女優ノート『二階堂ふみさん』

気になる女優さんの出演作についての覚え書き「女優ノート」。今回は、2021年夏ドラマ『プロミス・シンデレラ』に主演する二階堂ふみさん。ソニー・ミュージックアーティスツ所属。

“ポスト宮崎あおい”と呼ばれ、早くからその才能が注目されていた二階堂さん。雑誌『ニコラ』の専属モデルを経て、ドラマ『受験の神様』(2007年)で女優デビュー。主演した映画『ヒミズ』(2012年)では、ヴェネツィア国際映画祭最優秀新人賞を日本人初受賞。

映画女優のイメージが強い二階堂さんですが、敢えてテレビドラマを挙げていきましょう。女子高生姿の二階堂さんなら『熱海の捜査官』(2010年)。オダギリジョー×三木聡監督の『時効警察』コンビによるミステリーで、二階堂さんは高飛車な市長の娘役。山﨑賢人さんや染谷将太さんらも共演。

熱海で起きた事件を捜査する捜査官(オダギリジョーさん)とクセのあるキャラクターたちが繰り広げる、シュールな小ネタ満載の超感覚サスペンス。女子高生4人を乗せたスクールバスが消え、そのひとり麻衣(三吉彩花さん)が意識不明で発見される。3年後、彼女は突然意識を取り戻し…。

続いては、前クール『大豆田とわ子と三人の元夫』も最高だった脚本家・坂元裕二さんの傑作の一つ『問題のあるレストラン』(2015年)。いわゆる「#MeToo運動」の広がり以前に放送された、その先見性にも驚きますが、ブレイク前の高畑充希さんや松岡茉優さんなど、今見ると豪華キャスト。

雑居ビルの屋上で、ポンコツ女のレッテルを貼られた“問題のある”女たちが、人生のどん底から這い上がるためレストランを立ち上げる。負けっぱなしの人生に終止符を打とうと、闘志を燃やす女たち。男たちが先に近所に同種の店を開いていた。今、熱く美味しい闘いの火ぶたが切って落とされた。

バラエティ『ぐるナイ~ゴチになります!』(2016年)へのレギュラー出演など迷走期もありましたが、大河ドラマ『西郷どん』(2018年)の愛加那役や『この世界の片隅に』(2018年)の白木リン役で完全復活、テレビドラマにも力点を置くようになってきました。

そしてオーディションで出演を決めたという朝ドラ『エール』(2020年)。脚本家の降板や、例の感染症による放送休止などトラブルもありましたが、事実上のW主演(窪田正孝さん)として、歌含め演技力を遺憾なく発揮。本作を佳作に引き上げました。

昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家とその妻の物語。古山裕一と関内音。音楽に導かれるように出会い強く結ばれた二人は、戦前・戦中・戦後を生き抜き、多くの名曲を生み出す。それは激動の時代を生きる人々への“エール"となって、日本中に響き渡る。

綾瀬はるかさんや有村架純さんも務めた『紅白歌合戦』(2020年)の堂々たる司会ぶりには感心するとともに、『リバーズ・エッジ』(2018年)の行定勲監督による「優しさと度胸を兼ね備えた人」という評価は正しいなと。宮崎あおいさんとは違った方向性を持つ“天才”の今後が楽しみです。


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?