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アルセントと「ランダム単語ガチャ」 #1

0001 プラトンの立体

いわゆる「正多面体せいためんたい」のこと。

・全ての面が合同な正多角形である
・全ての頂点に同じ数の正多角形が接している
凸多面体とつためんたいである
ことを定義とする。

「プラトンの立体」は正四面体・正六面体・正八面体・正十二面体・正二十面体五種類しかないことが「一つの頂点に集まる角度の和は$${360^{\circ}}$$未満である」という凸多面体に成立する性質のもと、以下の証明から導かれている。

立体を構成する面を正$${n}$$角形、一つの頂点に集まっている面の数を$${m}$$枚とする。
正$${n}$$角形の一つの内角は、
$${\dfrac{180(n-2)}{n}^{\circ}}$$。
一つの頂点に$${m}$$枚の面が集まって内角の和が$${360^{\circ}}$$未満であることから、
$${m\dfrac{180(n-2)}{n}<360}$$
$${m(n-2)<2n}$$
$${(m-2)(n-2)<4}$$
これを満たす$${\left\{n,m\right\}}$$の組み合わせは、
$${\left\{3,5\right\},\left\{3,4\right\},\left\{3,3\right\},\left\{4,3\right\},\left\{5,3\right\}}$$
の五つしかない。

古くはユークリッドの『原論』に記述が残っているが、プラトンの対話篇『ティマイオス』においてエンペドクレスの四元素論に結びつけて言及されたことにより「プラトン立体」と呼ばれるようになったとされる。

0002 ファフロツキーズ

"falls from the skies"の略として、オーパーツも命名したアメリカ人超常現象研究家のアイヴァン・サンダーソン(Ivan Terence Sanderson)により造語された。

その場にあるはずのないものが、多数降り注ぐ現象を言い、なぜか水棲すいせい生物が単種で降ってくることが多い。

原因としては、竜巻が有力視されているが落下してくるものが単種であることから複雑な条件が必要とされる。

日本では、『日本三代実録』によれば元慶がんぎょう八年(ユリウス暦884年)に出羽国(現:秋田県)の秋田城に雷雨があった際、石鏃せきぞく(石で作られた「やじり」のこと)が23枚降り注いだという記録が残っている。

0003 ドローレスの叫び

1810年9月16日、当時スペイン領のメキシコ(Nueva España)、ドローレス(Dolores)で司祭を務めていたミゲル・イダルゴ・イ・コスティーリャ(Miguel Hidalgo y Costilla)が民衆に呼びかけたもの。

これがメキシコ独立革命のきっかけとなった。

0004 投扇興

とうせんきょう。江戸時代中期の京都で中国伝来の投鼓とうこをもとに考案された遊び。賭博に用いられることもあったことから、たびたび幕府から禁止令が出されていた。明治に入って戦前までは西洋化の影響で一部の人が楽しむものだったが、戦後になってから各団体がそれぞれのルールで活動し、メディアに取り上げられることもある。

いらすとやさんの「投扇興のイラスト」より

投扇興には、蝶(的のこと)・枕(的を乗せる台)・扇を用い、縦に長く敷かれた色の毛氈もうせん(和風のカーペットのようなもの)の中央に枕と蝶を「いらすと」のように置いて両端から交互に扇を投げ、蝶・枕・扇の位置関係により作られる「めい」にそれぞれ付けられた点数を競う。

「銘」は団体によってモチーフとしている題材が異なり、宮脇賣扇庵みやわきばいせんあんで販売されている形式は『源氏物語』の全五十四じょうを題材としている。

0005 木鐸

ぼくたく。元は内部の「ぜつ」と呼ばれる部分に木を用いた大きな鐘のことをいう。
古代中国では、これを打ち鳴らして人を集め新しい法令についての説明がなされたらしい。

『論語』八佾はちいつ篇において、「儀」という土地にある関所の役人が孔子に会った際、「天将以夫子為木鐸」(天は将に夫子を以て木鐸と為さんとす)として孔子を木鐸に喩えたことから「民衆を教え導く人」という意味を持つようになった。

0006 番町皿屋敷

いわゆる、「一ま〜い、二ま〜い、三ま〜い、·····九まい。一枚足りない!」の怪談話。

牛込御門内五番町うしごめごもんないごばんちょう、現在の東京都港区赤坂あたりにあったとされる、火付盗賊改ひつけとうぞくあらため青山 主膳あおやま しゅぜんの屋敷に「お菊」という奉公人がいた。
正月二日、お菊は主膳が大事にしていた十枚の皿のうち一枚を割ってしまう。奥方は怒ってお菊を責め、主膳はそれでは手ぬるいと皿一枚の代わりにお菊の中指を切り落として屋敷の一室に監禁する。その後、お菊は縄が付いたまま部屋を抜け出し、裏にある井戸に身を投げてしまう。
すると、毎晩井戸から「一枚、二枚、······」と皿を数える女性の声が聞こえるようになり、やがて生まれた主膳の子にはお菊と同様に中指が無かったという。
この出来事が将軍の耳に入り、主膳は所領を没収されることになった。
その後も井戸からの声が止まないため、将軍は僧侶に読経どきょうを依頼した。僧侶が読経していると皿を数える声がして「······、八枚、九枚······」、すかさず「十」と僧侶が言うと、お菊の幽霊は「あぁ、嬉しい」といって成仏していった。

これを元に、戯曲や落語が作られている。

0007 プラヴォ・ヤズディ

アイルランドで交通法規違反を繰り返すポーランド人(Prawo Jazdy)。

ではなく。単にポーランド語で「運転免許証」の意味。

1990年代に東欧からの労働者移民を受け入れていたアイルランドにおいて、警察はポーランド出身のPrawo Jazdyに手を焼いていた。
彼(女)は国内各地で様々な交通放棄違反を繰り返していたが、検挙の度に住所や顔などが異なるといった不審な点も相次いでいた。

そこで調査を始めたところ、「PRAWO JAZDY」という語がポーランド語で運転免許証という意味であり、取り締まりの警官が運転手の名前として誤認していたことが原因であると分かった。

このことは警察内部のメモに残されていたが、2009年2月に新聞社がこのメモについて報道したことから明るみに出た。その結果、同年のイグ・ノーベル賞文学賞を受賞することになった。

0008 キチンの波

景気循環の一つ。在庫の変動が主な原因で、およそ40ヶ月周期で好不況を繰り返す。ちなみに、不景気の底から底までを一つの景気循環とする。

アメリカの経済学者キチン(Joseph Armstrong Kitchin )が1923年の論文においてその存在を明らかにし、オーストリア・ハンガリー帝国出身であるシュンペーター(Joseph Alois Schumpeter)の『景気循環論』によって「キチンの波」とされた。

21世紀においては、IT化とグローバル化の進展により目立たなくなってきた、という学説もあるらしい。

0009 恐竜士偶

ドイツ人実業家ユルスルート(Waldemar Julsrud)によって1945年7月にメキシコのアカンバロで発見された、主に恐竜の形をした土偶。

ユルスルートは考古学の調査を希望したが、捏造ねつぞうとの指摘を受け断念。友人の地質学者が発掘を続け、C14年代測定法により紀元前1000年から紀元前4000年の間という結果を得た。しかし、適正な手順を踏んでいないようで、信頼性に欠けるとされる。また、C14年代測定法も制作された年代ではなく材料の年代を測定するものであるため、発見場所周囲にある古い年代の地層の土から制作すれば古い年代が結果として現れることになる。

0010 ヴォイニッチ手稿

1912年にポーランド系アメリカ人のヴォイニッチ(Wilfrid Michael Voynich)によってイタリアで発見された未解読の文字による文章と多数の絵からなる羊皮紙に書かれた古文書。

言語学の統計学的手法(どのような文字が多く使われているか、単語どうしの結びつき、など)を用いたところ、でたらめに書かれている訳ではなく自然言語と人工言語のいずれにせよ確かな意味を持っているらしいことは分かっている。また、描かれている植物も現存している種類との同定はできていない。

2019年にはドミニコ会の修道女がアラゴン王国の女王に対して生活の参考書として口語のラテン語で書いたもの、という説が出された。


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