見出し画像

大人も絵本を!VOL.2「居場所ってなんなんだろうね」

『こぐまのいばしょ』
原題『SOMEWHERE FOR LITTLE BEAR』
作:ブリッタ・テッケントラップ
絵:三原泉
発行:BL出版
2024年8月25日第1刷発行


原題『SOMEWHERE FOR LITTLE BEAR』
作:ブリッタ・テッケントラップ
絵:三原泉
発行:BL出版
2024年8月25日第1刷発行

《あらすじ》

こぐまは居心地のいい森で、しあわせにくらしていました。ところがある日、山火事がおき、こぐまは森にいられなくなってしまいます。「どこかおちつけるところをさがさなくちゃ」こぐまの新しい居場所はみつかるでしょうか。

《紹介コメント》

ブリッタ・テッケントラップは、ドイツ生まれの絵本作家で、2019年読書感想文コンクールの課題図書にもなった『かべのむこうになにがある?』をはじめ、哲学的で美しい絵本を描いています。そのテッケントラップの出たてほやほやの絵本です。
心の動きがていねいに描かれ、美しい森やかわいい動物たちの絵のタッチも魅力的です。

火事で住む森を失ってしまうこぐま。野生動物たちは、たとえ人間の仕業で起きた出来事からも生き延びようとする強さを持っているんだ、ということ。一方で人間界に目を向けると、地震や風水害などで住む場所を失ってしまった人たちの辛さ、それだけでなく、心の拠り所・居場所がない人たちの寂しさや、ある種の“生きづらさ”の話も重なるなぁと思いました。
「“おててつないで仲良しこよし”の人とだけで固まり、他の気に入らないものは排除すればいい」
とか
「自分さえ良ければいい」
とかいう風潮を切れ味抜群の刃でスーッと切ったかのような感じの絵本だな、という感じがしました。
あとは、人間関係などに苦しんで狭い心の殻の中に閉じこもるよりも、自分と合わない人とも出会うことで多少傷つくのは覚悟の上で、自分を受け入れてくれる安心・安全の場を見つけ、自分を大切にすることの重要性を教えてくれるな、とも思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?