マガジンのカバー画像

【何度も読まれた記事】

17
いつもありがとうございます。
運営しているクリエイター

#文学

太宰治の愛した跨線橋〜三鷹文学散歩①〜

太宰治の愛した跨線橋〜三鷹文学散歩①〜



JR三鷹駅周辺を、太宰治関連の事物を巡りながらぶらぶら歩きました。

雨模様の日曜日でした。午前9時からだいたい12時過ぎまで。
およそ11000歩の、三鷹で暮らした大文豪をめぐる、小さな記録です。



日曜朝の三鷹駅は混んでいた。雨がぱらついていたが、駅を出る人びとは傘をたたみはじめていた。予報では、もうすぐ雨は止むらしい。

折りたたみ傘を鞄にしまい、南口のくだり方面への階段を降りる

もっとみる
「初心者のための、リアリズム文学としての『源氏物語』」 【文学エッセイ】

「初心者のための、リアリズム文学としての『源氏物語』」 【文学エッセイ】

 《英語で「ファンタジー」と「リアリティ」というふうにしていちおうみんなが区別していることが、いっしょになっている、重なってひとつの現実として語られているというのが、あのころの物語ではないかと私は思います。》

 上記は、1995年に行われた、絵本・児童文学研究センター企画のシンポジウムのなかで、臨床心理学者の河合隼雄さんが語った言葉。

 「あのころ」とは平安時代を示している。平安時代の文学、そ

もっとみる
『すぐに役に立つ本は、すぐに役に立たなくなる』 【エッセイ】

『すぐに役に立つ本は、すぐに役に立たなくなる』 【エッセイ】

 すぐに役に立つ本はすぐに役に立たなくなる。

 この金言との出会いは、とある「すぐには役に立たない」性格の本、言い換えるならば、僕の書棚の〝本当の意味で価値のある本〟のなかでのことだ。

 先週月曜日は成人の日だった。およそ120万人いたとされる今年の新成人のうちどれだけの人が、その日授かった激励の言葉をおもおもしく胸に刻んだことだろう。大人になることの決意をあらたにして――。僕自身はといえば、

もっとみる