羽を求めて

寒い
冬でもないのに
風邪をひいてるわけでもないのに寒い

からだの芯が冷えているんだ
ぞわぁって何かが体の中を駆け巡っていく

呼吸を意識すると倍の重力を感じるし
その重さは積み重なって離れてはくれない

なにも手につかないし
寝ていることで精一杯

はじめは心配してくれたネコ達ですら
いまや我関せずとお昼寝中

ああまた落ちている
暗い暗い泥の中へ
光がだんだん弱くなる

落ちて落ちて落ちきった奈落の底にいる怪物は
今度は何をくれるのだろうか
負の感情を食べてもらったその場所に
新たな発見はあるのだろうか

闇が晴れた後の光の温かさ
それを知ってるから絶望はしない
停滞することはサナギと同じ
新たな自分への準備期間

なにも変わってないかもしれない
それでもほんの少し進む力は手に入る

いつかは遠い光の中の
美しい世界へたどり着くため
高く高く舞い上がれる
強くて美しい羽を求めて
何度も何度も落ちてゆく

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