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強風というよりほとんど暴風が吹き荒れている。足を踏ん張って立っていないと、向かい風に押されて後ずさりさせられてしまう。スマフォを構える腕にもぐっと力を込めて、わたしは太陽を撮る。太陽は、地上の暴風などどこ吹く風で(文字通りに)、ただそこにある。わたしは飽きずに毎日空を撮る。毎日違う空をスマフォに収める。昔、使い捨てのインスタントカメラが発売されたころ、同級生たちは友人と一緒に写真を撮るのに忙しかった。わたしはそのちゃちなカメラで、家のベランダから空を撮った。現像して出来上がった写真は、自分の目でとらえた空の色とは、似ても似つかなくて、使い捨てカメラには写りきらない何かが空にはあるのだと思った。いまだって、スマフォではとらえきれない色がある。カメラの性能がすごくよくなっているのに、カメラは人間の目を超えていないのだなと感じる。目というより、目だけじゃない、五感をフルに使って見ている人間の感覚を。わたしが撮りたいのは、その自分の感覚を伴った写真なのかもしれない。あるいは、自分の感覚を呼び覚ますために撮るのかもしれない。でも、ほんとうは、そんな理屈や理由なんか必要ない。空を見るのが好きなだけ。昔もいまも。

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