驚愕のアプリ

「PhotoMath」「MyScript Calculator」という二つのアプリをご存じですか?どちらも、算数・数学教育に携わっているものにとっては、驚愕のアプリです。少なくとも私にとっては。

 だって、このアプリを見て、「より速く、より正確に答えが出せるようにするための計算練習」の時間を、もっともっと本質的な部分の学習の時間にしようとする先生が増えるかもしれないと期待させるから。

 だって、こんなアプリ見せられたら、単純作業たる「計算練習」に、スピードと言ったばかげた目標のために時間を割くのがばかばかしくなるのが通常だと思うので。

 誤解を招かぬよう、補足すれば、「ある程度の」計算練習は必要だとは思います。しかし、例えば筆算とかの計算練習は、一種の「ルーチンワーク」なので、思考力なんて必要ありません。ただ、決められたやり方をなぞっていくだけ。(某塾のCMを見ていると、計算練習をしている姿から、あたかも、思考力が伸びているような印象を受けますが、はっきり言って計算練習そのものは思考力は伸びることはないと考えています。理由は上記の通り。「やり方」を「考えている」が、「思考力」は伸びることはないと思っています。)それでも、反復を繰り返さないと身につかないことも事実です。だから、「ある程度」は繰り返し練習は必要です。

 でも、例えば筆算を学ぶとき、大切なのは「その方法」を身につけることではなくて、「その方法の意味」を理解することです。(例えば、筆算で「1繰り上がって・・」なんてフレーズがありますが、どういう意味なのか?「1」は何の「1」なのか?そういう意味をしっかりと考えることが本当の学習だと思っています。)そういう意味で、「意味」を理解するための時間をより多くとることができるようになるかも・・・という意味で、このアプリをたくさんの先生に教えようと思っています。

 こんなアプリけしからん!やっぱり小中学生にはスマホは持たせる必要はない!簡単に持たせる親が悪い!・・・なんて責任転嫁しているようでは、教師としてあまりにも情けないと思うのですが、私の周りの先生はどうかな???

「算数の授業って簡単。だって、結局計算ができるようにさせたら良いだけでしょ。そのためにプリントどんどんさせたら良いのよ。意欲を続かせるために、速さや正確さを競わせたりして・・・そうやって練習ししたら、テスト等でもすぐに結果が反映されて、親もそれを見て喜ぶし・・・一石二鳥!」なんて先生が一人でも減りますように!このアプリを見て。私にとってはそれくらい衝撃度が高いアプリでした。

 ちなみに私は、例えば子ども達が宿題に対してこのアプリを使って答えを出そうが、そうでなかろうが、たいした問題ではないと考えています。このことだけに限らず、「ずるいことをして体裁を整えることの愚かさと自分の弱さ」「ずるいことをして、楽をして上手くやっていこうとする卑怯なことは私は認めない」という意思表示を常日頃から話をしているつもりなので、そういう誘惑に負けずに自ら律することができる子になってほしいと思っています。時には負けるときもあるのかもしれませんが、「生き方」の問題につながる事だと思うので。教師はそういうことを話しなければいけないのだろうと思っていますので。

 それに、実際にそういうアプリが蔓延しているような感じならば、宿題には計算のプロセスを文章で表記させるようにするかな・・・今一番求められている論理的な思考力と表現力も育ちますしね。

 今のところ、私の通っている学校は田舎なんで、スマホ自体を持っている子は、そんなに多くないので、あまり深くは考えていませんが・・・

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