実だった。いわゆる束縛ってやつだ。まぁ、よくある話。

私は友達が多いわけではないので、最初はそこまで気にはしなかった。でも数ヶ月に何度かの外出のたびに彼の機嫌を伺うのは地味にストレスで、そのうち何かアクションを起こすことを少しずつ諦めるようになった。長い時間をかけて摩耗するそれに、私は気づかないふりをしていた。

私ももういい歳だから、そろそろ結婚しなきゃだし。って。

正直、別れるタイミングはいくらでもあったけど、今まで積み上げてきたものを崩す勇気はなかった。でもある日突然、無性に自由が恋しくなったのだ。やりたい、なりたい、って思いに忠実な自分が。


あれから数ヶ月経って、私は37畳の部屋に1人きりで住んでいる。

平日に食卓を囲んでくれる人はいないし、特別な日をお祝いできる人もいない。休日にうたた寝をして、目が覚めた時が夕暮れだった時は、泣きたいくらい寂しくなる。今だって、ちょっと寂しい。

だけど今のところ、後悔はしていない。

正直なところ、”結婚”はしたい。いつかはしたい。子供も欲しい。あわよくば32歳までにしたいなーって思うことは多々あるよ。誰かと手を取り合って進む未来は素晴らしいもの。でも、今じゃないなって思った自分に正直になってみた。友達の薬指の輪っかに惑わされず、自由でいることを選んだのは、紛れもなく私なのだ。

好きな仕事で稼いで、好きなものを買って、好きな場所に行く。会いたい人に会う。単純だけど、自分の心に正直でいることが私にとっての幸せなんだと思う。多分。





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