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たった1人の一歩から、世界は変わる(空挺ドラゴンズ)

講談社 good!アフタヌーンで連載中のマンガ、空挺ドラゴンズ
売ってよし、食べてよしのドラゴンを捕獲することを生業(龍捕り)とし、空飛ぶ船で共同生活するチームのお話です。

おろちとり

驚いている女性はタキタ。龍捕りになってまだ日は浅いのですが、明るい性格で元気なムードメーカーです。
右上でドラゴンを「うまそう」と舌舐めずりしているのは先輩隊員のミカ。龍の捕獲技術が高く、掴めない性格の持ち主。

絵柄がマンガ版の風の谷のナウシカのようで、興味を持ちました。捕獲した龍で料理を作るグルメシーンもあり、独特な雰囲気です。

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美味しそう。

作者の桑原太矩さんは北海道出身。応援しよう!

そんな空挺ドラゴンズはこの冬にアニメ化されました。3DCGでとても綺麗な映像なのですが、エンディングがとても良いんです。テーマは赤い公園の『絶対零度』という歌です。


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はじめは、空を見ながら佇む新人のタキタ。どことなく寂しそう。

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空に光る魚のような生き物が流れていきます。歌詞は

アラバの海の真ん中
泳いでみせてきやしゃんせ
天と地を裏返してやれ

ですから、この魚は"アラバ(荒場)の海に飛び込む魚"だと思います。

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この魚を追いかけるように、タキタは走り出します。

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そしてみんなのところに辿り着くわけですが、まわりはタキタに気づいていません。

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そこに、先輩であるミカを見つけて

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駆け寄ります。

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そして呼びかけます。

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嬉しそうなタキタと、振り返るミカ。ここでこのような歌詞が流れています。

息を吸って吐くことが奇跡なんだと知っても
淡い泡ひとつ潰したい
燃えるような赤い魚

その前には「ガラス細工の鉢ん中」「見世物小屋の家主」という表現があることから、ガラス鉢の中に飼われていた赤い魚(金魚?)が、息を吸って吐くことさえ奇跡なアラバの海に飛び込んでいく、という意味でしょうか。

さて、タキタは一人、踊り始めます。

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とても楽しそう。

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体感温度疑って決めつける前に問えばいい
ときめきが導いてくれるから
絶対零度の未来に持ち物リストは無いのさ
ときめきが胸の奥にあるなら

素敵な歌詞です。「体感温度疑って」というのは、心地よい温度の金魚鉢の中で、思考停止になるな、という戒めの言葉。(という自己解釈)
「絶対零度の未来」はアラバの海、つまり、ぬるま湯に浸かった今(ガラスの瓶)と、茨の道かもしれない未来(荒場の海)の比較表現でしょうか。
でも、これから厳しい場所に「ときめきが導いてくれる」。

すると、まわりがタキタの楽しそうな姿に気づき始めます。

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ジャンプ!

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そしてまた踊る。

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すると・・・「あれ?アイツ、なんだか楽しそうだな。行ってみるか」

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楽しくなってきた仲間たち(フェイ、ソラヤ、オーケン)と、ニコに連れられて戸惑いながらやってきた右の男性はジロー。腰に手をあててやれやれと見つめる長身の女性はヴァナベル。

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輪はどんどん大きくなります。甲板長(ギブス)、船長代理(クロッコ)も右から登場。

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会計士(リー)や操縦士(カペラ)、他のみんなも集まってきて、大所帯となりました。

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みんなで楽しく踊る様子。手を叩いたり微笑ましげに眺める人もいます。

おわりのシーン。
場面変わって、下から、空艇クイン・ザザ号を見上げる形となります。

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タキタの前を通り過ぎ去る赤い魚。

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そして最後は、タキタと、仲の良い3人の仲間たちが空を見つめるシーンで終わります。最初と打って変わり、満足そうな表情です。

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1人の勇気ある一歩が、まわりを巻き込んで大きな輪になるという姿が良いなと思います。

自分の過去を思い出すと、勇気があったかどうかは別として、1人で走り始めた頃がありました。視野も狭く、心に余裕が無い状態で走っていたからか、孤独に感じていたんだと思います。エンディングの最初の方のタキタと少し似ていますね。

走り始めた僕に、1人がついてきてくれました。走るうちに視界がほんの少しずつ開けていき、いつの間にか仲間が増えていることに気づきました。
そしてまた1人、また1人と、どんどん仲間が増えていきました。

ただ走るだけじゃなくて、笑いながら踊ることも必要なんだと思います。楽しそうな僕を見て、面白そうだと寄ってきてくれれば、一緒に笑える仲間になれるかもしれないのですから。

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アラバの海の真ん中
泳いでみせてきやしゃんせ
天と地を裏返してやれ

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