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それ、ほんま?

コケたらあかーん!

そう思うから必死に足を前に出す。

弾みのついた身体は足より先に先にいきよるから

とにかく、

ヤバいヤバイ あかん、コケるぅーーー

なんとか足を出し続けてしのぐしのぐしのぐ


コケずになんとか、必死に走ってる自分を自分で褒めながら

でも心のどっかが首の後ろらへんをザワつかせるんよ。

この先って崖ちゃうんか?って。

ほんまに走り続けてええんか?って。

むしろヤバいんちゃうんかって。

ていうか、お前、正直しんどいんちゃうんかって。


コケてみ。一回。

勇気出して、コケてみ。


ダーん、ゴーん、ぐるぐる、ゴローん!

いってー、マジ痛い。。。

手のひらがジンジン 膝がガィーん

痛い痛い、いたいんやけど。。寝っ転がってると気が内に向かう。

僕の時間が止まってる 身体の声が聞こえる

顔をなでる風を感じる

雲が動いてく 着いたり離れたり消えたり現れたり

日が陰る 鳥が横切る キンモクセイが香る

アリと目が合う こっちくんな

こんなに汗かいてたんや 背中が涼しい


空白の時間が過ぎていく

色んな考え 色んな感情 色んなイメージが自分の中で明滅する

なーんや。コケたらあかーん!は、なんやったんや。


コケたらわかる。言うほど他人はこっち見とらん。ていうか、彼らも彼らでそれどころやない。

わかる。ほんまはそっち方向に走り続けても自分の心地良いにはたどり着かんことにうすうす気づいてたことが。自分で自分になんかヘンに言い聞かせてたことが。

そして、わかってくる。

しばらく寝転がってるうちに 息が整って 痛みがひいて

そしたらなんとなく立ち上がらんと気持ち悪くなることが。

立ち上がったらなんとなく歩き始めて

でも、その歩き方は 歩く方向は

きっとコケる前とは違うことが。

そして、目の前に広がる世界の見え方がきっと違っていることが。


周りが走ってるから走る、は、僕が走る理由にはならん

コケたらあかーん!は、ヤバいで。





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