病気の一枚 6
副作用がやってきた。
2019年夏、右胸のしこりに激痛がはしり、検査の結果、乳がん、悪性腫瘍と診断されて、11月に右胸全摘とガンが転移していた右脇下のリンパ節切除手術を受けた。そして12月から抗がん剤治療が始まった。
抗がん剤はポートという5円玉ぐらいの大きさの柔らかいボタンのような器具を鎖骨に埋めて、そこに針を刺して点滴を行う。まずはEC療法を3週間おきに1回。最初の1回はポート埋設手術後に、入院したまま行った。
1回目の投与後、だるさと吐気と味覚障害が起こり、とりあえずその副作用を抱えたまま退院を迎えた。
EC療法1回目
さて。自宅に戻ったものの、だるい、きつい、食欲もない・・・生ける屍とはこのことかと思うぐらい、何か少し口にしては、ゴロゴロする日が続いた。しかも時は年末。正月の帰省の話が出たが、インフルや風邪にかかるのも怖かったので日帰りで帰省することになった。
だるさきつさを抱えたまま、なんとか正月を迎えた。元日は旦那の実家へ。姪っ子が手伝って作ったというがめ煮を少し食べておしゃべりしていたが、半日しかもたなかった。
3日後、私の実家へ。子供たちと少し遊んで、みんなでおしゃべりしたら、もう限界だった。副作用を恨むしかなかったが、副作用はまだまだこんなもんじゃなかった。
正月明けてすぐ、脱毛が始まったのだ。乳がんは必ずあるよと言われていたので覚悟はしていたが、髪を洗っている時に数十本単位で髪が抜けた。手で髪をすくと、手にごっそり髪がついてくる。もれなくついてくる。お風呂場の排水溝はあっという間に髪の毛で真っ黒に。脱毛初日こそショックだったが、翌日からは、この髪が全部抜ける頃には何か悟りを開けるかしら、なんて思うようになっていた。
EC療法2回目
年が明けて、2020年1月。今回から通院で、化学療法室という部屋で抗がん剤投与を受けることになっていた。ぱっと見た目、リクライニングチェアがずらっと並んでいて、献血ルームと何ら見た目は変わらない感じがした。
血液検査を受けて結果を待つ。受験でもなんでもそうだけど、結果を待つ時間ほど長く感じることはない。しかもストレスも軽く溜まる。血液検査の結果、つまり白血球を中心に数値異常だと治療は延期になってしまう。免疫低下というやつである。どうか治療を受けられますように、と祈っていたら、結果が出た。合格!ただし、肝機能の数値が異常なため、この日から肝臓の薬を服用することになった。これも副作用らしい。
2回目もだるさやきつさ、食欲不振に加えて、便秘、微熱やのどの痛みが出て、途中で病院を受診。のどの炎症を抑える薬をもらった。そして便秘がきついから、焼き芋食べてます~と先生に話すと「サツマイモじゃなくて、ドライイチジクがいいわよ」ときっぱり。おお~、ドライイチジク~、どこに売ってるの??それからドライイチジクを探し求める日々も始まった。
そんな2回目の副作用は1週間で治まった。まるでセミが脱皮をするかのごとく、ある日突然、副作用という皮が脱げたのだ。脱皮したらこっちのもの。と思っていたら、早めの花粉症にかかってしまい、耳鼻科へ。抗がん剤は花粉症には効かないのね・・・。
EC療法3回目
2月上旬。いつもどおり血液検査を受けて、検査にパスして、無事に治療開始。副作用も2回目と一緒。今回も1週間ほどで脱皮した。ただ前回と違うのは花粉症の症状も本格的に出てきたということ。今年は休んでてよかったのに・・・。
そして、この頃から例のウイルスのせいでマスクの入手が困難になっていた。抗がん剤治療も受けてりゃ、花粉症も止まらない。マスクなしではこの冬は越せない。
3回目の治療を受ける前にガーゼを入手していたので、がんばってマスクを作った。そしてその勢いで、ガーゼ帽子も作った。とにかく頭が寒かった。それにガーゼなら風通しがいいので、これから暖かい時期に向けてずっとかぶっていても快適じゃなかろうか。と思って、慣れない針と糸と格闘しながら作った。
EC療法4回目
2月終わり頃。今回も血液検査を無事にクリアして、治療を受ける。今回は受けている間に、次の抗がん剤の説明が薬剤師さんから行われた。次回から薬が変わるのだ。説明を聞いたが、相変わらず不安しかない・・・。
副作用は発熱があった分、前回よりしんどかった。結構寝ていた時間が長かったような気がする。そして、便秘は解消されたが、今度は少々下痢気味になってきた。いちおうまた1週間ぐらいで脱皮したが、その後もだるさが出たり、本調子になるまでしばらく時間がかかった。
撮った。
そうそう。この抗がん剤治療を受けるお供に、安いMP3プレイヤーを用意した。ラジオも聞ける。点滴を受けている間の暇つぶしを何か持ってきてくださいねと言われていたので、いつも持っていっていた。
が、点滴の交換や血圧測定、次回の日程の話などしていたら、ゆっくり聞く時間はあまりなかった。しかも3回目や4回目は点滴を受けている間に眠たくなり、そのままお昼寝時間となってしまい、プレーヤーの出る幕はほぼなかったのだ。
治療を受ける患者さんが多く、針を刺されたまま、席が空くのを待っている間にお昼ご飯の時間になり、ご飯を食べたら満腹で幸せな気分になり、眠くなって寝てしまう。なーんだ。私、ある意味健康じゃん。
次の抗がん剤もがんばるぞ!
追伸:病気の一枚は連載モノです。よかったら5もご覧ください。
記事を書くための栄養源にします(^^;)