衆議院予算委員会玉木雄一郎国民民主党代表質疑(11月28日)文字起こし

15:03~15:44分

衆議院インターネット審議中継 (shugiintv.go.jp)

委員長:
次に、玉木雄一郎君

玉木代表:
委員長、国民民主党代表の玉木雄一郎です。総理、我々国民民主党は「対決より解決」ということをうたっています。ただ、政府与党側がしっかり環境を整えてくれないと、建設的ないい議論ができないので、今このガタガタガタガタした状況をですね、総理の責任できちっと整理して頂いて、リフレッシュ・リスタートして頂きたいなと、このことをまず冒頭申し上げたいと思います。その上で、旧統一教会の、いわゆる新法については、我々としても夏から議論していて、自民党公明党さんとの三党協議の中でも提案をさせて頂いて、そして、特に最初の時から提案している二つの配慮義務、これをですね、今の政府案に入れて頂いているのはこれ評価したいと思います。で、罰則を厳しくすることと、どういう規定を盛り込むのかをセットなので、我々も悩んだのは、いろんな禁止規定を入れればいいんですが、信教の自由に関するところは禁止規定までなかなか書ききれないだろうと、いうことでまず「家族と配偶者の経済状況に対する配慮、これをしながら寄付募集してください、寄付の勧誘してください」、合わせて、「心理的な抑圧状態に置くような形の寄付募集は慎んでください」と。で、これだと罰則かからないんですが、ただ民法709条の不法行為でいけるので、基本的には被害者の救済ってのは民事上の救済なので、そこはですね、いろいろ憲法の信教の自由との関係の中で、なんとか我々この二つの配慮義務、最初のですね、三党協議の中で提案させて頂いてこれが入ったことは評価しますので、ただ、色んな考え方があるので、他の野党の方にもいろんな考えがあるので早くですね、これはもう一致点を得て、そしてこの国会で成立させる、これをですねしっかりとメッセージを発しないと、与野党ともに国民から信頼されない。被害を受けた、特に信者二世と言われる方からですね、期待を裏切ってしなうことになりますので、そこを総理、しっかりと進めて頂くことをまず冒頭、総理の意思を確認したいと思います。

岸田総理:
えぇ、「被害者の方々を救済する」そして、「今後こうした被害を発生させない」、「そのことでもって、政治の責任を果たす」、「これを目指さなければいけない」、こういった思いは、政府も、そして与野党の国会議員の皆様方も共有して頂いていると、考えています。そのために、今、様々な議論が行われて、そして政府としてはそうした議論をしっかり受け止めて、その法的な観点からどこまで対応が可能なのか、このギリギリを今、検討しております。ご指摘があったように、信教の自由ですとか、あるいは財産権の保護ですとか、この憲法の要請をはじめとする日本のこの法体系の中で、許される限り最大限、禁止行為や取消権の対象とする方向で今検討を進めているところです。引き続き、様々な意見を踏まえながら、政府として責任を持ってこの法的観点から責任の持てるこの法律をしっかり用意をして、この国会に提出をし、早期成立を図って行きたいと考えております。

玉木代表:
家族や配偶者、扶養親族が、賠償請求しやすいようなですね、法体系を作ることが、裁判を円滑に進める上でも、権利請求をしやすい意味でも、ぜひここはしっかりと前に進めてもらいたいと思います。

補正予算の話に入ります。我々国民民主党、9月13日の早い段階で23兆円規模の緊急経済対策をまとめて、これ総理にも10月20日に直接ご説明をしました。
で今、もう一歩だと思うんですよ。需要不足が15兆円、9月の時点で。でいわゆる欧米型の「食料とエネルギーを除いた欧米型の物価上昇率」、「コアコア」で1.5%まできてますから、もうちょっとなんですよ。よくある失敗がですね、もうちょっと見えたところで増税の話とか、金融緩和をやめましょという話が出るからいつも失敗するんです。ここを大気圏を抜け切れて、抜け切った後ににですね、いろんなことをやることが大事なので我々としては最低限23兆円必要だということで、ま今回29兆円の補正予算になっている、規模感はですね、評価をしたいと思います。ただ、執行です。これがちゃんと市場に出て行って、有効需要につながったり、こういったことができるのかというのがポイントで、我々としては参議院選挙の公約で、これわが党だけなんですよ、「1割強電気代下げろ」と具体的に言っていたのは。なので、これが今回の対策の目玉になったことは良かったんですが、後でいくつか問題点を指摘しますけれども、ま是非足りないところはですね、更に執行段階でも良くしてもらいたいと、いう風に思っています。でこの補正予算の内容としては、電気代の値下げ、あるいはですね、いわゆる「CEV補助金」クリーンエネルギー自動車の補助金、これも総理に申し上げて、拡充入れてもらいました。あとは、静岡県や宮崎県、山形県、いろんなところで起こった災害に対する対策も入っていることは、これは評価をしたいと思います。

で、電気代の話に戻しますが、今回ですね、家庭用の低圧、事業用の高圧、これは対象になっています。我々がずっと言った「再エネ賦課金」つまり「キロワットアワー(kWhあたり)3.5円」これはですね、事業用ではこのまま入れてくれています。で、家庭用はそれ以上のですね、7円ということで2割くらいやってくれているんですが、抜けているのがあるんです。これは大規模工場やオフィスビルなど7,000ボルトを超える特別高圧電力は対象となっていないんです。色んな理由で外しているんですが、私大事なのは賃上げなんですよ。で、幅広い企業で幅広い人が働いていますから、色んな企業、色んな産業のこの電気代の値上げの負担を軽くしてあげることによって、来年の春闘の賃上げ原資が出てくるんです。でとにかく給料が上がる経済を取り戻さない限り希望は戻ってきませんから。だから「ここだけ電気代を下げる、ここだけ下げる」のではなくて、全部下げたらいいんですよ。これ。だから総理この大規模工場やオフィスビルなんかが対象となっている特別高圧のところ、ここも電気代下げるべきだと思いますし、まして予備費積んでいるんですからこういったこともですね、執行段階(途上?)でも下がりますから、これ与党の皆さんもね、知ってました?特別高圧が外れているの。これやった方がいいですよ。どうですか、総理。


西村経産大臣:
まさにご提案も頂き我々このような対応をとらせていただきますけども、来春以降に見込まれる電気料金負担増の軽減のためでありまして、賃上げというものは別途の手段で様々な支援をしながらこれは実現して行きたいと思っております。そのうえでご指摘のように家庭への支援、低圧第一に考えて低圧需要家に対して手厚い支援を行うということでしておりますが、これは転嫁が困難な中小企業などが相当数いることを踏まえて、こうした事業者が多く含まれる高圧需要家までは対象を広げるとしております。限りある財源の有効活用という観点から、大企業が多く含まれる特別高圧の需要家を一律に対象としてですね、広く薄くやることは行わずに、それぞれの市場(事情)において分野ごとの対応を行うことにしております。9月に措置しました、電力ガス食料品等価格高騰重点支援の地方交付金もありますので、こうしたものを含めて、また大企業向けには省エネ対策の抜本強化こうしたものもありますので、ぜひ重層的に組み合わせながら適切に対応して行きたいという風に考えております。

玉木代表:
やったほうがいいですよ、これ。与党の皆さんも、総理これね、私もちょっとちゃんとチェックした方が良かったんですけども、特別高圧外すの正直知りませんでした。与党の皆さん知ってました?党審査の時に。結構これが経済に、特に電力多消費産業が外れるというのは却っておかしいですよ。これはまさに予算審議の中で気づいたものは改善していったらいいので、これ経産大臣柔軟にやりましょうよ。総理どうですか。

岸田総理:
今経産大臣からも答弁させて頂きましたが、要はですね、政策の優先順位をどう考えるかと、いう問題であると思います。で、この電力の価格高騰による費用増については「適切に価格転嫁ができるかどうか」これが最も大きな重要なポイントであるという考え方に基づいて、最終消費者、これは価格転嫁できないわけですから、これを第一に考えてこの最終消費者「低圧需要家」に対しては、委員ご指摘のように7円、これ、より手厚い支援を行った、こうしたことであります。そして次に転嫁が困難な中小企業が相当ある、そういったことを踏まえて高圧需要家までは対象を拡げるということにした、そしてさらに委員のご指摘は、「その範囲を広げてこの特別高圧電力これも対象にしろ」ということでありますが、こちらの部分については一応政府としては6,000億(円)の「電力ガス食糧品等価格高騰重点支援地方交付金」これについて、これを活用することを働きかけている、こういった整理をしているところです。問題意識は理解致しますが、やはり政策の優先順位はしっかりとつけていかなければならない、更にそれ以外の様々なエネルギー対策、省エネ投資への支援等については特別高圧電力を利用する需要家も含めて政策を用意することによって支援して行くことを考えていきたいと思っております。

玉木代表:
あのやって頂いたことは評価します。私は「一割強、12~3%下げたほうがいい」って要求していたのが2割くらい家庭用電力(料金)下がったことは良かったと思うのですが、足りないところはやっぱりちゃんとやったらいいと思うんです。総理これ引き続き求めて行きますけど、ぜひ前向きに経産大臣検討してください。結構、影響あると思いますから。お願いします。

次に、インフレ手当についてちょっと提案したいと思うんですね。今四社に一社の民間企業で自分の会社の従業員にですね、インフレ手当を配ろうと検討中も含めたら四社に一社考えているんですね。でやっぱり現金ていうのが一番何でも使えるからもらって嬉しいので、ただ、出せるところと出せないところがあって、特にこの円安とかですね原材料価格の高騰で苦しんでる企業ほど出せないんですよ。だったらここは、国がインフレ手当を出して、さっき言った、余裕ができたものは賃上げの原資に各企業が回してもらったらいいと、いうことで、我々国民民主党としては「国民一人当たり10万円のインフレ手当」ということを提案しています。これは所得連動型ということで所得の高い人は後で税金で返してもらうという形にしてますから、高い人はそもそも申請しない、という仕組みにしてますが、これだいたい10兆円強の予算でできます。で、今回の予算委員会でもですね、4.7兆円の予備費がですね、使い道もなくどんと積まれているのはおかしいという議論がありまして「財政民主主義」の観点から。だからある程度使い道決めたらいいと思うんですよ。なので私はそれはこのインフレ手当の給付をすればいいと思います。4兆円使えば一人当たり全員に3万円配れますし。あと、今回為替介入で外貨を売って円を手に入れてます、9.1兆円。この一部を使えば合わせて10兆円くらいなりますから、一人当たり10万円の給付はできるので、ぜひこれ、インフレ手当予備費と外為特会からのお金を使って10万円のインフレ手当、経済の回復を確実なものにするためにもやるべきではないですか。大きな話なので(答弁は)総理で。あまり「ひっかけ」はないので。

岸田総理:
(笑いが漏れる)委員の方から「国民に対して一人当たり一律10万円の現金給付を行うべき」というご指摘を頂きました。政府としては、物価対策、これはエネルギー、食料品等に的を絞ってピンポイントにきめ細やかな対策を実施する、こうした考え方に基づいて対策を用意しました。そして、この現金支給ということにつきましては、本年9月から低所得の子育て世帯に児童一人当たり5万円の給付、9月には住民税非課税世帯に5万円を給付することを決定し、年内にほとんどの自治体で支給が始められる見込みになっている。また、非課税世帯以外の低所得世帯への直接給付も可能な地方向けの交付金、これを創設するなど、これ重層的な支援を切れ目なく講じてきたというのが政府の対策の基本的な考え方です。そして、外為特会の外貨資産は、政府短期証券を元手に保有しているものであり、為替介入で円貨を得た場合、償還期限を迎えた政府短期証券の償還に充てる、このようになっており、これを財源として捻出するということは適当でない、というのが政府の考え方であります。

玉木代表:
いろいろ知恵を使ったら私はいいと思っていて、外為特会はもうちょっと積極活用したらよいと思います。で、今まさにおっしゃった通り政府短期証券によってですね、外貨資金を調達しているということで、償還に回さなきゃいけないということなんですが、直近ドルを売って円を買ったのは1998年です。あの時は数兆円単位でまさにドルを売って円を買って今と同じような介入をしてますが、その時のお金は償還に回っていません。あの時は167兆円、償還してますが、全額、新しい政府短期証券FBを発行して167兆円、きれいにロールオーバー、つまり借り換えしてます。だから、財務省はよく、「償還しなきゃいけない」と言うのですが、外為特会の負債サイドのこの政府短期証券の積み上げって減ったことがないですよ。どんどんどんどん増えてます。ちなみにちょっとパネル1を見てもらいたいのですが、「外為特会から一般会計にくれるのはおかしい」という議論があるのですが、これを一番やってきているのが財務省です。毎年、数兆円規模の運用益が出て、そのうち1兆、2兆、ずっといろんな繰り入れを行っていてですね、平成に入ってからでもトータル50兆円くらい繰り入れているんですよ。これまさにFBを発行してやってますから。私こういう質問よくするんですけど、「やったらダメだ」と言って「ダメだダメだ」と言うんだけど、お金が足りなくなったら一番外為特会に頼ってきたのは財務省ですよ。だって、平成になってからもう50兆使っているじゃないですか。だから我々は、この予備費をどんと積んでいるのをおかしいということと、今回、為替介入して現に円が手に入っていることを利用してですね、10万円のインフレ手当の給付のための予算の組み換え案を出したいと思っています。そして、これ(パネル1)見てもらったらわかるんですが、一年間に一回外為特会入れるのは法律に書けばできるので特別(特措?)法要らないのですが、年度当初で入れるときには、湾岸戦争の時とか、東日本大震災とか特別法一本通して入れてます。だから合わせて法律も今回国民民主党は出します。だから、いろんな工夫でできるし、いろんな工夫というか、「財務省がやってきたことをやったらいいんじゃないの」と言っています。テレビをご覧の皆さんに外為特会は難しいので簡単にいうとですね、例えば、「1ドル100円のときに1万ドル外貨預金した」と思ってください。そうすると100万円だったんです。それが、ドルが強くなって円が安くなって1ドル150円になったらその1万ドルは150万円になるんです。50万円増えているんですね。だからこの50万円使って、いろんな財源に使ったらいいんじゃないですか、特に、円安で国の特別会計がウハウハになっているんであれば、円安で困っている企業と個人を助けるための財源に回せば合理的だということを申し上げている。でその外貨なので外貨の取り出し方に色んな工夫があって、今のように介入して円を手に入れたらその円を使えばいいんですが、これまでですね、確かに「ドルを売って円を買うと介入になるから」ってどうしているかと言うとその運用益が出た見合い分を政府短期証券を発行してそのうちの一部を繰り入れるということをしてきたんです。で、これ私が与党だった時の平成22年に「全部繰り入れるのはちょっとリスクもあるから、7割だけ入れて3割残そう」というルールを決めました。それを破ったのが2015年麻生財務大臣です。全額入れました。つまり、私も一定のリスクの元で繰り入れろということを言っているんですが、調子が悪くなると、というか財源が足りなくなると、全額入れたりしたのが、麻生大臣ですよ(笑)。で、今回は、歴史的な円安でさっき言ったように「かなり為替差益が出ているので、それをうまく利用しましょう」ということを提案しているんです。鈴木財務大臣、今外為特会ってドル建て円建てでどれくらいあるかご存知ですか。

鈴木財務大臣:
1兆2,000億ドル程度だと思います。

玉木代表:
ちょっと減っているので、合ってます。1.2~1.3兆(ドル)ですね。で、これだいたいですね、去年の今ごろの為替レートって1ドル115円なんですね。で今140円ぐらいになってますから、単純計算しても30兆くらい日本円で増えてます。で「その一部を使ったらどうですか」と私は提案してるのですね。で、さっき言ったように円建てで見た時に増えている、で、この、例えば「一部をインフレ手当に回しましょう」ということを提案していますが、防衛費の話をします。

一部報道で、次の中期防は40兆円台とか、あるいはすごく大きな47兆円という議論も出てますね。今がだいたい中期防27兆円くらいですか、5年間で。だから追加で13兆とか、多く見積もっても20兆、次の5年間で必要なわけですよね。でもここで、円安による為替差益30兆出てますからこのうち一部を使えば「少なくとも今後5年間の追加の防衛費は賄えるんではないかな」と思うんです。そこで総理に伺います。このまえ有識者の会議で「幅広い税で防衛費の増を賄う」という提言があったと承知していますが、総理としては法人税や所得税の増税を考えておられるのですか。

岸田総理:
防衛費につきましては、防衛力の内容と予算とそして財源と、これを一体的に議論をするということでいま議論を続けております。今現在、これをどのように賄うのか、大切なのは「防衛力を抜本的に強化し、それを恒常的に維持していくためには財源についてどう考えるか、こういった考え方が重要である」この点は間違いないと思いますが、具体的な税目については今議論が続いている最中でありますので今確定的に申し上げることは控えます。

玉木代表:
「確定的に申し上げることは控える」ということは「将来、法人税や所得税の増税もあり得る」という理解でよろしいですか。

岸田総理:
それも含めて、今の段階で私から何か申し上げるのは控えなければなりません。今、この政府あるいは与党において、この議論が続けられています。その際にこの「十分な防衛力を恒常的に維持するための財源としてどうあるべきなのか」議論を続けている途中であると、いうことを申し上げさせて頂いてます。

玉木代表:
途中なんですけども、私は色んなことを検討した方がいいと思うんです。今景気回復、ようやくですね、コロナから戻ってくるこの段階すごく大事な時なんですね。今回の補正予算についても一つ残念なのはですね、29兆円というのは私は評価しているのですがこれをやると同時に増税の話をするので合理的な意思を持った人が何を考えるかというと、「今もらっても将来とられると思うから使わない」んですよ。これ合理的期待形成学派(?)って人も言ってますが、「出す話」と「取る話」を同時にするのはやめたほうがいいです。だからそれはせっかくやった経済対策の効果を減じるので、ある意味人は合理的なので、「将来増税ありますよ」って同時に言われたらやっぱり経済波及効果とか乗数効果が落ちるんですよ。これはぜひ気を付けてもらいたいなと。そこでまずはさっき申し上げたような「特別会計とか基金で余ったお金とかいろんなものを使って財源捻出する」ということを考えて頂くということが大事だと思いますので、それこそ「防衛費の財源、それについて考える与野党協議会を設置してですね、私はちゃんと議論した方がいい」と思います。安全保障についてはやはり与野党の合意が必要だし、我々国民民主党も増額した方がいいと思っています。なのでこれどう考えるのか。でいきなり増税に行くことは反対です。だからさっき申し上げたような少なくとも外為特会等々の活用というのはもっと考えるべきだということは総理にはぜひご理解頂きたいと思います。

次に防衛費の話をしますが、これもですね、先般の有識者会議の報告書によると、「NATO基準は用いないで、わが国独自の基準で総合的防衛予算を計算すべき」というふうに言ってますが、これちょっと私は単なる「見せかけ予算」になる気がして「真に防衛力の強化につながる予算になるのか」心配しているんですね。まず「NATO基準」ってそもそも何なのかというとこういうことです。特に今回は海上保安庁の予算に絞って考えたいと思うんですが、いわゆる“沿岸警備隊”コーストガードみたいなことも入り得るんですが、『「その他の軍」も含む場合がある。』としています。ただ『その場合の国防費は、軍事戦術の訓練を受け、軍隊としての装備を保有し、作戦展開の際に軍の直接指揮下で行動できるとともに、軍を支援して実際に領外に展開可能な部分のみ計上する。』これが「NATOの定義」です。で次の、ここで総理に質問したいのは、海上保安庁法25条です。何て書いてあるかというと、海保についてはですね、『その職員が軍隊として組織され訓練され、または軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。』とされています。これは制定の背景は自衛隊よりも早い1948年に海上保安庁が発足するときに、『当時のソ連や中国が「再軍備につながる」といって反対して、批判をかわすためアメリカが精神規定として盛り込まれた』とされています。「もう一つの憲法9条」とも言われております。で先ほどの「NATO基準」を見るとつまり「いざという時に軍の指揮下に入るかどうか」が、その予算を計上できるかどうかの定義になっているのですが、海上保安庁法25条があれば、今のままの海保の予算は合算できません。なので、せめて「防衛に役立つ総合的な予算ということを仮に概念する」にしても、「この25条を改正するか」あるいは「自衛隊法80条に基づく、防衛大臣による海上保安庁の統制要領を少なくともきちんと定めておくことが必要だ」と思いますが総理如何ですか。

岸田総理:
まず「NATO基準」ということにつきましては、この海外との比較ということにおいて、こうした基準を用いるということは大変意味があると思っています。ただ、この防衛力の強化の議論は、当初から申し上げておるように「日本のおかれているこの厳しい安全保障環境の中で日本の国民の命やそして暮らしを守るためには何が必要なのか、この内容をしっかり吟味するのがまず基本である」ということを申し上げています。そして、委員ご指摘の「海上保安庁法第25条」、あるいはこの「自衛隊法第80条」の点について申し上げるならば、これ「日本においてこうした法律がどうあるべきか」を議論した場合に、この「海上保安庁法第25条」は、「法に則り、事態をエスカレートさせることなく業務を遂行する」という観点から、これは重要な規定であると認識をしています。その上でこの安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、有事における海上自衛隊と海上保安庁の連携強化、これはわが国において極めて重要であり、この点は、長年積み残されてきた課題だと認識をしています。よって、「自衛隊法第80条」に基づく、武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制要領、これは今政府内において、これ既にこの統制要領作成に向けて作業、着手しております。ぜひ、この統制要領について、しっかり政府として考え方を明らかにし、用意することによって、この海上保安庁とそして海上自衛隊の連携の強化、長年にわたり積み残された課題について、政府の考え方を明らかにして行きたいと考えています。

玉木代表:
あの統制要領策定に向けた動きが今始まっているのは非常にいいニュースだと思います。ぜひこれは進めて頂きたいと思います。一方で現場でですね、「海保と海自の共同訓練」って防衛大臣、まだやっていないですよね。国交大臣でもいいんですけど。一回もやってませんよね。だからこれも、統制要領がないからそうなんでしょうけど、やっぱり現にいざというときには連携して対処できるように、実際統制要領ができたらその中で、まあ有事の際にはあれですけど、訓練もですね、やっぱり海自と海保がやるってことはぜひ、これはやって頂きたいなと思いますけど。防衛大臣まだ一回もやってませんもんね。

浜田防衛大臣:
海保と海上自衛隊との間の共同訓練についてはですね、これまで海上警備行動命令が発令される事態を想定した共同訓練を積み重ねてきております。各種事態の対処に応用しうるものとして考えてきましたが、武力攻撃事態を想定した共同訓練については実施したことはございません。

玉木代表:
あの、武力攻撃事態を前提にしたものは未だだということで、それはまぁ統制要領がないので。だからそこをしっかりですね、「法文(?)上作ること」と、「オペレーショナルな現場の体制」と両方しっかり進めて頂きたいというふうに思います。

次に、今ですね、国民民主党として、政府のいわゆる「3文書」の改訂の前にわが党としても安全保障の戦略をまとめています。前原誠司安全保障調査会長のもとでですね、間もなくこれできると思います。でそのなかでいくつかの柱を用意していますが、我々非常に力を入れているのが「アクティブ サイバー ディフェンス」です。でこれちょっと横文字で難しいんですが、「積極的サイバー防衛あるいは防御」というものですけども。サイバー空間においては、はっきり言って攻めることと守ることが表裏一体というか、その境が曖昧です。専守防衛は我々も守るべきだという立場ですが、何が攻めで何が守りかがよくわからないのがサイバー空間。で特にですね、サイバー攻撃は受けたら終わりです。受けたら終わりなので、攻撃を受けないためにですね、ここ(パネル)に書いてますが「監視活動をしっかりやる」あるいは時にですね、「“アトリビューション”といって相手を特定して侵入して行く」これは場合によっては攻撃とみなされうるかもしれない。でここが表裏一体なので何が問題になるかっていうと現行の例えば不正アクセス防止法とか、その根っこにある憲法のいわゆる「通信の秘密」あるいは刑法、こういったところと衝突するので、この法体系がわが国にないんですよ。「どこまで何をやったら認められるか」、「認められる条件は何なのか」。で何が問題かというと、“司令塔”がないんです。防衛省は防衛省で「サイバーやりましょう」、で今度は警察で「新しい組織ができました」、で今度病院が攻撃されるから、「厚生労働大臣がサイバー対策する」とか、個々にやっててどうすんですか。だから司令塔機能もきちんと設ける。まあ「CDC作りましょう」みたいな話がね、コロナの時にありましたけど。で「何をどうするか」ということと「組織をどうするか」というですね、「サイバー安全保障基本法」みたいなことが要ると思うんです。で我々国民民主党はこれを提案しますが、総理、こういった「アクティブ サイバー ディフェンス」を可能とする基本法・法体系、これ、速やかに整備すべきだと思いますが如何ですか。

岸田総理:
まずあの委員の話を今聞いておりまして、問題意識としては共有できるところが多いのではないか、このように思っております。あの、昨今のサイバー空間において政府機関や重要インフラ事業者のみならず様々なものがしばしば国境を越えてサイバー攻撃の標的になっている、こうした現実があります。そしてご指摘のように、サイバー攻撃においては攻撃側、これ圧倒的に有利であり、攻撃側を特定すること、これが困難である場合が多いなど、このサイバー空間の脅威、ますます高まっておりますし、これへの対応が迫られていると、いうことは強く感じています。そこで、わが国としては、新たな国家安全保障戦略、これ策定する中で議論を進めてまいります。それを進めた上で、サイバー空間の脅威に的確に対処できるようにするには具体的にどうするのか、これを精査し、そして用意をしていきたいと思っています。

玉木代表:
ぜひ用意してください。で、これちょっと伺いますが、わが国のサイバー攻撃、民間にも凄いんですけど、これ担当大臣誰ですか。

谷公一大臣:
お答えさせて頂きます。現在サイバーセキュリティ担当大臣として国家公安委員長でもあります、私が兼ねているところでございます。

玉木代表:
谷大臣、わが国の官民問わず受けている攻撃について全容把握されてますか。例えば病院この前ずっと機能不全のままですけど、厚生労働分野におけるサイバー攻撃、あるいは各種企業に対するサイバー攻撃、様々な分野に攻撃ありますけど、これ国家公安委員長が兼務してできる話では、私はないと思っているんです。谷大臣の能力がどうこう、じゃなくてですね、これはやはり担当大臣を設けてやるぐらいの専門部局を設けてやる位のもので、ここが役所の縦割りが典型的にでるところで、予算要求でもですね「警察が今度あれです、あれとか…」で、こんなのばっかりじゃないですか。この横串を刺すような組織もちゃんと作っていかないと、ダメだと思いますので、そこも合わせて総理ぜひ検討いただきたいのですけど如何ですか。

岸田総理:
あの先ほども答弁させて頂きましたが、まずは新しい国家安全保障戦略の策定等に努め、その中でサイバーへの対応を整理したいと思います。そしてそれに基づいて、具体的な対応を用意して行く、こうした順番で対応を考えて行きたいと思います。まぁ「担当大臣を置くべきだ」というご指摘につきましても、ご指摘を今日頂き、また政府としてどうあるべきなのか、検討したいと思います。

玉木代表:
あの、我々かなりですね、踏み込んだ安全保障戦略を間もなくまとめますので、今申し上げたような具体的な提案もしています。特に「アクティブ サイバー ディフェンス」に関してはかなり分厚くやっております。あのそれ以外にもいくつか、まぁいわゆる“反撃能力”の問題であるとか、そういったことについてもしっかりまとめております。安全保障に関しては、できるだけ与野党の合意を丁寧に私はとるべきだと思うんですね。その意味では我々早急にまとめますので、まとまったら、まさに3文書改訂を閣議決定する前にですね、ぜひ我々国民民主党もですね、協議の場を設けて頂いて、ぜひ我々の考え方をですね、政府にも総理にも説明する、その機会を頂きたいと思いますけども如何ですか。


岸田総理:
先ほど来申し上げているように政府としましては、新しい国家安全保障戦略等の策定に向けて検討を進めているわけですが、公党間のやりとりについては、先ほども維新の馬場代表からご提案を頂いています。そもそも今国会冒頭でご提案を頂き、先ほどの質疑の中でも公党間のやりとりについてご提案を頂いています。その際に、先ほど馬場代表にお答えした通り、ぜひ御党ともできるだけ近いうちにこうした公党間のやりとり、調整させて頂きたいと思います。

玉木代表:
それは維新の皆さんとやるということでなく、わが党ということでよろしいですね。(笑)

岸田総理:
ただいま「御党とも」と申し上げたつもりであります。

玉木代表:
(指名前に食い気味に)ぜひ我々も責任ある提言をして行きたいと思います。ぜひその機会をお願いしたいと思います。

最後に、一問、伺いたいと思いますが、今私全国周ってますと一番言われるのが「子育てあるいは教育支援の所得制限外して欲しい」ということなんですよ。「給料上げよう、賃金上げよう」と言って我々頑張っているんだけど、上がって上がったらですね、そこで所得制限引っかかって色んな支援から外れてしまうと。「なんか働くのが馬鹿らしい」と言われたり、いろんな分断ができているということで、我々は今国会の冒頭に「所得制限撤廃法案」という法律を出しました。で、これぜひ所得制限なくして頂きたいなと思うし与党の中にもそういう考えの方がいらっしゃると思います、小倉大臣も本音はそう思っていると私思っているんですが、まずその中でぜひやってもらいたいのが、涙ながらにベビーカーを押して、少なくとも3人の方がいました。障害をお持ちのお子さんをもっているご家庭の方です。で私勉強不足で知らなかったのですが、この障害児に対する、例えば「特別児童扶養手当」、こういった障害児福祉についても所得制限がガチッと入っているんです。でいろんな装具の問題とかお金がかかるので、せめて総理どうですかね、もう本当はいきなり全部やってもらいたいんですが、せめて障害児の障害児福祉の所得制限だけはまず撤廃すると、いうことで多くの障害をお持ち(のお子さん)の親御さんの思いに応えて行く、如何でしょうか。

岸田総理:
障害児、そしてそのご家族への支援、これは大変重要な取り組みであると思います。政府としましても、所得に応じた福祉サービスの利用者負担の設定、あるいは3歳から5歳までの障害児の福祉サービスの無償化、こうしたことをきめ細かく進め、負担の軽減を図っているところです。そして委員ご指摘の「特別児童扶養手当」につきましては、これは精神または身体に障害を有する児童の生活の安定に寄与するとともに児童の福祉増進を図る、こうした目的によって支給されているということで、制度発足時から所得制限が設けられているということであります。これが現状でありますが、委員のご指摘等も踏まえながら、政府としましては、こうした制度のありようについて、絶えずどうあるべきなのか、議論は続けて行きたいと思います。

玉木代表:
はい、障害児福祉の所得制限撤廃、ここはですね、政治の決断、総理の決断で進めて頂くことをお願いして質問を終わりたいと思います。

(おわり)

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