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【VR作品紹介】第26回 モノガタリ交流会【テーマ:哲学】

◆「モノガタリ交流会」とは?

 皆さんこんにちは、A-Literary Works.(エーリテラリー・ワークス)です。今回は第26回 モノガタリ交流会の発表の様子について紹介したいと思います。第26回の内容に入る前に、企画の概要についておさらいしましょう。

 「モノガタリ交流会」とは毎週日曜21時VRChatにて開催中の創作PR会になります。特定のテーマを踏まえて毎回2名が作品を発表し、交互に感想を伝える進化形読み合い企画になります。発表・コメント共に5分と気軽に参加できるので、評価を求めるクリエイターや、VR上の物語に興味のある方々は是非ご参加、ご観覧ください。

 作品は小説・詩、演劇、映像、漫画、ゲーム・ワールドなど、物語性を含む一次創作であれば紹介OK、ただしなるべくシナリオを強調するようお願いしています。作品内容や発表内容は基本的に自由、ただし他者の作品や二次創作はNG、パロディ・オマージュ作品はOKとします。

 ……という訳で、第26回の発表者、テーマは以下のようになりました。

◇第26回 モノガタリ交流会【テーマ:哲学】

【No.51】あやたかさん「哲学の煙」

 一人目の発表者はあやたかさん(https://x.com/ayataka_VRC)になります。あやたかさんの作品「哲学の煙」は「コスパ」「タイパ」といった言葉に代表される現代の加速主義へのアンチテーゼとして、「余暇」の現代的価値を考える短めの文章作品となります。「読書、難解な活字、喫煙。これらの意識を没頭させてくれる愛すべき余暇・趣向品たちに感じた観念を無意識から抽出した散文」とあるように、情報や娯楽に溢れる現代において一見コスパが悪いように思えるものにも独自の価値があり、実際にあやたかさんは読書や喫煙を通して内省的な世界に没頭出来るとのことでした。字書きとして長年活動する私やNeitさんも共感し、低能率の塊のような執筆作業に明け暮れる一方、その暇潰しから生まれる悦びは他には代え難いものだと思います。またあやたかさんはシナリオライターとしても活動されており、劇団moment 様のVR演劇『don’t awake!』(https://youtu.be/AFn7aCLBfvM?si=-gEdUUs0fNYKT08m)の脚本を手掛けられています。打倒国王を目指す中世演劇風の作品ですが、クスりと笑えるようなシーンも多分に含んでおり、あやたかさんのまた別の一面が見て取れます。以前登壇して頂いた藤渚はすきぃさんも活躍……いや、暗躍のシーンがあるので、こちらも是非ご覧ください。

◇作品リンク:https://kakuyomu.jp/works/16817330667619106307

【No.52】Neitさん「重力のない場所」

 二人目の発表者はNeitさん(https://x.com/n3it024)になります。Neitさんの作品「重力のない場所」シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵 』(岩波文庫) を原案に、青年・阿刀田と少女・宮北が「哲学と宗教の違い」「恩寵と救いの違い」といった宗教哲学的な話題を、プラトン『対話篇』のように繰り広げる短編小説となります。他にもジョージ・バークリーや京極夏彦『鉄鼠の檻』などに影響を受けているようで、二次創作にも認識論を取り入れるなど答えの無い問いに対する愛を感じました。発表では「哲学と小説の落としどころが難しい」という問題提起があり、確かにフランツ・カフカのように結果として哲学の題材になることはあれど、全面的に哲学者の理論を組み込んだストーリーは構成力が問われるところだと思います。沈黙も対話篇形式は趣味に刺さる上、宮北が物語シリーズの臥煙伊豆湖のようで格好良いなと思いました。「きっきっ、という音がする」という出だしも良いですし、「この世にあるのは恩寵だけ。救いなんてね、差し伸べられるものじゃないんだよ」という台詞や、食事に対する手の動きは宗教的か哲学的かという問いに対する最後の答えもスッキリとしていて、後味良く読了できます。テーマがテーマなだけに、モノガタリ交流会始まって以来最も作家らしい方に来て頂いたように思います。

◇作品リンク:https://kakuyomu.jp/works/16818093079418505017

 以上、第26回 モノガタリ交流会のお二人の紹介作品となりました。皆さん如何でしたでしょうか?興味を惹かれたものについては、是非リンク先から作品を鑑賞してみてください。また発表者の方は常時募集しています。興味のある方はDiscordサーバー(https://discord.com/invite/UkYn7ZrY8t)に是非ご参加ください。それでは、また。

 文責:沈黙静寂(A-Literary Works.代表)


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