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#私の仕事 ~底辺SEの実態~

「#私の仕事」を募集中みたいなので、この機会に"底辺SE"の日常を書いてみるのも悪くない。

私が私を"底辺SE"だと思うのは、IT業界の構造に由来する。

IT業界はピラミッド構造である。トップには天下のN〇○、日本I〇M、日〇、富〇〇など、誰もが一度は就職を夢見る大企業が君臨している。

彼らの下には子会社がおり、さらに下請け会社、その下に下請け会社、さらにその下に・・・という格差社会が成り立っている。

私の会社は、主に3次受け以下を担当し、ピラミッド下層に位置している。

大企業からの案件を子会社が受け、それがさらに下の会社へ依頼され、さらに下の会社に依頼され、さらに下の私たちに回ってくる。そういうわけだから、必然的にお金は搾取され続け、私の給料は毎月雀の涙。(あ、あれ、なんだろ、目からあふれ出てくるこの液体は・・・)このような下層の会社に一度就職してしまうと這い上がっていくのはとても難しくなる。

いわゆる"外注"というやつだが、ピラミッド上層部には私たちを"害虫"と呼ぶ人たちがいるとかいないとか。

とはいえ、初対面の人にSEであることを言うと、

「すごーい。頭いいんだねぇ~!」

と言われるのが9割方であり、社交辞令でもそれはそれで嬉しいものであるが、残念ながらこの発言は間違っている。

私の仕事は、「SE」と聞いて多くの人が想像する、プログラミングがバチバチにできて、論理的思考で他人の意見を論破し、パソコンのことなら何でもお任せ!みたいな、ステレオタイプとはかけ離れている。

底辺SEの地味な一日。

私の会社の本社は池袋駅から徒歩15分くらいの場所にある、うらぶれた、窓のない、陰鬱な空気が漂う3階建てのしょぼいビルだが、唯一"害虫"の良いところを挙げるとすると、自社ではなくお客様の会社で働けるということである。

まさに将軍と御家人の関係である。ありがたや。

私が現在勤めている場所は、品川にある高層ビルの10階だ。

各フロアにある窓はめちゃめちゃでかく、毎日日の光が差し込み、とても明るい。トイレもきれいで気持ちがいい。

とりあえず会社に着いたら、メールチェック。とはいえ、セキュリティ上の都合で外界とはつながっていないので、届いているメールは隣の席の上司からか、私に全く関係のないシステムトラブルを知らせるメールかの2択である。

5年前に就職活動で訪れた企業の社員が説明していた「私の一日」によると、メールチェックに2時間くらい費やしていた。そのためなんとなく「立派な社会人になったら色んな人から重要なメールがたくさん来て、返信にも一苦労なんだろな~。」と想像したものである。が、先に述べたように、私のパソコンには2種類のメール、うち1種類は私と無関係、もう一方は口頭で返事をすれば済むので、私が想像していた「メールバシバシ打ってかっこいい社会人」からはかけ離れているのだ。

10分でメールチェックを終えると、プログラミングを始めるでもなく、会議が始まるでもなく、とりあえずエクセル資料を大量に開く。

私が現在行っている仕事は、「設計書を書く」こと。

そのために、10ファイルくらいのエクセル資料を一気に開き、どんな設計にしようか、どんなフローにしようかと考えるのである。

そう言うとちょっと小難しそうに聞こえるかもしれないが、実際は、過去の似たような設計書をコピペする作業が9割方である。そのため、作業のほとんどが、「どっかに似たようなこと書いてある資料あったよなぁー」という資料発掘作業である。

1時間ほどしたら休憩がてらビルの1階にあるコンビニでおにぎり2つとクラフトボスを買い、フロアに戻る。

そしてまたエクセルをにらめては、コピペ作業である。

お昼休み、節電のためフロアの電気は消え、窓もブラインドがかけられているため薄暗くなる。忙しい時期は暗闇の中でもパチパチと仕事を続ける人もいるが、たいていは静かに飯にありつく。こんな薄暗い環境であろうと、みんなスマホでゲームしたりマンガを読んだりしながら飯にありつくため、フロア内はシーンとしている。

私は10分でおにぎり2個を平らげ、それで昼食は終了だ。別にダイエット中とかではなく、給料が低いものだから贅沢はできないのである。

トイレに行って歯を磨き、フロアに戻ってきたら、シエスタだ。(と格好良く言ってみたがつまりただの昼寝。)だいたい30分以上仮眠しておくと午後の業務、眠たくならずに乗り越えられる。フロアを見渡すと半数はゲームに興じ、半数は机に突っ伏して仮眠をとっている。

午後の業務開始のチャイムが鳴り、私は再びエクセル資料とのにらめっこを開始する。

・・・と、あとは定時の18時までとりたてて書くことはない。

私の一日は、エクセルに始まり、エクセルで終わる。

お分かりいただけただろうか?

プログラミングのプの字も出てきていないということを。

Javaのジの字も出てきてないということを。

私は文系出身でありそれもよく驚かれる点であるが、これでその謎が解けたことと思う。

変人ばかりの底辺IT企業。

私の会社には、めちゃめちゃ変人が多い。

正直、「な、なんで就職できた...??」と、人事の仕事を疑うほどの強者がゴロゴロ存在している。

①給料泥棒男子

彼は暇さえあればスマホをいじっている。他の社員ともめったに話さず、もくもくといじる。無論、就業時間中である。

あれ、スマホ見てないな~と思うと、今度は首がこっくりこっくり・・・寝ているのである。

彼がしっかりと仕事をした時間をギュッとすると、きっと2時間くらいに収まるだろう。彼は私と同期であるが、大学院卒であるため基本給は私より高い。学歴っていったい何・・・?

②自己中男

彼は飲み会が大嫌いであるが、現場の「飲み会好き」の雰囲気に押されてか、最近はよく飲み会に参加するようになった。彼もだんだんと社交性を身に着けてきたのか。これは大きな進歩である。

しかし、人の性格というものはそう簡単には変わらない。

ある日の夜、21時までのコースの飲み会において、21時になっても幹事が終了の気配を見せないことに見るからにイライラし始めていた。顔もどんどん険しくなり、貧乏ゆすりも始まり、その時はちょうど上司なども周りにいたものだから私は内心ヒヤヒヤしていた。が、ついに我慢しきれなくなったのか、「オレは21時までと聞いて来たんだ。もう3分も過ぎた。オレには帰る権利がある!」と啖呵を切って帰ってしまった。

彼はお客様からも近寄りがたい存在として認識されてしまい、後日その現場から外されてしまった。

③とにかくクセが強い男

タイピングがとにかく個性的な中年男性社員もいる。

タイピングくらいどうだっていいじゃないか・・・って思う人もいるかもしれないが、一日8時間以上同じ人と毎日仕事をするオフィスワークにおいて、隣の人のタイピング音、癖、くしゃみ、独り言などはとにかく気になるものなのだ。

彼のタイピングはとにかく癖が強い。

まるでピアノを演奏しているかのごとく、エンターを押すときはパチンッっと子気味良い音を立てて右手を高らかに舞い上げる。

調子が良いときは、壮大なクラシック音楽か聞こえてきそうなくらい両手を高く突き上げる。

彼は私の斜め向かい側に座っていて、こちらとあちらの間に目線の高さぐらいの仕切りがあるから、通常向かい側の人の手なんて見えないのだが、彼はエンターの度に、まるで蝶が羽化して大空に羽ばたくかのごとく両手を天井に向かって高らかに舞い上げるものだから、こちらの視線の中にチラチラと入ってくるのだ。それが蝶々だったら「わぁキレイだなぁ!」と仕事中の癒しくらいにはなるだろうが、中年のおっさんのごつい手である。ただただ目障りだし気が散って仕方がない。

しかもこのおっさん、独り言もかなり変わっている。

彼は常に何かを口ずさんでいないと落ち着かないようで、機嫌が良いときは「ピッピッピッピ~」とリズムを刻んだり、機嫌が悪いときは「チクショゥ、めんどくせぃ!」と悪態をついたりしている。

この前なんて、「あっちぃなー」と言いながら、背もたれに掛けていたジャケットを羽織ったものだから、私は思わず目を疑った。「世にも奇妙な物語」でクソつまらないエピソードくらいにはになるのではないだろうか。


番外編-営業男子-

とにかく変人のたまり場であるものだから、たまに営業男子が入ってくると、「あれ、だれかブラインド上げた?」っていうくらいフロアがパアっと明るくなる。

営業男子は、底辺SEが一生身にまとうことがないような香りを体から発し、すらっと背が高く、カチカチにヘアセットし、かっちりとした高そうなスーツに身を包み、時折白い歯をのぞかせてはさわやかな笑顔でお偉いさんたちと談笑している。

(底辺SEは、体からツンとする刺激臭を発し、ずんぐり体型に寝ぐせを活かしたヘアスタイル、しわしわのチープなYシャツに身を包み、スマホで漫画を読みながらニヤニヤして、タバコのヤニで黄ばんだ歯をちらつかせている。)

同じ業界で働いているのに、ここまで違うものかと落胆せずにはいられない。

婚活女子に勧めたい、SE男子。

負の側面ばかりを取り上げてきてしまったが、安心してくれ、良い部分ももちろんある。

底辺SEは、物静かで自己主張が無く、歯向かうことが無い。彼らは積極性にも欠けまくっており、自信がないため、彼女などの気配は皆無。(彼らはラブライヴやコミケの話題でよく盛り上がっている。想像できるだろう・・・。)

そう、底辺IT企業は婚活中の女子にとってはまさにブルーオーシャンなのだ!

とにかく温和で気性が激しくない人が多いため、草食系男子が好み♡という猛禽類系女性には一度試してみることを激しくお勧めする。彼らは浮気の心配もないし、きっとあなたに一途に尽くすだろう。隠れた優良物件である。(ただし何度も言うが、給料は低い。)

私の今後と学生への警鐘。

底辺SEの実態について書いてきたが、今後もこの仕事を続けたいかどうかというと、答えはもちろんNOである。

この仕事の良いところは、ずっと室内にいて座っていられるというところだ。私は出不精なためその点は非常に良い。

ただ、やりがいが無いのである。

正直、私のやっていることは誰でも出来ることだと思う。私じゃなくても、他の誰でも(今の時代もはやAIでも)やることが可能な仕事である。

それに、楽しくない。

誰にでもできる仕事を「楽しくないなぁ」って思いながら、機会みたいにただただ成果物を出している、それが現状だ。

私の信念として、仕事を楽しくするのもつまらなくするのも自分がそれとどう向き合うか次第だと思っているが、如何せんシステムやら設計やらに興味が湧かない。プラス、システム設計を理解するのが非常に難しく、同僚の会話についていくのが困難だとも感じている。

この現状を早く変えなければ。

実は今年中に会社を辞めようと思っている。まだ誰にも言っていないし、辞めたからって次にどんな仕事がしたいとかは無いのだが、ずっとやってみたかった海外移住でもしてしばらくニートになるのも手だなぁ!と甘ったれたプランを立て始めている。


「私の仕事」というよりは奇人変人図鑑になってしまったが、

最後にこれだけは言わせてくれ・・・。


学生たちよ、底辺IT企業にだけは就職するな!!

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