『飴負』

「はい、あーんして。一緒に楽しくなろうね」

彼が口に入れてくる、色鮮やかで小さな物体。

これを味わうと、その後の快楽が爆発的だ。

もちろん、いけないものだとは知っている。

だけど、小さい頃に父親から飴玉を食べさせて

もらった記憶が蘇り、せがんでしまうのだ。

逮捕される日、車の窓から父が見えた。

手には飴玉の瓶。そして、私を指差した。

朦朧とした頭では、父の意図を汲み取れない。

本物だけを舐めていればよかったなぁ。


#10行 #ショートストーリー #ショートショート #超短編 #短編 #短編小説 #小説 #詩 #現代詩 #人生 #薬 #覚醒剤 #快楽 #セックス #恋人 #犯罪 #楽しい #口 #味わう #父親 #飴玉 #記憶 #思い出 #家族 #逮捕 #車 #瓶 #指差す #朦朧 #頭 #意図 #本物 #偽物 #舐める #後悔 #飴負 #スキしてみて

この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?