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【夢日記】〜混沌の海に光るそれは〜

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見たことのない虹

見たことのない虹

友人達に手を振って別れたあと、見上げると大きな虹が出ていた。

「あ!虹!」

振り返って叫ぶと、彼らが向かう空の上にも虹。ダブルレインボーだ。

「うわあ、こんなことってある?」

見ると、どの方角の空にも虹が架かっていて、しかも増殖するようにゆっくりと、幾重にも重なっていく。

空が、静かに虹に侵食されていくかのように。

透き通った春の初めの青に、虹は波紋のようにただ広がっていく。

色彩の

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世界の始まりと終わりの螺旋を描く本

世界の始まりと終わりの螺旋を描く本

夜の橋をそのひとと渡っている。
向こう岸を仰ぐと
空を覆うほどに巨大な金色の土星と
青光りするメタリックな地球が浮かんでいる。

世界の終わりか始まりを見たかのように
興奮して隣のひとを振りかえると

「あれは、バルーンだよ。
 あの街のカジノのが空に浮かべてるんだ」
  
そのひとはとても背が高くて
顔を埋めると胸にも届かなくて
それがおかしくてわたしは
エレベーターの中で何度も
彼の腰に腕を回

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目が醒めたあとも 1

目が醒めたあとも 1

目が醒めた後も
まだ薫るみたいに
妙な余韻が残る夢を見る

1
乳白色の封筒の中に
乳白色の便箋が
綺麗に折られて眠っている
よく知っている文字
半分涙声のような言葉たち

元気にしてるか
幸せでいるか
近くにいても遠くて
もう二度と
そこにはいけないけど
祈ってる
それだけを

便箋と同じ色の
乳白色の螺旋階段を昇る

声にならない声は
便箋の上の文字とおなじに
空気さえも乳白色に染みて

踊り

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まんまる堂にて

まんまる堂にて

哀しい旅の帰り道で
一軒のカフェを見つけた

林の中の古い民家を
若い夫婦が改装したそこは
(店主の名は一開一打という)
木のあったかさと
夫婦の愛のぬくみに満ちていて
席に着いたわたしは
やっと息をできた気がした

メニューの中から
おまんじゅうを頼んだ

店の名前の通り
まんまるのおまんじゅうは
両手で捧げ持ちたくなるような
神聖な白の求肥の中に
細やかな粒子のこしあんが詰まっていて
お皿の上

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