『望生』

朝、テレビから流れてきたニュースに驚き、

小さく声を上げた。夫には気づかれていない。

玄関で見送った後、ネットで詳細を調べた。

元夫は新聞記者だ。彼が海外で亡くなった。

結婚していた頃から、仕事に明け暮れ、

滅多に帰らず、帰ってもお酒を飲んで寝る。

自分が隣にいる意味を見出せず、別れた。

彼は取材中に亡くなった。何よりも大事にした

仕事の中で死ねる。本望なのかもしれない。

嫌いなビールを掲げる。「長い間、お疲れ様」


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