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夢は描くもの 志は立てるもの

栴檀は双葉より芳しい


学習塾には次の言葉がぴったり当てはまる生徒が時々現れます。
「栴檀は双葉より芳し」=「優れた人物は幼少時代から他を逸した輝きを放っている」という意味を持っているらしいですが、本当にそんな生徒に出会えることがあります。そう言う子どもは思春期に差し掛かる頃に自分の将来の夢を描き始めます。


夢と志の違い


10年ほど前、そんな生徒からこんな質問を受けました。
 「先生、夢と志の違いは何でしょうか?」
とても難しい質問で当時の私には即答ができず、正直に「先生もはっきりとはわからないからちょっと考えてみるから次の授業まで待ってくれる?」とお願いしたことがありました。その時はネットや書籍で調べた一般的な答えを伝えたと思いますが今ならこう言えます。「夢は描くもの、志は立てるもの」だと。

普段、脳科学をベースに教育に取り組んでいますが、中国古典文学から学ぶことも多く、その中の一つに「易経」と言う本があります。この本の中に「確乎不抜」と言う四字熟語が出てきますが、これが「志を立てる」の意味の語源になると言うことを、私が尊敬する易経研究家の竹村亞希子先生の著書から学びました。また、ソフトバンク社長の孫正義氏も「新卒ライブ2012」の講演で「夢と志は違います。夢は漠然とした個人の願望であり、志は個々人の願望を超えて多くの人々の夢を叶えようとする気概です。夢はこころよい願望だが、志は厳しい未来への挑戦です。」と語られています。

決して抜くことのできない強い『志』は杭を打ち込むように「立てるもの」であり、夢はこころよく個人の願望を「描く」ものだと今なら答えることが出来るのです。
 


脳科学から見た『志』


さて、『志』を脳科学の視点から見てみますと、強い自己肯定感が必要と考えられるのではないでしょうか?前回の「やり抜く力」でも触れましたが自己肯定感を育てるために必要なことは、大人がしっかり子どもの努力の過程を認めていくと言うことにつきます。これは何も親子関係だけに言えることではなく、社会や会社でも人材教育において上司が部下にできることでもあるのです。

つまり「100点(結果)を褒める」のではなく「今日30分・1時間机に向かえた(行動)こと」を認め、誠実に思いを込めて褒めていくことが必要なのです。その理由についてはまた次回に詳しく説明いたします。

10年前、現在ほど強く確信を持って答えてあげることができなかった私の後悔など全く意に介さず、あの時目を輝かせて「夢と志の違い」を尋ねた女子生徒は今、変わらず目をキラキラと輝かせながら国連職員を目指して頑張っています。


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