見出し画像

【日記】会社を突然辞めた同僚の話と心の鍵

こんにちは。

今日は不動産屋は定休日なので久しぶりにのんびりとした日記を書こうかと思います。

会社を辞めた同僚のこと

1月末、会社に来なくなった同僚が突然会社を辞めた。

最近ずっと会社に来ない同僚がいる。すごく不安で心配になったので私から連絡を取っている。

2週間くらいずっと休んでおり心配していたので連絡を取っていたのだが、次第に連絡が取れなくなっていた。

過剰に心配しても仕方がないので連絡が来るまでそのままにしていたのだが、1月末の営業時間外に店長宛にラインで「辞めます、荷物は全部捨ててください」と一言連絡があったそうだ。

今のところ社長に何の連絡もない。なぜ辞めるのかを問い詰めても彼女を苦しめるだけだ。とはいえさすがにラインで辞める人を今まで見たことがなかった。

体調が悪い時に会社に電話をすることもできないなんて社会人として終わっている。そんなことをずっと言われていた。それはそうなんだろうけど、彼女の場合は辞めるという連絡をラインで報告してきた。なんというか、その去り際の軽さに何も言えなかった。当然店長も社長も怒っていたし私もあれだけ一生懸命教えたのに気が抜けてしまって「また一人辞めてしまった」と少し残念な気持ちでいっぱいだった。

優秀すぎるが故の苦悩とジレンマ

思えば彼女が入社してきたのは昨年6月の梅雨入り前のカラっとした日だった。同期の2人を抜きん出て非常に優秀な女性だった。デザイン関係の仕事に就いた経験もあり自社物件のチラシの作成をお任せしたら本領発揮とばかりポップなフォントを使ったオリジナルマイソク(チラシ)が出来上がり、周囲を騒然とさせた。

新人教育中、ホワイトボードを利用して私の担当業務について説明したことを全部記憶してくれ、更に教えてない業務も自主的にマニュアルを見ながら進めてくれるため、すごく手のかからない新人だった。

社長も今回は人選を間違えなかったとご満悦で、みるみるうちに彼女の業務は増えていった。その期待に応えるかのように、同期に差をつけ人の何倍もの業務を恐るべきスピードでこなしていくのであった。

業務をアサインする立場として、「この人は大量の仕事を捌くプロ意識があるからどんどん仕事を任せたほうがよいのではないか」と思い込み、いつしか彼女のタスクは溢れがちになっていた。しかし彼女はそれを苦ともせず、「私だけこんなに仕事捌ききれませんよー(笑)」と言いつつ、そつなく全部こなし、「何かお手伝いすることはありませんか?」と衝撃の一言を言い放つのである。

このままだと彼女ばかりに仕事が集中して他の2人だけじゃなく社内のタスクバランスが崩れておかしくなると思い、少しセーブしたことがある。

そうすると「期待をされていないのでは」と怪訝な顔をされ、逆効果なのかと自問自答した。彼女にとってタスクはあればあるほどよいのだろうか。でもそれでいいのだろうか。

ひとりで過ごす昼休み、私は宅建の勉強のため外で過ごしていた。彼女は会社の中でお昼を過ごしていた。私が案内から帰ってくると彼女はいつも2時を過ぎた遅い時間にひとりでお昼を取っている。

いつお昼を取ろうが自由だが、さすがに2時はお腹がすくだろう。しかも食べているのはカップラーメンや食パンなど栄養がないものばかり。何を食べようが自由だし気にすることはないのだが、なぜか彼女は会社の中で浮いていた。

新人研修のプレゼン発表があった。彼女のプレゼンは迫力満載だった。会社のパソコンにはろくなソフトが入っていないと言い、社長の了解を得て自宅で仕上げたプレゼン資料だった。そこまでのプレゼンを見せつけられると他の2人は「こんなプレゼンできません」と泣きが入るのである。

それから彼女の孤立はどんどん進んでいった。私は宅建の受験が終わってひどく疲れている頃だった。12月に入ってたまたまお昼休憩が同じタイミングとなり、最初は無言でお互いスマホとにらめっこしながら過ごしていたが、ぽつぽつと話すようになり、急に堰を切ったかのように自分の話をしだした彼女。今まで我慢してきたこと、苦しかったこと、会社への不満、同僚への愚痴、自分のタスクが多すぎること。

周りがバカばっかりに見える。そんなことを言っていた。仕事が出来すぎるとそんな風に思ってしまうのは無理もない。自分だけ大量のタスクを振られているのに、扱いは他の人と変わりがない。彼女は「早く独り立ちをして自分だけで仕事を完結させたい」、そう呟いていた。

それから私は彼女に対して、距離の取り方についてじゅうぶんに気をつけるようにした。この人は私の話を聞いてくれるいい人と思われると最悪依存されたり見捨てられ不安で何かされるんじゃないかと勝手に怯えていた。

実際はそこまで何かをされたわけでもなく本当に頑張り屋さんだったのだが、次第に彼女は会社に来なくなっていった。

そして会社に来なくなって2週間が経ち、荷物をそのままにして突然会社を辞めたのだ。

原因探しの日々

私は自分を責めた。出来る人ばかりに仕事をアサインするのは私の怠慢でしかない。彼女の本当の気持ちを無視して私は彼女を傷つけていたのだ。それをみんな気づいていなかった。孤立していく彼女、少しでも歩み寄ろうとする私、寄りかかってくる彼女、距離を取ろうとする私…。

なんともおかしな関係なのだが一人の人間としてどう接していいのか分からない人だった。

あれから10日あまりが経過して私は意を決して彼女にラインを送った。

「〇〇さんが仕事が出来すぎることから作業量を考慮せず仕事の割り振りをしてしまった私の責任です。辛い思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。」

意外にもすぐに既読になって返信が来た。私のせいではない、と。

店長も他の同僚もみんな気にかけており、それぞれがラインを送っていたが今だに既読にならなかった。何かあったんじゃないかと思いラインをしたが返信があって少しほっとした。

それにしても急に辞めて彼女にとってスッキリしたのだろうか。

今回の件をきっかけに私は自分にマネジメント能力がないことに気づいた。それは自分自身も全体を把握する間もなく忙しくしていたり、案内などで外出する機会が多くなっていたり、店長との関係性のこともあったり、慣れない中やっていた一連の仕事が空回り状態になっていたことも一つの要因である。しかし人と向き合うことを疎かにした結果、また優秀な人が辞めてしまうという事態が発生してしまった。

彼女の「荷物を全部捨ててください」という指示通り、時間を取って荷物を全部捨てようとした。何かの薬を飲んでいることは既に知っていたが、彼女の袖机から大量の薬が出てきた。黙って捨てようと思っていたが、社長や店長が群がってきた。精神安定剤や頭痛薬や風邪薬など尋常でない種類の量、しかも処方薬が出てきた。社長は興味があったのか、その薬を調べ始めた。「そういう病気だったのであれば、先に言ってくれたらよかったのに」時既に遅し。入社する時の健康についての申告表を少し改変すると言っていた。

彼女は自分を責めている。私も自分を責めている。どうしたらよかったのか。勝手に辞めた適当でいい加減で迷惑なヤツと流してくれと。それでいいのだろうか。

自転車置き場には彼女の自転車が放置されている。いつか取りに帰ってくるだろう。夜中にこっそり取りにくるかな。また少し時間が経った頃、色々な話ができたらいいなと思う。

あなたの心に鍵はかかっていますか

そういえばすごく昔BUMP OF CHICKENの藤原さんが「スクールオブロック」という学生向けのラジオ番組でこのようなことを言っていた。

ラジオの前のみなさん、あなたの心に鍵はかかっていますか。
傷つくのが怖くてとか踏み込まれるのが怖くて鍵はかけてるのかな。
かけとけよ鍵とか。ガッチガチに。それで良いと思うんだ俺。
鍵なんか全然かかってりゃいいと思う。俺もかかってるもん。悲しいことじゃないと思うんです。
当たり前だよ、大事な柔らかい部分あるんだもんな。俺もあるよ。それ一生懸命守ってんだもんな、すごいカッコいいと思う。立派だと思う。
ま、中にはその鍵を厳重にかけすぎて人とうまく喋れなくなったり人にうまく自分を伝えられなくなったり、そういう人もいるのかもしれない。
自分を表現することが難しくなって結局学校にしてももしかしたら社会人の人も聞いているかもしれないけど、その学校にしても会社にしてもなんとなくで結局行かなくなっちゃって辞める人がいたりそういう状況でも辞めることができなくてダラダラやっちゃったりって人もいると思う。
鍵かけたせいでね。
かけたままでいい。全然いい。全然いいと思う。
だけどやっぱここでラジオの前の君たちが僕にとって他人だったらお話はおしまいにしちゃおうと思うんだろうけど僕にとってはやっぱり他人じゃなくて、とても心の中で大きな存在なのでこっからは個人のエゴとして俺のエゴとして言いたいことってはやっぱあるわけで、それは鍵をあけてくれとかそういう話じゃないんです。まあどうか鍵かかったままでいいのでなんとなくでもいいので生き延びてください。

♪「メロディフラッグ」~

こういう言葉を口に出すのはすごく憚るけれど自殺とかと考えたりする人も多いと思う。居るんじゃないかな。聞いている人のなかには手首の傷の1つや2つザラじゃないぜ!みたいなね。
いつか死ぬんだよ、俺らなんかね絶対必ず70、80も生きればもう立派なんじゃないかな。
どうせ死ぬんだから生き延びて欲しいんだよね。適当でいいしのんびりでいいし不安なままでもいいさ。
不安になるのが嫌だったらそれこそ鍵は自分からあけることができると思うからね。すごく厳しいことだけど、すごく厳しい物言いだけど、それでも鍵をかけてることを選ぶんだったらそれでいいからさ。
これはほんと俺からの個人なお願いだけど君の得になるならないはおいといて、俺の為に生き延びてほしいと言いたいです。(中略)
じゃあ最後にまとめて言葉を贈りたいんですけど最後に俺の大っ嫌いな言葉を言います。
うーんこの言葉をほんとに心を込めて使うことができたのは、ほんと人生で数えることができたのは人生で数えるほどだし、それからもそんなないと思う。それだけ俺にとって言うのが難しい言葉で、つまりその言葉を今から言うってことはそんだけ本気で言うってこと。
あー前置き長ぇよね、早く言えって話だよな。
あの、一緒に頑張ろう。俺と一緒に頑張ってください。
             SCHOOL OF LOCKコーナーのBUMP LOCKSより

これを聴いていた時私も悩んでいた。中二病か!と思ってしまうほどやさぐれていた心が軽くなっていた気がする。

心の鍵を自分でガチガチでかけてしまったからこそ自分のプライドが許せなくなっていたことに気づく。心の鍵をあけるのは自分なんだ。だから苦しいとき、藤原さんの言葉に救われる。

でも心は亡くならないで君は今生きてるよ

2011年3月28日
東日本大震災があった後、BUMP LOCKSは最終回を迎える。最後の藤原さんのメッセージとギター弾き語りの「ガラスのブルース」が心に刺さる。

届いているよ。弾き語りのガラスのブルースを聴きながら鳥肌が立っていた。音楽はこういう時に役に立たないなんて言わないで欲しい。空を見上げて笑い飛ばしてやる、って言って欲しい。


ありがとうございます!あなたに精一杯の感謝を!いただいたサポートはモチベーションアップに。これからの社会貢献活動のために大切に使わせていただきます。これからもどうぞよろしくお願いします。