markdownエディタでSTATAの出力と数式の混在するPDF文書を作る

自分用備忘録を兼ねて。

想定読者:STATAを使って授業をしている大学教員&STATAを使ってレポートを書く大学院生。STATAは使えるけどLaTeXが使いこなせない人。OSはwindows.

目標:講義資料として必要十分な見易さのPDFファイルを作成する。論文用にきちんとフォーマットされた文書を作ろうと思ったらたぶんLaTeXが必要。

追記:プロジェクタでうつすならPDFよりHTMLで出力したほうがフォントの大きさ自由に変えられていいかも

必要なソフト

Typora:フリーソフト。https://www.typora.io/

STATA:STATA15からmarkdownに対応した何かが追加されたらしいですが、そんなハイテクなものは使わないのでversion 14以下でも大丈夫。

Typoraの基本的な使い方

まずこちらを読むとよいです。

そのうえで、使うときにわからないことが出てきたらここ見れば大体載ってる。

以下は私が講義資料を作るときに使う機能に特化したメモです。

数式を打つ

TeXの記法で数式が打てる。自分でTeXが打てない人もScientific Wordなどで作ったTeXファイルから該当箇所をコピペしてくれば使えるということ。

$$とうつとdisplay形式で数式を入力する画面になる。インストールしたら、ファイル→設定→markdown の文法サポートでインライン数式のところにチェックしておくと、インライン数式も打てる。$で挟むと数式になる。

(私にとって)さすがに覚えたほうが良い記法のメモもかねて、サンプルコード

$$
\Delta _{D=1}(X)=E(Y_{1}-Y_{0}|X,D=1)\\
\hat{\beta}_{1}^{2SLS}=\frac{\sum (y_{i}-\bar{y})(z_{i}-\bar{z})}{\sum
(x_{i}-\bar{x})(z_{i}-\bar{z})}
$$

Inline example: When exclusion restriction doesn't hold, $\frac{cov(z_{i},u_{i})}{\gamma
_{1}var(z_{i})}\neq 0$.  

偏微分$\partial f(x)/\partial x$

積分 $\int_a^bf(x)dx$

これをそのままメモ帳にコピペして、拡張子をmdにして保存して、typoraで開くとこんな感じになる。

無題

STATAのdo fileやresult windowをそのまま表示する

Typoraの画面上で右クリック→挿入→コードブロック、で出てきた枠内にSTATAからコピペすると、レイアウトが崩れることなく表示できます。

STATAの出力結果を表として貼る

(1) STATAのresult windowから直接コピペするには、result windowからエクセルに貼るときと同様に、範囲選択してから右クリックして表としてコピーし、typoraの画面へペースト。

(2) outreg2やoutregで出力した表は、エクセルやワードで開いてからtyporaへコピペ(最初からmarkdown形式で表を出力する方法があるかもしれないが、そんなことができる人はこのページの想定読者ではない)。

どちらの場合も、typora上に、エクセルの表をパワポにコピペしたものと似た感じの表ができて、行・列の追加や削除もパワポ並みに簡単にできます。

STATAのグラフを貼る

STATAでグラフを作ったら、png形式で保存(グラフウィンドウからファイル>名前を付けて保存、でもいいし、graph exportコマンドでもできる)。Typoraの画面で右クリック>挿入>画像、でフォルダのアイコンをクリックして貼りたいファイルを選ぶ。

出来上がったものをPDFにする

ファイル→エクスポート→PDF. 

なお、テーマを変えるとPDFの見た目も変わります。これを超える細かいフォントの指定の方法とかは私にはわかりません。講義資料としてPDFをプロジェクターで写したりするならGithub(デフォルトのテーマ)が見やすそう。

追記:プロジェクタでうつすならPDFよりHTMLで出力したほうがフォントの大きさ自由に変えられていいかも。

余談

(1) 多少プログラミングができるひとならVisual Studio Codeのほうが使いやすいらしいのだけど、ポンコツな私には、いくらグーグル先生に訊いてみてもVisual Studio Codeを使って数式を含むPDFファイルを作る方法がよくわからりませんでした。

(2) LaTeX, 10年くらい前はScientific Word使ってたんだけど、日本語版がアップデートされなくなったっぽくて、Windows 8以降だと動作すら怪しくなってしまったのでテフエディタ難民だったんですよね。…っていうとだいたいLyXっていうフリーソフトを勧められるんですけど、なぜかインストールの段階で挫折するんで、私並みにポンコツな人には勧めないであげてください。

(3)ポンコツと共著する羽目になったTeXマスターの皆様にはoverleafが大変おすすめです。共著者がアップロードしてくれたTeXファイルの、地の文を編集したり、表の中の数字を訂正するだけなら私でもできます。

(4) 冒頭、

論文用にきちんとフォーマットされた文書を作ろうと思ったらたぶんLaTeXが必要。

って書きましたけど、私の論文の多くは数式は数本しか出てこないのでWordで十分なんですよね。これとかこれとか、たしかこれもWordで書きました。数式いっぱい書かなきゃいけないのは講義資料くらいなのだ。

(5) Wordっていえば、Word用のアドオン(?)のMath Typeってやつも昔使ったことあるけど、あれは共著者が同じもの持ってないと、いつのまにか数式が画像に変換されたりしてなかなかつらかった。


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