今話題になっている不登校支援のスダチさんについて、元不登校の私が思うこと

Twitterでスダチさんについて目にした。不登校の子の親を対象にしたプログラムで、とても短い期間でとても高い再登校率を誇っているのだとか。親がプログラムを受けて関わり方を変えることで子どもが良い方向に変わっていくという。その内容に触れる中で元不登校として色々と思うことがあったので、ここに書いてみようと思う。

まず、親が変われば子どもも変わる、それはおそらく正しいのだと思う。親が子どもに惜しみなく愛情を注ぐ。間違ったことをきちんと正すことと、無条件に子どもを肯定することを両立する。スダチさんのプログラムで親御さんたちがどのようなアドバイスを受けるのかよくわからない部分はあるが、良い関係を築けている親の存在が子どもの大きな支えになるのは間違いない。

しかし、気になることがある。親が変わるだけでは解決しない問題が確実に少なからずあるということだ。

たとえば、発達障害、精神的・身体的な疾患、いじめ、先生などからのパワハラ、学校の制度とのミスマッチなどだ。

もちろん親が変わることで解決する問題もあるだろう。そうして一部の問題が解決することで、子どもはひとまず学校に行けるようになるかもしれない。しかし、親が変わってもどうにもならない問題が残っていたとしたら?子どもは結局それによる苦しさを抱え続け、蝕まれ続けることにならないだろうか。

私自身、発達障害とその二次障害がわかったきっかけは、学校に行けなくなったことだった。

ある時、ぷつんと糸が切れたようにエネルギー切れを起こした。頑張らないと寝返りを打つこともできないほど体が重かった。抑うつ状態だった。苦しさと悲しさと虚無の時間をなんとかやり過ごし続けているうちに出席が足りなくなり、転校することになった。転校先の学校での余裕のある生活のなかで、以前から自覚していた発達障害の特性に診断をつけて一緒に向き合ってくれる医師の先生と出会ったのだ。

今私が無理をせず過ごせる環境にいられるのは、あのとき立ち止まることができたからだ。置かれた環境に合わないことに、合わせようがないことに気づけたからだ。

親や本人が変えられないことが原因で苦しんでいる子どもたちから、そこから逃げて自分らしく生きられるようになるチャンスを奪わないで欲しい。いびつなままの生活に戻さないで欲しい。

スダチさんのプログラムでは、子ども自身が直接働きかけを受けることはないのだという。そんな中で根本的な原因を突き止めて向き合うことができるのだろうか。再登校から何年も経ってからそのことに気づいて、余計に遠回りをすることにはならないか。

そもそも、学校に戻ることに目線が行き過ぎてはいないか。学校に行かないことがその子にとっての正解だったと気づく機会を、その子に本当に合う生き方を選び取るチャンスを失わせることにはならないのだろうか。

「学校に行かない」ことを選べずに苦しむ子どもたちが増えないことを祈るばかりだ。


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