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40代後半でWワーカーで地域おこし協力隊の住宅ローン

どんなに小さくても、土地を買って家を新築するとなると数千万円。私だけではどうしようもできない大金です。

建てたい家が決まっていたので住宅メーカーの展示へ。モデルハウスを見学した後に、単刀直入に「私でも建てられますか?」と聞きました。

「一緒に考えていきましょう。答えにくい質問をするかもしれないので、答えられるものだけ教えていただければ」と、物腰柔らかな営業の方が言ってくれました。どうしてこの家に住みたいのか、どんな暮らしがしたいのか、職業や年収、年齢、借金の有無、万が一ローン審査が通らなかった時にはどうしたいかなどをお話ししました。

A:建てたい家の価格(見積もり)
B:諸経費
C:私が借りられそうなローン上限金額(目標額)
D:土地の価格帯 =C-(A+B)

AはともかくBに意外とお金がかかることを知りました。
Cのローン上限金額(目標額)は、年収や月々の返済可能額や返済期間で変わります。私のケースで計算したCからAとBの合計額を引いた残りが土地価格の目安になりました。営業さんが「次回までに候補地を探してみます」と言ってくれたので、「立地に強いこだわりはなく、小さな家に見合った小さな土地で」とお委ねしました。

「正直、厳しいかもしれません。今だって年収だけを見れば十分ですし、3年前の専業会社員の所得であれば目標金額はもっと高くできます。でも、現在の地域おこし協力隊としての収入はおそらく評価されないと思います。そして保証会社がWワーカーという立場をどう見るかはわかりません」

地域の金融機関を中心に、片っ端からアプローチしていくことになりました。
まず、営業さんが金融機関に「こんな事案なんですが」と打診してくれました。比較的大きな銀行は「保証会社の審査が通るとは思えない」と門前払い。そうなのか。

それでもいくつかの金融機関で事前審査を申し込むことができました。直近の源泉徴収票と確定申告書の控え、専属会社員時代の源泉徴収票も参考資料として添付。金融機関によっては「保証会社宛に作文をするので詳しく状況を聞きたい」と電話ヒアリングや面談をしてくれたところもありました。

「あれっ」

営業さんから「あの、すでに数百万円の借り入れがあるようなんですが」と問い合わせが来ました。えっ、なにそれ、借金してませんけど、、、と思ったら正体は「トヨタ新車のサブスク」KINTO。私は移住きっかけでKINTOユーザーになって3年目、今年の春に少し大きな車に乗り換えたばかりでした。KINTOは定額のサブスクで利用できるのでうっかりしていましたが、債務です。

「自己資金で債務を完済できれば保証すると言われています」
「サブスクなので満了前に完済ができない仕組みなんです……」
「契約解除はできそうでしょうか?」
「1年目は解約金が高いですし、1日でも車がないと生活に困ります……」

重い沈黙。

「住宅ローン契約が先で、KINTOが後なら問題なかったんですが、でもっ、しょうがないですもんね。KINTOの性質と車の優先度について説明してもう少し粘ってみます!」と営業さん。

中央アルプス麓の展示場にはじめて見学に行った日から、トントントンと話は進み、ここまでほとんど営業さん頼りで動いていました。ファーストコンタクトをしていただき、紹介で金融機関の担当者に電話をしていく日々。お断りの電話や一部融資ならという返事もありました。「複業で年収はあったとしても、個人事業主(地域おこし協力隊)って本当に社会的な評価が低いんだな」としみじみ感じながらも、営業さんが「申し込み先はまだあります。次がんばりましょう!」と伴走してくれたおかげで、心折れずに過ごせました。

いや本当は、私、「も〜無理ですよね〜地域おこし協力隊が終了した後に、フルタイムワーカーの会社員に戻ってからまた出直して来ます。でも年取る分だけ返済期間が短くなるのか……あかん」と諦めモードな時もありました。

そんな中でも、会社員としての仕事内容(Web制作会社のライター)のみならず、長野県伊那市地域おこし協力隊としてのミッションや活動(伊那市内小中学校のICT教育サポート、情報リテラシー教育の啓蒙)について細かに聞いてくださり、「地域おこし協力隊の立場は保証会社の指標では評価しにくいものですが、社会的には大切なものです。そこを伝えていきましょう」と言ってくださったのが嬉しかったです。

相当に難しい案件なのは変わりません。
家づくりチャレンジ開始から2ヶ月が過ぎた頃、ある金融機関の事前審査が明るい方向に動き出しました。

【移住Tips】
サラリーマンで、移住後に(1ミリでも)住宅ローンを借りようと考えているなら、勤め先を退職してからの移住はあまりお勧めしません。できれば、

・移住前に住宅ローンを組む。
・移住後も勤めを継続する。(=私)
・移住&転職後、評価が安定するまで住宅ローンを組むのを待つ。

移住2年目、家づくりも住宅ローンも他人事だった頃に、信州の住宅メーカーの営業の方から「頼むからみんな会社辞める前に相談してくれよ……って思います」という声を聞きました。どこかにその言葉が残っていました。

もちろん、借金と無縁な身軽な暮らしを謳歌するのも楽しいです。ただ、私のまわりでも、最近は「地域おこし協力隊だけど正社員」が増えてきました。私が着任した2021年では珍しい立場でしたが、今年度は数人在籍しています。信州移住、リスクテイクかリスクヘッジか。


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