『消癒』

弱っている者に、優しさを与えてはいけない。

それが、本物か見極めずに受け入れるから。

仕事と恋愛が上手くいかず、やけ酒の日々。

酔い潰れた私を、青年が家まで送ってくれた。

翌日、朝食を作り、ここに住みたいと言う。

あまりにも自然に言うので、自然に頷いた。

美味しい食事と適度な距離感、空気のように

日常に溶け込んでいる。安心しきっていた。

いつものように起きたら、彼がいない。

通帳と印鑑もない。幸せの終わりは呆気ない。


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