見出し画像

医師から見たピラティスの重要性

HIPs[ヒップス]はHealth&care Innovation Partnersの略称で、ヘルスケア領域専門のプラットフォームを提供しています。HIPsという名前には、医療・予防健康業界における大殿筋(ヒップ)のような存在になるという意志が込められていて、医療・健康予防の専門職に革新的リソースを供給し「健康」というキーワードで世界を1つにするという目標を掲げています。様々な専門職の知識・技術・ノウハウを融合させ、医療・介護業界に新たな「上昇気流」を作り出すために、多様な分野のスペシャリストの方々がHIPsで活動しています。

今回は、HIPsの一員である飯田温美さんにインタビューさせていただきました。

経歴

1992年滋賀医科大学卒業、同大学付属病院麻酔科入局。ペインクリニックを勉強していく中で、各種のペインマネージメント に難渋する症例を経験。患者個別の専門的なリハビリの必要性を感じ、2007年 STOTT PILATES インストラクター資格取得。その後、大学病院で個別のリハビリや地域バレエ教室で障害予防のためのピラティスの指導にあたる。現在、週4日麻酔科常勤、週3日ピラティスインストラクターとして活躍中。

今のお仕事を目指そうとしたきっかけ

七島:医者という職業を目指したきっかけはなんですか?

飯田:子供の時体が弱く、よく病院に通っていたんですけど、その病院の雰囲気や匂いがすごく好きでした。少し不思議なのかもしれないんですけど、居心地が良かったですね。あと、ナイチンゲールの本や、ブラックジャックの漫画を幼い頃から読んでいて、体の不思議に興味を持ち、お医者さんに憧れを抱きました。なのでもう幼稚園の時には、将来医者になろうと決めていましたね。

七島:その後、なぜ麻酔科を専門としたのですか?

飯田:麻酔科は元々興味があった救急治療に近かったというのが理由です。他の科よりもいろんな技術を早く習得できるという魅力がありました。実際には、麻酔のサブスペシャリティとしては、救急医療、ICU、ペインクリニック、緩和ケア医療があることは、なんとなく知っていただけです。1人目の子供を出産後は24時間勤務することが困難になり、早くからペインクリニック外来で勉強する機会に恵まれました。

ピラティスとの出会い

七島:どのような経緯でピラティスに出会い、セラピストとして働き始めたのでしょうか?

飯田:ペインクリニックの患者さんと向き合っている中で、なかなか治らない人もいて・・・一番多い人だと200回〜300回くらい神経ブロック治療をしたこともありました。本来医師のやるべきことは、患者さんに病院にいつまでも通ってもらうことではなく、患者さんに良くなってもらい、社会復帰してもらうことだと思っていて・・・自分がやっていることは違うなと思い、海外の治療法などを調べているときに、「ピラティス」という言葉を目にしたんです。

ピラティスとは

七島:ピラティスとはなんですか?

飯田:ピラティスは、ドイツ人のジョセフ・ピレティスという人が約100年前くらいに考案して、その後アメリカから普及していった「身体をコントロールして理想的に動かすための方法論」と考えてもらったらいいかなと思います。怪我をした人がピラティスのマシンを利用してエクササイズを行い、身体の本来の機能を再獲得することを目指すものです。ピラティスのエクササイズは完全オーダーメイドであるということが大きな特徴だと思います。また、ピラティスは、痛いところ、つまり症状がある場所だけではなく、他の部位からもその怪我に対して最初からアプローチをするところ他のメソッドと違う点ですね。例えば、膝の調子が悪い患者さんだったら、膝にだけ目を向けるのではなく、その人の姿勢とかバランスとか・・最初からホールボディとして捉えて、膝の故障の原因となった可能性のある箇所へ、その人が必要とするエクササイズを組み立てて行くので、ピラティスを行うと症状が再発しにくいことも大きな特徴です。

印象的だったピラティスの患者さん

七島:今までで一番印象的だった患者さんはどのような方でしたか?

飯田:ピラティスに来てくれたクライアントさんで話しますね。この患者さんは、もともと腰が痛いという理由で治療を始めました。問診をしているとこの人は内臓疾患の潰瘍性大腸炎を患っていたんです。治療のためにずっとステロイドや免疫抑制剤を服用されていたんですけど、ピラティスを初めて数ヶ月でドラックフリーになったんです!ピラティスは、呼吸を意識しながら体を動かすんですよ。そういった特徴から内臓系へのアプローチもできると感じていましたが、この患者さんを通して、ピラティスの底知れぬ力に感動しました。また、この患者さんが、持病の腰痛と潰瘍性大腸炎を克服した後、ピラティスの魅力をご自分でも広めたいと、ご自身がピラティスの資格をとろうって目指してくれて・・・。私には世の中を健康な人でいっぱいにしていきたい、そのために身体を動かすことの大切さを広めていきたい、という強い思いがあるので、このクライアントさんのように、私の思いがピラティスを通してシャンパンタワーのように広がっていく気がして、とても嬉しかったです。


ピラティスと医療の関係性

七島:お医者さんから見たピラティスの可能性を教えてください。

飯田:ピラティスの可能性は無限だと思いますが、麻酔科医として普段思っていることを話しますね。たとえば、急性期医療に直結したピラティスだと、手術前後の治療に特化したものを集中的に行うのもありですね。全身麻酔は呼吸器系への負担がかなり大きいので、手術前にピラティスで呼吸のエクササイズをしておいて、手術に臨むのはかなりアドバンテージか高いと思いますよ。また、本来は、怪我がある程度治ってきてからじゃないと本格的なリハビリができないと思われていますが、ピラティスの場合は、他の部分からもアプローチが十分できるので、歩けなくても、寝たままでも治療が開始できるので入院期間が短縮できて、日常生活への復帰もスムーズになると思います。


HIPsとの関わり

七島:どのような経緯でHIPsのメンバーに加盟したのでしょうか?

飯田:最初は元々HIPsメンバーだった矢野さんという方が、私のところにピラティスのセッションを受けに来てくださり、そこでのお話でHIPsの活動を知りました。そこで、オンライン師匠でピラティスを紹介できたらなと思い、メンバーになりました。

七島:飯田さんが考えるHIPsの魅力とはなんですか?

飯田:HIPsのいいところは、職種、経歴、年齢関係なく色々な背景を持っている人が所属していることですね。やっぱりこれだけ人を集める代表の笹倉さんはすごく影響力のある方だと思います。みなさんとてもやる気があって、全てがボーダーレスなので、いろいろな分野の人から情報を収集できるのがすごくいいと思います。あと、皆さんとてもキラキラしていて素敵なんです。

今後のビジョン

七島:飯田さんの今後のビジョンを教えてください。

飯田:やはり、予防医学としてのピラティスの普及活動を続けて行くことですね。そして、将来的には不調で病院を受診する人がゼロになったらいいなと思っていています(笑)。もちろん病気にもよりますが・・ある程度の病気は生活習慣で予防したり、治せることが多いので、病院に行かなくても自分の意識、ライフスタイルで治せるということを広めていきたいです。そんな人がどんどん増えたら、医療費も軽減できて、みんなが本当の意味で健康になるし、社会にとってもすごくいいことばかりだと思うんですよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?