酒場「フライされたラクーン亭」にて
「あんた、ここはエルフ領と判っているか?」
エルフが二人、テーブルに寄ってきた。フードの留め具に弓を提げる隼の紋章。弓王フィナッセの者か。
他の客は見て見ぬふりすしている。まあそうなるわな。わしは内心嘆いて、酒に手を伸ばした。
「ワインだと?お前が飲みたいのはビールだろ?俺の体内で精製したのを飲ませてやるよ」
エルフはジョッキを奪うと、そのままズボンを下ろし、粗末なモノを晒した。
「待てな、泡たっぷりに作ってやる」「アハッ!汚えなおい!」
流石に堪えず、わしがガントレットを嵌めた拳を奴の股間にぶち込んだ。
「ぐぅ!」「貴様!」一人が倒れ、もう一人は剣を構えた。わしがこぼれかけたワインを飲み干し、ひげを拭きながらガントレットに刻んだ燃え盛る百合の紋章を掲げた。
「黒山脈王国王女、へル・ベオ=フレイムリリだ。お前の上官の処に連れてゆけ」
「なっ、王……女?」
なんだその目は、ドワーフの女を見たことないのか?
(続く)
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