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「祈りのかたち」 エチオピアの懐中聖書

野町和嘉氏の写真集の中に「神よ、エチオピアよ」という素晴らしいものがある。1998年発行の古いものだが、彼の写真集は私の敬愛する土門拳氏の写真のように力強い。写真なのに紙上から迫ってくるようだ。見ていて息苦しくなる。そこが私は好きだ。

この本の前半には聖地、岩窟教会ラリベラとそこで暮らす修道僧や巡礼者を見ることができる。エチオピアの人々は容姿が美しい。白い布を纏った女性やターバンを巻いた男達、美男美女の巡礼者。選んで撮ったのかもしれないが、とにかく神秘的に美しい。ヨーロッパで活躍する黒人モデルはエチオピアの出身が多くいると何かで聞いたことがある。エチオピアにはたくさんの種族が点在しているので、一概にはいえないが、それでも彼らは立っているだけで絵になる8頭身、いや9頭身だ。

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旧約聖書にシバの女王がエルサレムのソロモン王を訪れる話がある。そのシバの女王はエチオピアの人だという説とイエメンのあたりの王国の人だという説があるらしい。美貌の女王が多くの従者を連れ旅する姿を想像するのは何とも楽しい。子供の頃、赤毛のアンのように空想を楽しむ少女だった私は、音楽でシバの女王の楽曲を練習する際に、挿絵にあるラクダに乗った女王(白人になっていた)と砂漠の世界から、色々想像したものだ。あの切なく、広がりのあるメロディ、、私の想像するシバの女王は孤高の麗人だった。


この懐中聖書を手に入れたのも、写真集と同じ頃だったと記憶している。あの頃はエスニックという言葉が流行り、アフリカの椅子やマスクなど、たくさんの道具類がヨーロッパを経由して多く日本に入ってきた。バブルはとっくに崩壊していたが、まだまだこういったもの達が、かなり高価でもギャラリーなどに陳列され、売れていた。雑誌などにもたくさん特集が組まれ、もう欲しいものが多くて自分の収入ではどうにもならず、真剣に副業を考えたほどだ。

この懐中聖書は今でも見かけることがある。が、私のこれ、、、とても可愛い。羊皮に描かれた聖者の絵が気に入って購入した。3mくらいの長さで、天井の低い私のマンションでは途中までしか見えない。しかも、猫パンチの被害にあっては申し訳ないので、安全なところへ今は退避していただいている。上記のラリベラの教会の中には同じような聖者の壁画が多くある。美しいというより、可愛いのだ。

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小さい頃から宗教に興味があり、私の家にはいろんな宗教のお道具がある。祈りの形はそれぞれで、人の心がこもった美しいもの。

あなたは神を信じますか?

という問いにはっきりと答えられる人はある意味幸せだと思う。私は迷い迷って、今も迷走中。ただ、手を合わせて祈ることに心の平安をえることができるのは確かだ。



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