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ITエンジニア、夕暮れの中で歴史書を編む

私は大学では歴史学を専攻していた。人文学系の知を吸収することにはそれなりの楽しみを見出していた。しかし、研究することへの努力とモチベーションが欠けた学生であった4年前の私は、直接専門性が活きる可能性が高いが新しいことを生み出し続けなければならない職に就くことに怖気づいた。その結果、某大手人材会社の適正テストの結果に従って、ITエンジニアという職を選んだ。 しかし、システムが機械的にはじき出した数値に基づいた行動は、入社後の困難を招いた。自分が属していた世界観とは180度真逆

    • 「トバないLSD」としてのホロライブ

      Appleの創設者スティーブ・ジョブズがLSDという幻覚剤を使用した経験を「人生における最も重要な出来事」に上げたエピソードは有名だ。彼の情報空間への親和性の土壌にはLSDを含むヒッピー文化があることはしばしば指摘される。LSDはもちろん多くの問題を含むが、少なくともジョブズには世界体験の拡張と能力の解放をもたらした。 どうにか、安全かつ合法的な別の手段で同様の体験をできないだろうか。そこでこの記事では、社会と融和的に感覚拡張と解放を体験できる方法を紹介したい。いわば「トバ

      • 「ひとり空間」を反転する~南後由和『ひとり空間の都市論』を読んで~

        まず、「ひとり」について新たな議論を行う出発点を明確にするために、本書の評価点の総括をしておきたい。本書の内容で評価できる点は主に二つだ。ひとつは単純に都市に生きる人間の生態を知るための資料としての有用性だ。居住形態の歴史的な変遷や「ひとり」を可能にする都市的な条件、SNSなどのメディアが可能にする都市での新たな過ごし方など、時間・分野の両方に広がりを持っている。いまひとつの価値は「個人」をめぐる様々な先行研究のまとめとしての有用性だ。多数の文献と参照が、読者の「個人」に対す

        • 映画『星の子』から考える2020年と「信じる」

          2020年もようやく終わりを迎えようとしている。現時点から一年を振り返ると、「信じる」が主題となった年だったように思う。例えば、ニューヨークタイムズからの赤字垂れ流し記事をはじめとする様々な醜聞が出たトランプ大統領をそれでも支持者は「信じる」か問題。世界でも類を見ない対策でコロナに勝利したという日本政府の言葉を「信じる」か問題。学術会議会員の学術会議側からの推薦を首相は拒絶することが可能であると「信じる」か問題。2020年、我々は社会の大きな変動に直面し、平時であれば意思決定

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