子どもの貧困率

今ニュースを見ていたら、日本の相対的貧困率が16パーセント、つまり、年収112万円に満たない人が2000万人いるという事が流れた。ちょっと驚愕した。

 また、母子家庭の半分以上が年収200万以下で生活をしているという報道も流れた。

 そこで暮らす子ども達は、目に見えてみすぼらしい格好をしているわけでもなく、明らかに飢えているわけではない。でも、様々な面で不利な立場にいることも想像に難くない。実際、私も立場上、そういう家庭や子ども達に出会ってきている。

 私たちも学校で、いろいろと配慮をしないといけない事も増えました。

 例えば、「父の日」「母の日」等で、感謝の気持ちを表そうと呼びかけたり、例えば、絵を描いたりするなど、何か手作りのプレゼントを作ったりとか言うことも、クラスの中に母子家庭・父子家庭が一見でもあれば、しないことにしています。だから、十数年やったことがありません。話題にしたこともありません。

 例えば、もうすぐクリスマスですが、「サンタさんに何頼む?」「どんなプレゼントほしい?」なんて話題を子ども達に振ることも避けます。そういう話題がクラスの中で出たときも意識してすぐに話題を変えます。普通にプレゼントをもらえる家庭ばかりではないのを知っているので。

 例えば、長期の休みに、日記の宿題を出すのですが、どこかに旅行をしたことばかりにならぬように子ども達には、例えば「自分が一番印象に残ったことを3つ」というような言い方で日記を書くように指示します。金銭的に、もしくは親が忙しくて、どこも連れて行ってもらえない子がいることも知っているので。

 例えば、クラスで学級費で購入する問題集や教材などは極力減らして、自作のプリントや、図工などで何かを作る活動をするときには、ペットボトルや空き缶、空き箱などある物を使ったり、教材なども自作して済まそうとしています。学級費が負担になるかもしれない家庭があるのを知っているので少しでも徴収金を減らしたいと思う。

 子ども達は「両親に見守られ、衣食住の心配など全く感じることなく、自分がほしいと思える物をそれなりに買ってもらえる環境にいる」という、「ごく普通!」の家庭環境が、当たり前だという時代はもはやない。

 特に、貧困に関する事は、子ども達自身でどうしようもないことですし、特に傷つきやすい部分でもあるので、私も努めて意識して対応しようとしています。

 でも、根本的な解決には私は無力そのものだという現実もあるわけで・・・

 長期休暇の時に体重が減る子ども。給食が唯一といっていいほどの栄養源だから。だから、意識的に多く給食を入れてみたりするしかできない私。

 着すぎて、もはやシースルーとしか言えないほど透けて見える体操服を寒空に着ている子ども。買ってもらえないのだなと分かっていても、どうすることもできない私。一緒に遊ぶことしかできない私。

 日本は先進国で、豊かな国だという認識が、揺らぐ瞬間、疑問を持つ瞬間でもあります。

 生活保護をもらいながら、贅沢な暮らしをしている、児童手当を自分たちの娯楽に使っている・・・なんて、ニュースで見かける「悪い親」なんてそんなにたくさんいるわけではない。ほとんどは、本当にサポートが必要な家庭ばかり。ごく一部の「悪いやつ」のために、本当にサポートが必要な家庭が割を食らうのは納得いかないというのが本音です。少なくとも、私が出会った家庭は、どんな境遇だろうが、必至に自分たちの生活を、子どもを養おうとしている人たちばかりです。

 年収の格差は、ある意味当然でしょうが、セーフティネットが上手く機能していない(というか、ずるをするごく一部の悪者のために、本当にサポートが必要な家庭がはじかれる)構造は何とかしたいと思うのは甘すぎるのだろうか?

 立場上、いやでも、たくさんの家庭の内側まで見えてしまうので、余計に自分の限界を感じずにはいられない。

 今日はちょっと凹んだニュースを見てしまいました。

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