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これからバンコマイシンのTDMを行う薬剤師がまず注意すべき4つのこと

2012 年度診療報酬改定で、病棟でチーム医療に貢献する薬剤師を評価する「病棟薬剤業務実施加算」が導入され、薬剤師も病棟で仕事をする機会が多くなってきています。

しかし、十分な経験を積まず、いきなり病棟業務を行う薬剤師も多いのではないでしょうか?

病棟では様々な業務が求められますが、重要な業務の一つが「医師への処方提案」です。


そのなかでも薬物血中濃度を利用した処方提案(薬物血中濃度モニタリング(TDM)業務)は、薬剤師の職能を十分に発揮できる業務ですが、経験の浅い薬剤師は戸惑ってしまう人も多いのではないかと思います。

そこで、TDM業務のなかでも処方提案の機会が多いバンコマイシンの投与設計について、これから業務を行う人がまず注意すべき4つのポイントをまとめていきます。


まず結論から言うと、

・ 初期投与設計はTDM解析支援ソフトではなくノモグラムを活用しよう

・ バンコマイシンの血中濃度が異常に高いときはまず採血時間を確認しよう

・ 腎機能が安定していないときは頻繁にバンコマイシンの血中濃度を確認しよう

・ 尿中アルブミンが検出されているときは目標濃度を低く設定しよう

です。

順に説明していきます。



初期投与設計はTDM解析支援ソフトではなくノモグラムを活用する

血清クレアチニン濃度からの腎機能評価については「ゼロから始める腎機能検査値の活用(1) どの推算式を使えばよいのか?eGFR?Cockcroft-Gault式?」を参考にしてください。

上記の記事で追加です。「Cockcroft-Gault式にクレアチニンを0.2加えた値を用いて推算する」対象の患者であった場合、シスタチンC濃度や実測クレアチニンクリアランスの値がある場合にはこれらを利用して推算してください。


バンコマイシンは他の薬とは違い、大人であれば誰でも同じ投与量で投与できる薬ではありません。

患者の年齢や腎機能に応じて投与量を決めなければなりません。

しかも、バンコマイシンを投与する患者は何かしらの感染症になっているので、より早期からの効果を期待して投与されます。

したがって、バンコマイシンを有効かつ安全に投与するために腎機能に応じた初期投与設計は重要な業務です。

その腎機能に応じた初期投与設計は通常TDM解析支援ソフト、あるいはノモグラムを用いて行います。

どの方法が良いのでしょうか?


ここからは全くの私見です。

それを承知の上で、読んでみたいと思っていただいた方のみ見て欲しいという思いから、有料とさせていただきます。


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