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3Dプリンター牛肉

2019.10.28

先日、テルアビブの Start-up Nation Central でフードテックのミートアップイベントがあったので参加してきました。そこで、未来の食肉に関する問題とそれに対するアイデアを聞くことができて面白かったので、書いてみようと思います。

と、その前にまず今回参加したイベントの主催元であるStart-up Nation Central についてご紹介。

Start-up Nation Central ってなに?

イスラエルのイノベーションを主に海外に向けて情報発信して、ビジネスの橋渡しをしている非営利機関であり、イスラエル政府やNGO等と協力して、イスラエルエコシステムの活性化を図っています。

その一環で、よくイベントを開催していて、いろんな分野のスタートアップ企業からゲストを呼んで、彼らの話を聞いて議論したり、ネットワーキングをしたり、毎日のようにいろんな人がつながれるように何かしら企画をしています。

この機関が膨大なデータを持っており、特にイスラエルすべてのスタートアップを誰もが閲覧できるように、無料のプラットフォームを作っています。これがとても便利で、自分が調べたいワードを入力するだけで、関連企業が抽出され、必要な企業情報が出てきます。

さて、今回参加したのは日本ではあまり聞かない「フューチャーミート(人工肉)」に関してのミートアップイベントでした。

なぜ人工肉なのか?

これから世界の人口が増えるにつれて、肉の消費量も比例して増えていきます。
国際連合食糧農業機関(FAO)によると2050年には食肉の需要が今の70%分まで増えるそうです。
また、最近は環境問題の面からも、食肉(特に牛肉)をやめよう、または削減しよう、という人も増えてきました。

最初はなぜ牛肉を食べることがなぜ環境破壊につながるのか、いまいち理解できなかったのですが、主な理由は以下のようです。

森林伐採の原因の80%を畜産業が占める。(地球の陸地の26%が家畜の放牧地に使われていて、農地の75〜80%が家畜用の飼料の生産に使われている。)
・ 家畜の排せつ物などから出る温室効果ガスが世界全体の14%にあたる。
・ 特に畜産牛を育てるのに世界で供給されている30%のきれいな水が使用されている。

しかし、それでも日本ではステーキ人気は増しているように感じるし、ファミレスでは毎シーズンごとにいろんなハンバーグが宣伝されます。チーズハンバーグなんて牛さんがいないとまず作れません。それらがなくなったらどんなにショックでしょうか。(ちなみにイスラエルでは肉と乳製品を当時に食べてはいけないというコーシャの規律があるので、まずお店で食べれるところは少ないです。)

しかし、環境破壊は進み、世界的な食糧難の時代はだんだんと近づいてきています。お肉も食べたいし環境も守りたい。さてどうするか。

そこでイスラエルのいくつかあるスタートアップは代替肉を作る技術に力を入れています。いくつか少しご紹介します。

RILBITE

「RILBITE」は代替ミンチ肉を開発しているスタートアップで、100%野菜や穀物から作られており、しかもグルテンフリー。工業油も加工化学薬品もはいっていません。すでにイスラエルのレストランやデリでは売られているそうです。


Redefine Meat

この企業はなんと、3Dプリンターで植物性プロテインの牛肉を作る技術を開発しています。

一度、本物の牛肉と違いがあるのかどうか、イスラエルの高級レストランでケバブ料理にして提供したところ誰も気づかなかったとのこと。


Feature Meat

培養肉を開発したスタートアップ。動物の細胞から作られた人工肉を研究開発しています。
肉細胞の原型と、それを作り出す機械を開発し、将来的に人工肉を販売したい業者向けに展開するビジネスビジョンをもっています。外国投資家からも最近1,400万ドルを調達しました。


日本ではスーパーのお肉しか見たことがない子供たちに、生き物のありがたみを知ってもらうための食育がありますが、将来、人工肉がスーパーで売られるようになったら食の概念がまた変わるのでしょうか、、。面白い議論ができそうです。

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