第百四十回 Gt 虎|MOVIE TORAVIA「マーベル映画を考察」

みなさんはマーベル作品って、どんなきっかけで観ましたか?そもそも僕は、映画始まりではないんですよ。前回話したように、"格闘ゲームで使ってた好きなキャラが映画になった"というのがマーベル作品を観出した始まりなんですよ。ゲーム始まりだから、そこが映画から入ってる人とは若干違うと思うんですよね。だから僕の場合はどちらかというと、圧倒的にヒットしている「アベンジャーズ」シリーズよりも「X-MEN」シリーズの方が愛着があるんです。「X-MEN」シリーズの時系列って「アベンジャーズ」シリーズの時系列とは別世界、別次元にあると思うんですね。ここはマーベル映画らしくマルチバース(=自分達の居る世界とは別に他の世界が無数に存在するという考え方)と言っておきますか(微笑)。だから僕はどちらかというと「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」とかを最初に観た時の方が、めっちゃ興奮したんですよね。

「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(2009)

原作はアメコミですけど、アメコミって絵柄的に入りにくいじゃないですか。だから、マンガを読もうとはあまり思わないんですよ。アメコミを原作としたものって、アニメ化もされてて、昔は夜中にTVでやってたんですよ。「ミュータント・タートルズ」とかを筆頭に、昔はアメコミ系のアニメも色々やってたんですよね。俺は「ミュータント・タートルズ」は好きでちゃんと観てましたね。キャラがそれぞれ特徴的で面白いから観てて、タートルズのフィギュアも持ってるぐらい好きだったんです。でも、実写化した「ミュータント・タートルズ」を観たら「キモっ」と驚いちゃって(笑)。実写化すると亀があまりにもリアルだったんで「気持ち悪ぃな」と思ってしまいました。

「ミュータント・タートルズ」(1990)

でもこの後から映像の世界はどんどんVFX、CG制作の技術が備わっていって、すべてを再現できるようになっていったのと並行して、マーベルの時代がやってくるんです。今まではアメコミを映画化してどんなに再現しようとしてもチープになってしまっていたんだけど、それが「X-MEN」の登場から変わったんです。

「X-MEN」(2000)

マーベルの最初は、まずこの「X-MEN」シリーズなんですよ。「X-MEN」辺りから、映像の特殊効果の進化に伴って、アニメやゲームの中に居たキャラクター達が魅力を損なうことなく、どんどん映画に出られるようになっていったんです。だから僕のように最初にゲームをやっていて、そこから実写化された映画を観ても、この辺りからすごい興奮するようになっていったんですよね。まあ中には日本のアニメ「ドラゴンボール」を実写化した「DRAGONBALL EVOLUTION」とか、"原作のイメージが崩れちゃたな"という感じの仕上がりのものもありましたけど。これに関しては、あまりにも「ドラゴンボール」の世界観の再現、スピード感があり過ぎて、あの感じを再現するのが本当に難しかったんだろうなと思うんですけど。

「DRAGONBALL EVOLUTION」(2009)

でも「X-MEN」以降のマーベル系は、実写化がちょうどいいところに収まっていて、綺麗に再現されてる感じがしますよね。だからゲームから入ってる俺からしたら、映画を観て「ゲームよりもすごっ!」と感じることの方が多かったです。ゲームの世界は当時はまだ2Dだったんですけど、映画化されると3DCGで動くから、映像はゲームを遥かに超えてるんですよ。その衝撃はデカかったですよね。だから、最初「X-MEN」を観た時はゲームよりも洗練されてて「うぉ、かっけー!」と思いました。俺と同世代の男の人は、自分と同じようにこんな感じでゲームからマーベル作品に入った人が多いんじゃないですかね。そもそも、日本に入ってくるのは映画よりもゲームの方が先なので。俺のようにゲーム始まりだと、ゲームをやってるからこそ映画を観る前から思い入れのあるキャラ、ないキャラ、というのがあって。俺はゲームの中で「ハルク」というキャラがあまり好きじゃなかったから、マーベル作品でも「インクレディブル・ハルク」とかは好きじゃないんですよ。

「インクレディブル・ハルク」(2008)

ゲームから入ってるからこそ、あまり思い入れがないキャラが実写化されても、そこまで映画には惹かれないんですよね。ハルクと同じように、スパイダーマンもキャラとしてそんなに好きなキャラじゃなかったんですよね。ゲームで使う必殺技とかも地味な感じだったから、そんなに思い入れは無かったんです。だけど、自分がゲームの中で好きで使ってたサノスにはめっちゃ愛着があったんですね。でも、「アベンジャーズ」で初めて実写化されたのを観たら「こういう感じか。ちょっとキモいな」と思ってしまって。思い入れがあっただけにちょっとがっかりするというパターンもあるんですよ。

「アベンジャーズ」(2012)

これは前回も話しましたけど、自分が一番好きでめっちゃ使ってたマグニートもがっかりなパターンでした。「X-MEN」に出てるのを観たら、全然渋い訳でもなく、ちょっとヨボヨボだったのが「うわっ、老人じゃん、きっつー」と思って。これが一番ショックでした。主要メンバー達と同じ頃に出てきて同じ世界観で戦ってるキャラだったから、てっきり若いもんだと思ってたから、"こんなにおじいちゃんだったんだ"と思いましたね。俺としては、もうちょっと見た目も若くて、カッコよくして欲しかったですね。こういう感想を抱くのは、自分が映画単体ではなく、「ゲームから映画」という流れで観ているからこそだと思います。「X-MEN」以降は、「CG凄い」というような視点でマーベル映画を観ていきました。当時は「ハリー・ポッター」シリーズもありましたけど、俺はどちらかというと魔法にCGを使うよりもビームに使ってる方にときめいてたんで(笑)。断然マーベル映画の方を観ちゃいますよね。「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」のウルヴァリンなんて、身体を改造されて手から金属の爪が出ちゃうんですよ?魔法よりもこっちの方が全然面白いじゃないですか。しかも、毎回「痛ぇ」とかいって、妙にリアルぶってるところも面白くて。
これは「X-MEN」シリーズ全般にいえることなんですけど、妙にリアルぶってるんですよ。だから観てると「アメリカにはこういう人が隠れて暮らしてるんじゃないか」というような錯覚に陥るんですよ。アメリカとか俺はそんなに知らないし、行ったこともないから、余計に想像しちゃうというか。そもそも「アイツらならやりかねない」って思うんで(笑)。「アメリカには本当はこういう特殊能力を持ったヤツが隠れているんだ」「そういうミュータントを作ってるとしたら、じゃあ自分だったらどんな特殊能力が欲しいかな」とか、そういうことを想像して考えたくなるような世界観がマーベル映画にはあるから、だからみんな好きになるんですよ。しかも、最悪は特殊能力がなくても「アイアンマン」がいるんで(笑)。

「アイアンマン」(2008)

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